先日、メキシコの麻薬王「エル・マヨ」こと、イスマエル・サンバダと、エル・チャポの息子のホアキン・グスマン・ロペスが、テキサス州エルパソで逮捕されました。
この逮捕は、米国当局にとって大きな成果であり、メキシコの犯罪情勢にも大きな影響を及ぼすと見られています。
シナロア・カルテルの歴史と勢力
サンバダとエル・チャポは、1980年代にシナロア・カルテルを共同で設立した、メキシコ史上最も重要な麻薬密売人の2人です。
シナロア・カルテルは、現在も世界最大の組織犯罪グループの1つとされており、50か国以上に薬物を供給していると言われています。
特に近年、同カルテルはフェンタニルの密売で米国当局の標的となっています。
フェンタニルは、18歳から45歳の米国人の主要な死因となっており、年間約7万人もの命を奪っているといわれています。
サンバダとエル・チャポの息子の違い
サンバダとエル・チャポの息子たちは、異なる世代の麻薬王として知られています。
サンバダは「古い学校」の麻薬王で、陰に隠れて活動することで知られています。
一方、エル・チャポの息子たちは派手な麻薬王として知られ、注目を集めることを好んでいました。
また、サンバダは冷静沈着な性格だったのに対し、エル・チャポの息子たちはより暴力的で衝動的な傾向があったと言われています。
逮捕の影響
サンバダとエル・チャポの息子の逮捕は、シナロア・カルテルの中枢に大きな打撃を与えることになります。
これまでの経緯から見ると、重要な幹部の逮捕は、しばしば組織内部の対立や抗争を引き起こしてきました。
今回の逮捕でも、シナロア州北部を拠点とするカルテルの中で、権力争いや抗争が起きる可能性が高いと指摘されています。
これにより、メキシコ国内の治安情勢が一層悪化する恐れがあります。
補足情報
サンバダの逮捕には1500万ドル(約20億円)、グスマン・ロペスには500万ドル(約6.8億円)の報賞金が掛けられていました。
これは、両者がいかに重要な人物であったかを示しています。
また、この逮捕は、米国のFBI(連邦捜査局)とHSI(国土安全保障捜査局)の合同捜査の結果です。
両機関は、シナロア・カルテルのフェンタニル密売網に焦点を当てた捜査を進めてきました。
まとめ
今回の逮捕は、メキシコ最大の麻薬カルテルの中枢を直撃するものであり、同カルテルの今後の動向が注目されます。
サンバダとエル・チャポの息子の逮捕により、シナロア・カルテルの内部抗争が激化し、メキシコ国内の治安情勢が悪化する可能性があります。
一方で、米国当局がカルテルのフェンタニル密売網に強い意気込みを見せていることから、今後も同カルテルへの徹底した取り締まりが続くことが予想されます。
この問題の行方を注視していく必要があるでしょう。