ビデオゲームパフォーマーのストライキ – AIへの懸念が引き金に

ビデオゲーム業界に大きな波紋が広がっています。

ハリウッドのビデオゲームパフォーマーが、主要ゲームスタジオとの契約交渉決裂を受けて、ストライキに踏み切ったのです。

その背景にあるのは、人工知能(AI)をめぐる問題でした。

ビデオゲームパフォーマーの立場

ビデオゲームの制作には、声優やモーションキャプチャーパフォーマーなど、多くの俳優やアーティストが関わっています。

彼らは、スクリーンアクターズギルド-アメリカン連邦テレビラジオ芸術家組合(SAG-AFTRA)に所属しており、ゲームスタジオとの交渉を通じて、適切な報酬や労働条件の確保を図ってきました。

モーションキャプチャー

俳優の動きをデジタルデータ化する技術

AI保護をめぐる攻防

今回のストライキの発端となったのは、ゲームスタジオとSAG-AFTRAの間で、AIに関する保護措置をめぐる対立でした。

ゲームスタジオ側は一定のAI保護措置を提案したものの、SAG-AFTRAの交渉委員会は、「パフォーマー」の定義をめぐる問題があると指摘しています。

具体的には、一部の身体的なパフォーマンスが「データ」として扱われ、パフォーマーとしての権利が十分に認められていないという指摘です。

SAG-AFTRAのレイ・ロドリゲス最高契約責任者は、「業界側は、私たちが集団協約の対象とみなされるパフォーマーに含まれると必ずしも考えていない」と述べています。

ゲームスタジオ側の代表者であるオードリー・クーリングは、AI保護措置を提案したと述べていますが、SAG-AFTRAの交渉委員会はそれでは不十分だと判断したようです。

ストライキの影響

今回のストライキは、2017年以来2回目となります。

前回のストライキは約11か月間続きましたが、今回はどの程度長引くかは不明です。

ただ、ビデオゲーム業界にとって大きな打撃となることは確実です。

ゲームの制作には多くのパフォーマーの協力が不可欠で、彼らがストライキに参加すれば、ゲームの開発や発売に大きな遅れが生じる可能性があります。

例えば、大手ゲームメーカーのActivisionは、年間約50タイトルのゲームをリリースしていますが、そのうちの多くがパフォーマーの協力なしには制作できません。

同様に、WarnerBrosやWaltDisneyなどの大手スタジオも、ビデオゲーム事業に力を入れていることから、今回のストライキの影響を大きく受けることになります。

AIをめぐる課題

今回のストライキの背景にあるのは、ビデオゲーム業界におけるAIの活用拡大への懸念です。

ゲームキャラクターの音声やアニメーションなどを、AIを使って自動生成することが可能になりつつあります。

これにより、パフォーマーの仕事が奪われる可能性があるのです。

また、AIを使ってゲームキャラクターの振る舞いを自動生成することで、パフォーマーの創造性が活かされなくなる恐れもあります。

SAG-AFTRAは、このようなAIの活用が進めば、パフォーマーの権利が侵害される可能性があると主張しています。

一方のゲームスタジオ側は、AIを活用することで制作コストを削減でき、ゲームの価格を抑えられるメリットがあると考えているようです。

まとめ

ビデオゲームパフォーマーのストライキは、AIをめぐる問題が引き金となっています。

パフォーマーの権利を守りつつ、AIの活用によるメリットも享受する方法を見出すことが、今後の課題となりそうです。

ゲーム業界にとって大きな影響が予想される中、双方の主張を丁寧に聞き、バランスの取れた解決策を見出すことが重要でしょう。

AIとパフォーマーの共存を実現するためには、お互いの立場を理解し合い、妥協点を見出していく必要があります。

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