ネスレ、2026年半ばまでに米国で人工着色料を全廃へ

食品の安全性や健康志向が高まるアメリカで、世界最大級の食品メーカー・ネスレが大きな決断を下しました。

2026年半ばまでに、米国で販売される全ての食品・飲料から人工着色料(合成着色料)を撤廃すると発表したのです。

この動きは、クラフト・ハインツやゼネラルミルズなど他の大手企業にも広がり、アメリカの食品業界全体が「人工着色料フリー」へと大きく舵を切り始めています。

本記事では、ネスレの決断の背景や業界全体の動向、消費者やSNSでの反応、そして今後の展望について、統計や事例を交えながら分かりやすく解説します。

ネスレの人工着色料撤廃宣言とは

ネスレUSAは2025年6月25日、2026年半ばまでに米国の全食品・飲料から人工着色料(合成着色料、FD&C色素)を完全に排除すると発表しました。

この動きは、近年高まる消費者の健康志向や安全性への関心に応えるものです。

実は、ネスレの米国ポートフォリオの90%以上はすでに人工着色料を使用していません。

残る10%弱の製品(例:Nesquik Banana Strawberryミルクなど)も、今後12か月以内にレシピを改良し、人工着色料を排除する計画です。

ネスレの米国CEO、マーティ・トンプソン氏は「消費者の多様な食の好みや栄養ニーズの変化に合わせて、私たちも進化し続けます」とコメントしています。

なぜ今、人工着色料が問題視されるのか

人工着色料(合成着色料)は、食品の見た目を鮮やかにするために広く使われてきました。

しかし近年、健康リスクや子どもの行動・発達への影響が指摘され、消費者の間で懸念が高まっています。

  • 2024年のAP-NORC世論調査によると、アメリカ人の約3分の2が「砂糖や着色料などの添加物を制限または除去すべき」と考えています。
  • カリフォルニア州やウェストバージニア州では、学校給食で人工着色料を禁止する法律が施行されました。
  • 2025年1月には、米国食品医薬品局(FDA)が発がんリスクが指摘される「Red 3(赤色3号)」の食品使用を禁止しました。

また、2027年からはテキサス州で人工着色料や添加物を含む食品に「オーストラリア、カナダ、EU、英国では推奨されていない成分を含む」と明記した新しい安全ラベルの表示が義務付けられます。

業界全体に広がる「脱・人工着色料」の波

ネスレの決断は、食品業界全体の大きな潮流の一部です。2025年以降、複数の大手メーカーが同様の方針を次々に発表しています。

  • クラフト・ハインツ:2027年末までに米国製品から人工着色料を撤廃。
  • ゼネラルミルズ:2026年夏までに米国の全製品(特にシリアルや学校給食向け食品)から人工着色料を撤廃。
  • コンアグラ・ブランズ:2025年末までに冷凍食品から人工着色料を撤廃し、2027年末までに全米小売製品でも撤廃。
  • ケロッグ、タイソンフーズなども、人工着色料フリーの新商品開発や既存商品のレシピ改良を進めています。

これらの動きは、トランプ政権下での健康政策や食品安全規制の強化とも連動しています。

SNSとインターネット上の反応

X(旧Twitter)やReddit、InstagramなどSNS上では、今回のネスレの発表に対して賛否両論が見られます。

ポジティブな反応

  • 「子どもの健康を考えると大歓迎!」 「やっと大企業も動き出した」といった健康志向の消費者からの支持が目立ちます。
  • アレルギーやADHDなど特定の健康リスクを抱える家族を持つ人々からは「安心して商品を選べるようになる」との声も。

ネガティブ・懐疑的な反応

  • 「過去にも同じ約束をしたが守られなかったのでは?」という過去のネスレの公約未達成を指摘する声。
  • 「人工着色料がなくなることで味や見た目が変わるのでは?」といった品質への懸念も一部に見られます。

業界・専門家の声

  • 食品科学者や栄養士からは「消費者ニーズに応える正しい方向性」と評価される一方、「天然色素(例:アナトー、果汁色素など)への切り替えに伴うコストや安定性の課題」も指摘されています。

今後の課題と展望

人工着色料撤廃は消費者の健康志向や規制強化への対応として不可避の流れですが、いくつかの課題も残されています。

  • 代替色素の安定供給:天然色素は色の安定性やコスト面で課題が多く、レシピ改良には技術革新が求められます。
  • グローバル展開とのバランス:米国以外の市場では人工着色料が依然として使われている場合もあり、各国の規制や消費者ニーズに合わせた柔軟な戦略が必要です。
  • 消費者教育:人工着色料のリスクや天然色素への切り替えの意義を分かりやすく伝える情報発信が、今後ますます重要になります。

人工着色料の基礎知識と世界の動き

人工着色料(合成着色料)とは?

主に石油由来の化学物質で、食品の色を鮮やかにするために使われます。代表的なものに「赤色40号」「黄色5号」「青色1号」などがあります。

世界の規制動向

  • 欧州連合(EU)やカナダ、オーストラリアでは、特定の人工着色料の使用が厳しく制限・禁止されています。
  • 日本でも一部の合成着色料は使用が認められていますが、消費者の健康志向の高まりを受けて「無添加」や「天然由来」への切り替えが進んでいます。

人工着色料のリスク

  • 長期的な健康リスクや発がん性についても、研究が進められています。

まとめ

ネスレの米国における人工着色料撤廃宣言は、消費者の健康志向や規制強化を背景に、食品業界全体に大きな影響を与えています。今後は、天然色素への切り替えや消費者教育、グローバル市場での対応が重要な課題となるでしょう。

私たち消費者も、食品表示や企業の取り組みに注目し、より安全で健康的な食生活を選択する力を身につけていきたいものです。今後の食品業界の動向にもぜひご注目ください。

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