アメリカの巨大な金塊保管施設、フォートノックス。その秘密めいた存在が今、大きな注目を集めています。
テック界の大物イーロン・マスクが、この施設の調査に乗り出す可能性を示唆したのです。
果たして、フォートノックスの金は本当にあるのでしょうか?
その真相に迫ります。
フォートノックスとは
フォートノックスは、ケンタッキー州にある米国陸軍基地内に位置する金塊保管施設です。
アメリカの金準備の約半分、1億4700万トロイオンス(約4,581トン)の金が保管されていると言われています。
現在の金価格で計算すると、その価値は約4,263億ドルにも上ります。
しかし、この巨額の金塊の存在を確認する機会は極めて限られています。
最後の完全な監査は1950年代に行われ、その後1974年に部分的な監査が実施されただけです。
2017年には当時の財務長官スティーブン・ムニューシン氏らが視察を行いましたが、これも公式な監査ではありませんでした。
イーロン・マスクの関与
2025年2月、イーロン・マスクがフォートノックスの金塊調査に興味を示しました。
マスクは自身が率いる政府効率化部門(DOGE)を通じて、この調査を実施する可能性があります。
マスクはソーシャルメディアプラットフォームXで、「フォートノックスの金を探しています…」というミームを投稿。
さらに「この金はアメリカ国民の所有物です!まだそこにあるのか知りたいものです」とコメントしました。
この発言は、共和党のランド・ポール上院議員やマイク・リー上院議員からも支持を得ています。
ポール議員は「もっと透明性が必要だ」と主張しています。
なぜ今、調査が必要なのか
フォートノックスの金塊に関する疑念は、長年にわたって存在してきました。
1971年にアメリカが金本位制を放棄して以来、この金塊の重要性は低下したとも言われています。
しかし、金はいまだに世界経済において重要な役割を果たしています。
多くの中央銀行が金を準備資産として保有し続けているのはそのためです。
また、フォートノックスの金塊の存在を確認することは、ドルの信頼性にも関わる問題です。
ランド・ポール議員は「金はまだ価値があり、暗黙のうちにドルに価値を与えている」と指摘しています。
調査の実現可能性と課題
フォートノックスの完全な監査を行うことは、簡単ではありません。
金融アナリストのエイドリアン・アッシュ氏によると、各金塊の重量と純度を記録と照合する必要があり、これには膨大な時間と専門家の労力が必要になります。
また、この調査によって金市場が混乱する可能性も指摘されています。
仮に報告されている量よりも少ない金しか存在しないことが判明した場合、その影響は計り知れません。
フォートノックスをめぐる興味深い事実
フォートノックスは、その秘密めいた存在から様々な陰謀論の対象となってきました。
1970年代には金が政府によって売却されたのではないかという噂が広まり、1974年の部分的な監査のきっかけとなりました。
また、フォートノックスの金塊は、政府の会計上では1オンスあたり42.22ドルと評価されています。
これは現在の金価格(約2,900ドル/オンス)と大きくかけ離れており、この差額が約4兆ドルにも上ることから、財政政策への影響も指摘されています。
まとめ
イーロン・マスクによるフォートノックス調査の可能性は、アメリカの金準備に関する長年の疑問に光を当てる機会となるかもしれません。
しかし、その実現には多くの課題が存在します。
今後、この問題がどのように展開していくのか、そしてそれがアメリカ経済や世界の金融市場にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。
フォートノックスの金塊の謎は、私たちに経済システムの透明性や信頼性について、改めて考えさせるきっかけとなるでしょう。