環境団体Just Stop Oilとは?気候変動対策を訴える過激な抗議活動の実態

シガニー・ウィーバー主演舞台への乱入から見える、その目的と手法

2025年1月28日、ロンドンのウェストエンド劇場で上演中のシェイクスピア作『テンペスト』に、環境保護団体「Just Stop Oil(以下JSO)」のメンバーが突如乱入するという事件が起きました。

主演を務めていたハリウッド女優シガニー・ウィーバーの舞台に割って入った彼らの行動は、世界中の注目を集めることとなりました。

この出来事を通じて、JSOとはどのような団体なのか、そして彼らの主張と手法について深く掘り下げていきます。

Just Stop Oilの目的と主張

JSOは、気候変動の主な原因と言われる化石燃料の生産を英国政府がこれ以上許可しないことを求めている団体です。

具体的には、化石燃料の今後の探査、開発、生産に関するすべての許認可を直ちに停止するよう要求しています。

彼らの主張の背景には、地球温暖化への危機感があります。

2024年が観測史上最も暖かい年となり、産業革命以前と比べて平均気温が1.5度上昇したという事実を受け、JSOは「1.5度以上の上昇は世界的な難破船だ」というメッセージを掲げています。

過激な抗議活動の実態

JSOの特徴は、その過激な抗議活動にあります。

彼らは「非暴力な市民抵抗」の戦略を掲げていますが、その手法は社会に大きな影響を与えるものばかりです。

これまでに以下のような抗議行動を行ってきました:

  • 高速道路M25を含む道路の封鎖
  • ゴッホの「ひまわり」にトマトスープを投げつける
  • BBCプロムスコンサートの中断
  • テニスのウィンブルドン選手権の中断
  • クリケット、アッシュズテスト第2戦の中断
  • スヌーカー世界選手権の中断
  • ミュージカル「レ・ミゼラブル」公演の中断4

そして今回、シガニー・ウィーバー主演の『テンペスト』公演にも乱入したのです。

シガニー・ウィーバー主演舞台への乱入事件

2025年1月28日、ロンドンのシアター・ロイヤル・ドルリーレーンで行われていた『テンペスト』の公演中、JSOのメンバー2名が舞台に乱入しました。

彼らは「1.5度以上は世界的な難破船」と書かれた看板を掲げ、紙吹雪を発射しながら「申し訳ありませんが、ショーを中断しなければなりません」と叫びました。

75歳のシガニー・ウィーバーは、魔法使いプロスペロー役を演じていましたが、この出来事によって舞台から退場せざるを得なくなりました。

観客からはブーイングと一部の拍手が混じった反応がありました。

なぜ、JSOはシガニー・ウィーバー主演舞台へ乱入したのか?

環境団体「Just Stop Oil(JSO)」がシガニー・ウィーバー主演の舞台『テンペスト』に乱入した理由は、気候変動の緊急性を訴えるためです。

彼らは、地球温暖化を1.5度以上進行させることが「世界的な破滅(グローバルテンペスト)」を引き起こすと主張しており、英国政府に対して化石燃料の新規開発許可を即時停止するよう求めています。

JSOは、舞台という注目度の高い文化的空間を利用して、化石燃料産業が「文化や遺産、生命そのものよりも優先されている現状」を批判しました。

彼らは公演中に乱入し、「1.5度以上は世界的な難破船」というメッセージを掲げることで、観客や社会全体に気候変動問題への関心を喚起しようとしました。

JSOの活動資金と支援者

JSOの活動資金の多くは、2019年に米国で設立された「気候緊急基金(Climate Emergency Fund)」から提供されています。

この基金は、映画監督のローリー・ケネディ氏と、石油王ジャン・ポール・ゲッティ氏の孫娘アイリーン・ゲッティ氏によって設立されました。

また、一般市民や気候変動に関心を持つ他の団体からも寄付を受けています。

政府の対応と法的措置

JSOの活動に対し、英国政府は法的措置を強化しています。

2023年5月と6月に可決された新たな抗議活動防止法により、主要インフラを妨害した者を起訴するための新たな権限が警察に与えられました。

また、建物や道路に身体を取り付ける「ロッキング・オン」も犯罪行為とみなされるようになりました。

今後の展望と社会への影響

JSOは今後も大規模な抗議活動を計画しています。

2023年10月29日からロンドンで前例のない規模の「スロー・マーチ」を実施すると宣言しており、英国全土から人々が集まって政府に立ち向かう予定です。

彼らの活動は社会に大きな議論を巻き起こしています。

気候変動対策の緊急性を訴える彼らの主張に共感する声がある一方で、その過激な手法に批判的な意見も多く存在します。

まとめ

Just Stop Oilは、気候変動対策の緊急性を訴えるために過激な手法を用いる環境保護団体です。

彼らの活動は社会に大きな影響を与え、気候変動問題への注目を集めることに成功しています。

しかし、その手法の是非については議論が分かれており、今後も社会との対話が必要となるでしょう。

気候変動という喫緊の課題に対し、私たち一人一人がどのように向き合い、行動していくべきか、改めて考えさせられる問題提起となっています。

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