SpaceXのスターシップ7号機、上段が爆発もブースターの回収に成功

SpaceXの最新鋭ロケット「Starship」の7回目のテスト飛行が行われ、部分的な成功と新たな課題が明らかになりました。

2025年1月16日に実施されたこの飛行では、上段が爆発するという予想外の事態に見舞われましたが、一方で重要な技術的進歩も達成されました。

https://videos.space.com/m/YDF41DAi/spacex-launches-starship-on-flight-7-catches-booster-loses-ship?list=9wzCTV4g

スターシップの飛行経過と上段の爆発

スターシップは予定通り、テキサス州のStarbaseから打ち上げられました。

403.5フィート(約123メートル)の巨大ロケットは、33基のラプターエンジンを噴射して力強く上昇しました。

しかし、飛行開始から約8.5分後、上段(Shipと呼ばれる)との通信が途絶えました。

SpaceXの通信チームのDan Huot氏によると、上昇中にエンジンが次々と停止し、最終的に上段との接触が失われたとのことです。

その後、上段はカリブ海上空で爆発し、多くの目撃者によって空に広がる破片が観測されました。

この「予定外の急速分解」(Rapid Unscheduled Disassembly、RUD)の正確な原因は現在調査中です。

SNSで拡散された爆破の様子と破片

スーパー・ヘビー・ブースターの回収に成功

一方で、この飛行では重要な成功も収めました。

スターシップの第一段階であるスーパー・ヘビー・ブースターが、打ち上げ塔の「箸」(chopsticks)と呼ばれる機構によって見事に捕捉されたのです。

これは、SpaceXが目指す完全再使用型ロケットシステムの実現に向けた重要なステップです。

打ち上げから約7分後、33基のエンジンを搭載した巨大なブースターが、打ち上げ塔のアームに静かに収まる様子が確認されました。

今回の飛行の意義と今後の展望

今回のテスト飛行では、新しい設計の上段が使用されました。

また、Starlink衛星の模型10基を放出するテストも予定されていましたが、上段の爆発によりこの目標は達成できませんでした。

SpaceXのCEO、イーロン・マスク氏は、すでに改良版のスターシップとブースターが次の打ち上げに向けて準備中であることをSNS上で明かしています。

また、今回の事故の予備的な原因として、エンジン上部の区画での酸素/燃料漏れの可能性を指摘しています。

スターシップ計画の重要性

スターシップは、SpaceXの野心的な宇宙開発計画の中核を担うロケットです。

月や火星への有人飛行を可能にし、地球上のどこへでも1時間以内に到達できる「地点間輸送」の実現を目指しています。

また、次世代のStarlink衛星の打ち上げにも不可欠な存在です。

現在約7,000基のStarlink衛星が低軌道上にありますが、将来的には40,000基以上に増やす計画があり、スターシップの成功がその鍵を握っています。

宇宙開発における試行錯誤の重要性

今回の部分的な失敗は、宇宙開発における試行錯誤の重要性を改めて示しました。

SpaceXは「このようなテストでは、学んだことから成功が生まれる」と述べており、今回の飛行から得られたデータを今後の改良に活かすとしています。

まとめ

スターシップの7回目のテスト飛行は、宇宙開発の難しさと同時に、SpaceXの革新的なアプローチを示しました。

上段の爆発という課題に直面しつつも、ブースターの回収に成功したことは、再使用型ロケット技術の進歩を示しています。

今後のスターシップ開発の進展に、世界中の宇宙ファンや専門家の注目が集まることは間違いありません。

SpaceXの挑戦は、人類の宇宙進出の新たな章を開く可能性を秘めています。

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