最近、アメリカで、キューバから帰国した旅行者の間で、「ナマケモノ熱(オロプーシェ熱)」とも呼ばれるオロプーシェウイルス感染症が確認されました。
この感染症は南米を中心に広がっており、今後さらに広がる可能性があるため、注意が必要です。
オロプーシェウイルスとは
オロプーシェウイルスは1955年にトリニダード・トバゴで初めて発見された蚊媒介性のウイルスです。
主に南米の熱帯雨林地域を中心に流行しており、これまでにブラジル、ボリビア、ペルー、コロンビア、キューバなどで感染例が報告されています。
感染経路と症状
オロプーシェウイルスは主に蚊やブユなどの吸血昆虫に媒介されます。
感染すると、48日後に発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、悪寒などの症状が現れます。
症状は36日続きますが、一時的に改善した後に再発することもあります。
重症化すると、髄膜炎や脳炎などの神経系合併症を引き起こす可能性があり、患者の約4%がこれらの症状を発症するといわれています。
母子感染のリスクも
オロプーシェウイルスには母子感染のリスクもあり、2024年1月1日から8月1日の間に、世界で5件の母子感染例が報告されています。
感染した妊婦からの胎児への感染は、先天性の奇形などのリスクがあるため、十分な注意が必要です。
感染予防と対策
オロプーシェウイルスは人から人への感染はしませんが、蚊に刺されることで感染するため、感染地域への渡航時は虫除け対策が重要です。
また、発熱や頭痛、筋肉痛などの症状が出た場合は、医療機関に相談することをおすすめします。
日本での注意点
オロプーシェウイルス感染症は現時点では日本国内での感染例は報告されていませんが、海外からの渡航者を通じて国内に侵入する可能性があります。
感染地域からの帰国者や渡航者には十分な注意が必要です。
蚊の発生に注意
オロプーシェウイルスは主に蚊やブユなどの吸血昆虫に媒介されるため、日本国内でも感染リスクがあります。
特に夏季の蚊の発生が多い時期には、虫除け対策を徹底することが重要です。
今後の広がりに注意
2024年1月1日から8月1日の間に、世界で8,000件を超える感染例が報告されており、2件の死亡例と5件の母子感染例も確認されています。
米国内では11件の渡航関連感染例が確認されていますが、地域内での感染は報告されていません。
しかし、検査体制の強化や監視活動の拡大に伴い、今後さらに感染例が増加する可能性があるため、引き続き注意が必要です。
まとめ
感染予防には虫除け対策が重要で、発症した場合は早期の医療機関受診が推奨されます。
今後、さらなる感染拡大が懸念されるため、引き続き動向を注視していく必要があります。