火星の地下に液体の水が発見された!

火星探査の歴史の中で、大きな発見がありました。NASAの火星着陸探査機InSight(インサイト)が4年間にわたって観測した地震データの分析から、火星の地下6~12kmの深さに液体の水の貯蔵庫が存在することが明らかになったのです。

これは、これまで知られていた水の形態とは全く異なる、まさに画期的な発見と言えるでしょう。

火星には、極地域に氷の形で存在する水と、大気中に水蒸気として存在する水は知られていましたが、液体の水の存在は初めて確認されたものです。

これまで、古代火星には河川や湖沼が存在していたことが分かっていましたが、その後3十億年にわたって砂漠化が進み、水が失われていったと考えられていました。

火星の地下水の発見

InSightが観測した1,319回もの地震の記録を分析した結果、火星の地殻深部を通過する地震波の速度から、そこに液体の水が存在していることが明らかになりました。

この手法は、地球上で石油やガスの探査に使われているものと同じです。

分析の結果、火星の地殻深部6~12kmの深さに、液体の水の貯蔵庫が存在することが分かりました。

この水の量は、火星の表面に0.5マイル(約0.8km)の深さの水層を形成できるほど膨大だと推定されています。

地震波の速度を測定することで、地下の物質の状態を推定する手法は「地震探査」と呼ばれ、地球上でも石油やガスの探査に広く使われています。

火星の水循環と生命の可能性

この発見は、火星の水循環の解明につながるとともに、地下に生命が存在する可能性を示唆するものでもあります。

水は生命にとって必要不可欠な物質ですから、この地下水が生命の宿る環境となる可能性があるのです。

ただし、この地下水は地表から10~20kmも深い場所にあるため、人類が直接利用することは非常に困難だと指摘されています。

火星の開発を目指す企業にとっては、残念なニュースかもしれません。

InSightミッション

InSightは、NASAが2018年に火星に送り込んだ探査機で、火星の内部構造と進化を調査することが主な目的でした。

地震計、熱流量計、磁力計などの観測機器を搭載し、4年間にわたって火星の「心臓の鼓動」を観測し続けました。

InSightの主な観測成果

InSightの観測データから、これまでわかっていなかった火星の内部構造が明らかになってきています。

地震計による観測から、火星の地殻の厚さや、マントル、核の存在が確認されました。また、熱流量計による観測から、火星内部の熱の流れも明らかになりつつあります。

今回の地下水の発見

今回の地下水の発見は、InSightの観測データの分析から得られた大きな成果の1つです。

地震波の伝播速度の分析から、火星の地殻深部6~12kmに液体の水の貯蔵庫が存在することが明らかになったのです。

これは、火星の水循環を理解する上で非常に重要な発見といえます。

InSightミッションの意義

InSightは、火星の内部構造と進化を解明することで、地球型惑星の形成過程を理解することを目的としていました。

地球と火星は、同じ地球型惑星でありながら、大きく異なる進化を遂げてきました。

InSightの観測データは、この違いの要因を明らかにする手がかりを提供してくれるでしょう。

また、今回の地下水の発見は、火星における生命の可能性を示唆するものでもあります。

生命の存在には液体の水が不可欠ですから、この地下水が生命の宿る環境となる可能性があるのです。

InSightミッションの終了

InSightは当初2年間の観測を予定していましたが、予想を大きく上回る4年間にわたって観測を続けることができました。

しかし、2022年12月に電力不足により観測を停止せざるを得なくなり、ミッションは終了しました。

今後の展望

InSightの観測データの分析は続けられており、火星の内部構造や水循環、さらには生命の可能性など、まだ多くの謎が解明されていくことでしょう。

今後、火星探査の新たなミッションが計画されれば、InSightの成果を踏まえた、より深掘りした調査が期待されます。

まとめ

火星探査の歴史に残る大発見と言えるでしょう。

火星の水循環の解明や、地下生命体の可能性など、今後の研究の進展が期待されます。

火星探査は、まだまだ多くの謎を秘めた未知の世界であり、今後の研究成果に大きな期待が寄せられています。

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