2024年パリオリンピックで金メダルを獲得したアルジェリアのイマーン・ケリフ選手が、オンラインでの性別をめぐる攻撃を受け、法的措置に踏み切りました。
この問題は、スポーツ界における性別をめぐる複雑な問題を浮き彫りにしています。
イマネ・ケリフ氏は、ネット上での嫌がらせについて訴訟を起こした。
Imane Khelif has filed a legal complaint for online harassment. pic.twitter.com/e3g2Ca0A3h
— Pop Base (@PopBase) August 10, 2024
ケリフ選手は8月1日の試合で、イタリアのアンジェラ・カリーニ選手をKOで下し、金メダルを獲得しました。
しかし、この勝利を受けて、ケリフ選手の性別や遺伝子に関する根拠のない疑惑が浮上しました。
2023年にケリフ選手は国際ボクシング協会(AIBA)による性別検査に引っかかっていたことが明らかになっています。
この検査は2019年以降IOCから承認されていない問題のある制度ですが、にもかかわらず、ケリフ選手の性別を疑う声がオンラインで広まっていったのです。
ケリフ選手は「私に対するソーシャルメディアでの発言は非道徳的」と述べ、自身の弁護士を通じて、パリ検察庁に刑事告訴を行いました。
告訴の対象は、ケリフ選手への「デジタルリンチ」を広めた加害者たちです。
台湾のユー・リンティン選手も、自身の性別をめぐる疑惑に悩まされていた経験があり、ケリフ選手の訴訟に加わる可能性があります。
スポーツ界では、公平性と包摂性のバランスを取ることが難しい課題です。
性別検査制度は問題があるものの、一方で生物学的な差異も無視できません。
選手の人格と尊厳を守りつつ、公平な競争を実現するには、慎重な検討が必要とされています。
ケリフ選手は「世界中の人々の考え方を変えたい」と述べており、法的措置を通じて、性別をめぐる偏見と差別に立ち向かおうとしています。
オリンピックのボクシング金メダリストが直面したこの問題は、スポーツ界全体で取り組むべき難しい課題を示しているといえるでしょう。