トランプ前大統領が、共和党の2024年大統領選挙の副大統領候補にJ.D.バンス上院議員(39歳)を指名したことは、共和党内部での「MAGA(Make America Great Again)」路線の優位性を示す重要な出来事です。
バンス氏は以前はトランプ氏を批判していましたが、現在では最も忠実な支持者の一人となっています。
彼の指名は、特に「ラストベルト」地域の労働者階級のデモクラート支持者を取り込むことが期待されています。
🚨BREAKING: JD Vance has been chosen as Donald Trump's Vice President pic.twitter.com/y8ZgdBhICf
— Benny Johnson (@bennyjohnson) July 15, 2024
バンス氏は1984年8月2日生まれの39歳で、オハイオ州出身の政治家です。
軍歴を持ち、イラク戦争に従軍した経験があります。
また、自伝「ヒルビリー・エレジー」の著者としても知られ、ネットフリックスで映画化されるなど、広く知られた存在です。
「ラストベルト」とは、アメリカ合衆国の中西部地域と大西洋岸中部地域にかけての、かつての重工業地帯が衰退した地域を指す呼称です。
ペンシルベニア州周辺からオハイオ州、ミシガン州、インディアナ州、ウィスコンシン州にかけての地域が該当します。
この地域は、かつては石炭、鉄鋼、自動車産業などの重工業が集積していましたが、産業の衰退により経済的に疲弊した地域となっています。
つまり、「ラストベルト」とは、アメリカの「錆(さび)ついた工業地帯」を指す呼称なのです。
白人労働者階級の苦悩と希望を描いた自伝的小説「ヒルビリー・エレジー」
「ヒルビリー・エレジー」は、J.D.ヴァンス氏の自伝的小説です。

この作品では、ヴァンス自身の幼少期から大学卒業までの人生が描かれています。
ヴァンスは、オハイオ州の田舎町出身の白人家庭に生まれ育ちました。
家族は経済的に苦しく、母親は薬物依存症などの問題を抱えていました。
そのような環境の中で、ヴァンスはイェール大学ロースクールに進学し、弁護士になることを目指します。
しかし、家族の問題に悩まされながら、自分のアイデンティティーについても葛藤を抱えることになります。
この自伝は、2016年に出版されると大きな反響を呼び、全米ベストセラーとなりました。
都市部に住む読者たちが、ラストベルト地域の白人労働者階級の苦悩に共感したためです。
そして2020年には、この自伝がNetflixのドラマ化されました。
https://www.netflix.com/jp/title/81071970
予告編
ドラマ版「ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」では、ヴァンスが突然の連絡を受けて故郷に帰省し、家族の過去と自分の未来について考えるという物語が描かれています。
つまり、「ヒルビリー・エレジー」は、ラストベルト地域の白人労働者階級の生活を描いた重要な作品なのです。
経済的な疲弊と家族の問題を抱えながらも、希望を持ち続ける人々の姿が描かれています。
バンス氏の経歴と政治的立場
バンス氏は当初、トランプ氏を批判していましたが、後に支持者に転じました。
2020年の上院選挙では、トランプ氏の強力な支援を受けて勝利しました。
上院では、トランプ氏の「アメリカ・ファースト」政策を支持する一人となっています。
特に、ウクライナへの軍事支援に反対する立場を取っています。
バンス氏の指名の意義
バンス氏の指名は、トランプ氏が共和党内部での影響力を維持し続けていることを示しています。
また、オハイオ州出身という地元色も強く、「ラストベルト」地域の有権者を取り込むことが期待されています。
さらに、バンス氏は軍歴や「ヒルビリー・エレジー」の著者としての経歴を持ち、労働者階級のデモクラート支持者にも訴求力があると考えられています。
補足情報
バンス氏は、トランプ氏の長男ドナルド・トランプJr.とも親交があり、副大統領候補指名の過程でも彼の強力な後押しを受けていたと報じられています。
まとめ
トランプ氏がバンス氏を副大統領候補に指名したことは、共和党内部での「MAGA」路線の優位性を示す重要な出来事です。
バンス氏は、軍歴や著作家としての経歴、そして労働者階級への訴求力を持っており、「ラストベルト」地域の有権者を取り込むことが期待されています。
今後の共和党の動向を注視していく必要があるでしょう。