5日連続40度超、緊急警報で「屋内も危険」と警告
韓国南東部の都市・梁山(ヤンサン)市で2026年8月2日、気温が42.5度に達し、1904年の近代的な気象観測開始以来、韓国の観測史上最高気温を記録しました。気象当局は「屋外活動を直ちに中止するように」と異例の呼びかけを行っています。ガーディアン紙(AFP通信)の報道をもとに、今回の記録的猛暑の実態と背景を解説します。
韓国梁山市で42.5度——観測史上最高を記録
韓国気象庁(KMA)によると、8月2日(日)午後、梁山市で気温が42.5度まで上昇しました。これは1904年に近代的な気象観測が始まって以来、韓国国内で観測された最高気温です。
梁山市はこの猛暑の”震源地”となっており、40度超えは日曜日で5日連続。大邱(テグ)や釜山(プサン)など他の主要都市でも30度台後半まで気温が上昇しています。
「屋内も危険」——気象当局の異例の警告
KMAは熱波警報を発令し、「屋外活動を直ちに中止するように」と呼びかけました。さらに「冷房のない屋内空間も危険だ」としたうえで、「指定された冷房休憩施設や日陰など涼しい場所に直ちに移動し、水分補給をしながら休息するように」と具体的な行動を促しています。
日曜日時点で、20を超える自治体が「緊急熱波警報」の対象となりました。これは今年新設された警報区分で、体感温度が38度、または実際の気温が39度に達すると予測される場合に発令されます。
生活への影響——プロ野球中止、日常が一変
ソウルのスターバックスに両親と避難していた会社員のジュ・ドンヨルさん(27)は、AFP通信の取材に「外で何かをするには暑すぎる」「自宅やショッピングモール、カフェなど冷房の効いた場所にいる以外、何も考えられない」と語っています。
猛暑の影響はスポーツ観戦にも及びました。韓国プロ野球機構(KBO)は、気温が39.5度に達した昌原(チャンウォン)での試合を中止。同都市では2試合連続の中止となりました。KBOは声明で「昌原地域では熱波の厳重警報が継続しており、観客と選手の安全と健康を最優先に決定した」と説明しています。
KMAのデータによると、韓国国内の年間平均猛暑日数は、過去5年間で2倍以上の19日に増加しています。猛暑日は最高気温33度以上の日と定義されており、この数字の伸びは一過性の異常気象ではなく、構造的な変化を示唆していると言えるでしょう。
背景にある気候変動とエルニーニョ
専門家は、熱波のような極端気象がより頻繁かつ深刻化している背景に、人為的な気候変動があると指摘しています。加えて今年は、太平洋の海面水温を上昇させる自然現象「エルニーニョ(2〜7年周期で発生する自然の気候変動現象)」が再来していることも、猛暑を後押しする一因とみられています。
日本の記録との比較、今後への示唆
今回韓国で記録された42.5度は、実は日本の観測史上最高気温(2025年8月に群馬県伊勢崎市で観測された41.8度)を上回る数字です。東アジア全体で、これまでの「観測史上最高」という基準そのものが、毎年のように塗り替えられつつある状況だと言えます。日本国内でも近年、猛暑日数の増加や熱中症搬送者数の増加が課題となっており、今回の韓国の事例は決して”対岸の火事”ではありません。屋外活動の中止基準や冷房休憩施設の整備など、韓国の対応策は日本の今後の暑熱対策を考えるうえでも参考になりそうです。
補足情報
梁山市に近い慶尚南道(キョンサンナムド)密陽(ミリャン)では、農作業員がパラソルの下でイチゴの収穫作業を続ける様子が報じられており、猛暑下でも屋外労働を続けざるを得ない人々の存在も浮き彫りになっています。エルニーニョは、太平洋赤道域の海面水温が平年より高くなる現象で、世界各地の異常気象(高温・干ばつ・豪雨など)を引き起こすことで知られています。逆に海面水温が低くなる現象は「ラニーニャ」と呼ばれ、両者は数年おきに入れ替わりながら発生する傾向があります。
まとめ
韓国・梁山市で観測された42.5度は、1904年の観測開始以来の最高記録であり、日本の観測史上最高気温をも上回るものでした。気象当局による「屋内も危険」という異例の警告や、プロ野球の試合中止など、猛暑が社会活動全般に及ぼす影響は年々深刻化しています。人為的な気候変動とエルニーニョが重なった今回の事例は、東アジア全体が直面する暑熱リスクの高まりを象徴していると言えるでしょう。
出典:
The Guardian(Agence France-Presse配信)
The Japan Times
France 24