北朝鮮による”汚物風船”攻撃が注目を集めている。
数百個の風船に満載された汚物やゴミが韓国に向けて飛んだ出来事だ。この異常な行為の背景には何があるのだろうか。
数字で見る”汚物風船”事件
5月29日、北朝鮮は韓国に向けて260個以上の”汚物風船”を飛ばした。
風船には生ゴミや糞尿などが詰め込まれ、南北の緊張を高める結果となった。
韓国軍は即座に爆発物処理班を動員し、各地に撒かれた汚物の処理に追われた。
北朝鮮の主張と反発
一見無意味な行為に見えるが、北朝鮮はこれを”応酬措置”と位置づけている。
北朝鮮当局によると、韓国の人権団体による反体制宣伝物資の散布に対する”対抗措置”だという。
しかし実際には、別の深層的な理由があるのではないか。
失敗の影と体制の窮地
北朝鮮は5月31日、偵察衛星打ち上げに失敗した。
宇宙開発は金正恩政権の看板政策の一つだっただけに、この失敗は体制に大きな打撃を与えたはずだ。
国内の不満を外部に向ける”汚物風船攻撃”は、そうした体制の窮地を隠す”外患diversionary strategy(国内問題からの注意そらし策)”の可能性がある。
米国への対抗心理も
さらに、韓国に対する敵対心だけでなく、米国への対抗姿勢も垣間見える。
金正恩は衛星打ち上げ失敗について「米国と韓国の軍事活動に対抗するため、偵察衛星は不可欠」と述べている。
つまり”汚物風船”は、米国を意識した対抗措置の延長線上にもあると推測できる。
東西冷戦下の”汚物外交”と北朝鮮
実は”汚物外交”は、北朝鮮が生み出した新しい手法ではない。
東西冷戦時代にも、両陣営は相手国に対して動物の死体や汚物を投棄するケースがあった。
北朝鮮はこうした過去の例に習ったのかもしれない。
まとめ
北朝鮮の”汚物風船攻撃”の背景には、体制の窮地や対米国・韓国の対抗心理が見て取れる。
表面的な理由とは別に、深層心理として国内不満の外部転嫁や、外交的プレッシャーがあったのではないか。
この異様な外交手段が、北朝鮮体制の危機感を物語っているのかもしれない。