米ジョージア州高校銃乱射、息子に銃を与えた父親に禁錮180年の可能性

コルト・グレイ受刑者は終身刑、米で異例の親への刑事責任追及

2024年9月、米ジョージア州のアパラチー高校で発生した銃乱射事件は、生徒2人と教師2人の命を奪いました。犯行に及んだ当時14歳の少年コルト・グレイ受刑者は今週、仮釈放なしの終身刑を言い渡されました。そして注目すべきは、その3日後に予定される父親コリン・グレイ被告(56)への量刑審理です。ABCニュースの報道によれば、息子に凶器を与え、複数の警告を見過ごしたとして起訴された父親は、最大180年の禁錮刑に直面しています。親が子どもの銃乱射事件で刑事責任を問われる、米国でもまだ数少ない事例を追います。

事件の経緯——2024年9月のアパラチー高校銃乱射

事件が起きたのは2024年9月、米ジョージア州バロウ郡のアパラチー高校でした。当時14歳だったコルト・グレイ受刑者が校内で発砲し、生徒2人と教師2人が死亡、9人が負傷しました。

コルト・グレイ受刑者は殺人や加重暴行など全55件の起訴事実について有罪を認めていました。今週火曜日、ニコラス・プリム判事は「あなたの犯した罪は更生不可能なほどの凶悪さを示しており、悪意ある殺人のそれぞれについて仮釈放なしの終身刑を科す」と述べ、判決を言い渡しました。

見過ごされた警告——父親が息子に贈ったAR-15型ライフル

2週間にわたる裁判で検察側が示したのは、コリン・グレイ被告が事前に息子の危険な兆候について複数回警告を受けていたという証拠でした。息子が大量殺人犯に強い関心を示していたこと、そして2018年にフロリダ州マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で17人が犠牲になった銃乱射事件の実行犯を祭る「祭壇」を寝室に作っていたことも把握していたとされています。

それにもかかわらずコリン・グレイ被告は、息子に心理的なケアを受けさせる代わりに、クリスマスプレゼントとしてAR-15型ライフルを与えました。被告本人の証言によれば、「射撃場で撃つための銃だ。学校でちゃんとやっていれば、18歳になったときにこれは完全にお前のものになる」というルール付きで手渡したといいます。

法廷で証言に立ったコリン・グレイ被告は、危険な兆候に気づかなかったのかと問われ、涙をこらえながら「毎日苦しんでいる。あの子はいい子なんだ。完璧じゃなかったが、あれほど残虐なことをするなんて、誰にもあの悪意は見抜けなかったと思う」と述べました。

父親に問われた27件の罪状、量刑は最大180年

陪審は2026年3月、コリン・グレイ被告について2件の第二級殺人、2件の故殺(こさつ、殺意はないが重大な過失で人を死なせる罪)、児童虐待、無謀行為など合計27件の罪状で有罪の評決を下しました。評決までの審議時間はわずか2時間足らずだったといいます。

バロウ郡地方検事のブラッド・スミス氏は評決後、「長期間にわたり複数の警告があった」と指摘したうえで、「たった一つのこと――あのライフルを取り上げること――さえしていれば、この事件は防げたはずだ」と記者団に語りました。

コリン・グレイ被告の量刑審理は2026年7月31日(木)に予定されており、求刑の上限は180年、最低でも服役済み期間で済む可能性もあるとされています。

「クランブリー事件」との比較——広がる親の刑事責任

今回のケースは、ジョージア州で初めて、そして全米でもごく数例しかない「子どもの銃乱射事件で親が刑事責任を問われた」事例です。

先行例として知られるのが、2021年11月にミシガン州オックスフォード高校で生徒4人が死亡した銃乱射事件です。実行犯イーサン・クランブリーの両親、ジェームズ・クランブリー、ジェニファー・クランブリー両被告は2024年2〜3月にそれぞれ故殺罪(4件)で有罪となり、同年4月に10〜15年の禁錮刑を言い渡されました。これは全米で初めて親が子どもの銃撃事件について有罪となった事例として大きく報じられました。

今回のコリン・グレイ被告のケースが法的に注目されるのは、クランブリー夫妻に適用された「故殺」よりも重い「第二級殺人」の罪状で有罪となった点です。その結果、量刑の上限もクランブリー夫妻の10〜15年から180年へと大きく引き上げられています。この違いは、親の”不作為”に対する検察・司法の姿勢が、事件を重ねるごとに厳格化していることを示唆していると考えられます。

今後の見通し

コリン・グレイ被告への量刑は7月31日に言い渡される予定です。今回の一件は、銃を所持する家庭における保護者の管理責任、そして「危険な兆候」への対応の是非について、米国内で改めて議論を呼び起こすとみられます。今後、同様の事件が起きた際に、親を第二級殺人などのより重い罪状で起訴する動きが他州にも広がるのか、注目されます。

補足情報

アパラチー高校銃乱射事件は、2018年のパークランド銃乱射事件(フロリダ州マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校、17人死亡)以降、米国で相次ぐ学校銃乱射事件の一つです。コルト・グレイ受刑者が「祭壇」を作っていたとされるこの2018年の事件は、その後の銃規制論議や学校の安全対策強化のきっかけとなった象徴的な事件として知られています。米国では銃の所持・管理をめぐる親の法的責任について州ごとに法律が異なり、ジョージア州にはこれまで今回のような明確な前例が存在しませんでした。

まとめ

14歳の少年が起こした悲劇は、少年本人だけでなく、危険な兆候を見過ごし凶器を与えた父親にも重い刑事責任が及ぶという結果になりました。仮釈放なしの終身刑と、最大180年という量刑の可能性は、銃社会アメリカにおける「親の責任」の重さを象徴する判断だと言えるでしょう。7月31日に言い渡される父親への量刑にも注目です。

出典:
ABC News
CNN
Georgia Public Broadcasting

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