“Crimson Collective(クリムゾン・コレクティブ)”とは?大規模サイバー攻撃の手口と実態

Crimson Collectiveとは何者か?

2025年9月下旬に突如登場した「Crimson Collective(クリムゾン・コレクティブ)」は、複数人から成る新興サイバー犯罪グループです。

グループはTelegramやX(旧Twitter)で積極的に情報発信を行い、ハッキングした証拠としてディレクトリリストやデータサンプルを公開しながら金銭を要求する、いわゆる「恐喝型クラウド犯罪」の典型です。

主な特徴は以下の通りです。

  • クラウド(特にAWS)を標的にした先進的攻撃
  • 流出した認証情報や設定ミスを利用して短時間で広範な権限を奪取
  • 重要企業を次々に攻撃し、集団名を短期間で“ブランド化”

主な被害事例とその規模

Red Hat(米国)への大規模攻撃

2025年10月、IBM傘下のRed Hat社が保有する社内開発GitLabシステムに不正侵入し、約28,000件・総量570GBのデータを窃取。

なかにはソースコードや各種機密技術資料、約800件の企業向けコンサル報告書(CERs)が含まれていました。

Red Hatは一部データの外部流出も公式に認め、認証情報リセット対応を取るなど徹底調査を続けています。

「任天堂に侵入」と主張 証拠画像も公開

2025年10月、海外サイバーセキュリティ関連のX(旧Twitter)アカウントや専門ニュースで、「日本の任天堂が新手のハッカー集団『Crimson Collective』の標的になった」との情報が拡散されました。

このグループは、世界的に有名なゲーム企業・任天堂のAWS(Amazon Web Services)サーバーへのアクセス成功を主張し、「内部ファイルやディレクトリに触れた証拠」としてスクリーンショットもSNS上で公開しています。​​

公開された“証拠”と実際の被害

ハッカー集団が公開した画像には、「開発アセット」「プロジェクトバックアップ」「テスト用ビルド」など、ゲーム開発の進行中フォルダらしきディレクトリ構造が映し出されていました。

また、任天堂公式HPのニュース(トピックス)に関係するファイルだという指摘も複数の報道で出ています。

ただし流出内容については、(一部画像の信ぴょう性が疑われていることもあり)「ホームページ更新用サーバー程度のアクセスでは」と分析する専門家の声もあり、現時点では被害規模や情報流出の詳細は未確認です。

任天堂は2025年10月現在、公式コメントを出していません。

​https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2510/14/news053.html

その他の被害

  • 通信事業者Claro Colombia:5000万件を超す請求書や開発ファイルが窃取されたと主張。
  • Lapsus$やShinyHuntersなど既存大手ハッカー集団との連携・情報共有もうかがえる。

攻撃の手法と新たな脅威

Crimson Collectiveが採用する技術的特徴は、

  • AWS/Azureなどクラウドの設定ミスや“漏れたアクセスキー”を悪用し、IAM(アクセス権限管理)のバイパスから全体権限を乗っ取る
  • 侵入直後に新規IAMユーザーを作成、「AdministratorAccess」等の管理者権限を付与して追加被害を拡大
  • 機密性の高いデータ(設計情報、認証鍵、工場バックアップ等)が選別的に窃取される

また、攻撃が検知されてもランサムウェアによる暗号化は行わず、取得したデータを元に脅迫・要求が行われています。

こうした“暗号化しない型”は復旧費用だけでなく信用・損害賠償の観点でも企業に大きなリスクをもたらします。

「集団化」「情報戦」の最前線

同グループは活動開始直後からShinyHuntersやLapsus$など他の著名ハッカー組織と連携を自称。

ダークウェブやTelegram、リークサイトを駆使して“実績”と脅威性を強調し、実際に流出サンプルの拡散や他集団による二次利用も確認されています。

社会・企業への影響と今後の対応策

企業は従来の「境界型防御」だけでなく、クラウド認証情報の厳正管理、アクセス権の最小化、リアルタイム監視・異常検知、漏洩時の即時対応体制など、“クラウド時代の積極防御”が不可欠です。

また、社員教育や運用ルールの見直し、外部インテリジェンス連携も重要な課題となっています。


【まとめ】

Crimson Collectiveの台頭は、クラウド時代に不可避となりつつある“複合型サイバー犯罪”の象徴的事件と言えるでしょう。

グローバル大企業はもちろん、国内ITインフラすべてが持つリスクと課題を再認識するきっかけとなりました。

今後も彼らの動向と、各社のセキュリティ施策動向から目が離せません。

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