2025年5月、メジャーリーグベースボール(MLB)は、歴史的な決断を下しました。
1989年から35年以上にわたり永久追放されていた“ヒットキング”ことピート・ローズが、死後にその処分を解除され、野球殿堂(Baseball Hall of Fame)入りの道が開かれたのです。
Pete Rose, MLB's all-time Hit King, removed from ineligible list in a stunning turn in one of sport’s longest-running dramas.
— USA TODAY Sports (@usatodaysports) May 13, 2025
🔗: https://t.co/F3xWtf0dDI#PeteRose | #MLB | #CincinnatiReds | #ATOBTTR | @BNightengale pic.twitter.com/uAtq6DCY0J
ローズはMLB史上最多の4,256安打を記録し、17度のオールスター選出、3度のワールドシリーズ制覇など輝かしい実績を持ちながら、現役および監督時代の野球賭博(ギャンブル)問題により、長らく野球界から排除されてきました。
この決定は、野球界のみならず、ファンや専門家の間でも賛否両論を巻き起こしています。
本記事では、ローズの歩みと永久追放解除の経緯、SNSを含む世論の反応、そして今後の展望まで、深く掘り下げて解説します。
ピート・ローズとは何者か ― 記録と功績
ピート・ローズ(Pete Rose)は、1963年から1986年まで主にシンシナティ・レッズで活躍し、フィラデルフィア・フィリーズやモントリオール・エクスポズでもプレーしました。彼の主な実績は以下の通りです。
- MLB史上最多安打:4,256本
- 通算試合数:3,562試合(歴代1位)
- 通算打席数:14,053打席(歴代1位)
- 17回のオールスター選出
- 3度のワールドシリーズ優勝
「ヒットキング」と称される所以は、その圧倒的なヒット数と、勝利への執念にあります。
彼のプレースタイルは常に全力で、ヘッドスライディング(頭から滑り込む走塁)は彼の代名詞となりました。
ファンからは熱狂的な支持を受け、野球史に名を刻む伝説的選手です。
しかし、1989年、監督時代の賭博行為が発覚。
MLB規則21(賭博禁止規定)違反により、当時のコミッショナー、A・バートレット・ジアマッティによって永久追放処分となりました。
この処分は、野球の「聖域」ともいえる殿堂入りの道も閉ざすものでした。
永久追放から解除へ ― 歴史的決断の背景
2025年5月、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッドは、ピート・ローズを含む17人の故人を永久追放リストから除外する決定を発表しました。
この決断は、ローズの家族による嘆願書がきっかけとなり、「永久追放は当人の死去によって終了する」という新たな方針が示されたのです。
マンフレッド・コミッショナーは声明で、「既に故人となった人物が野球の誠実性に脅威を与えることはない。生涯にわたる処分以上に重い罰は考えにくい」と述べています。
この方針変更は、1919年のブラックソックス事件(八百長事件)で追放された“シューレス”・ジョー・ジャクソンらも対象となり、野球史における大きな転換点となりました。
殿堂側も「永久追放リストから除外された者は殿堂入りの資格を得る」と明言。
今後、クラシック・ベースボール・エラ委員会(Classic Baseball Era Committee)が2027年12月に候補者リストを作成し、2028年以降に投票が行われる予定です。
世論とSNSの反応 ― 賛否両論渦巻く
今回の決定は、野球ファンや専門家、メディア、SNS上で大きな議論を呼び起こしています。
肯定的な意見
- 「ローズは歴代トップ10の打者であり、殿堂入りに値する」
- 「人は過ちを犯すもの。十分な制裁を受けた今こそ、功績を認めるべき」
- 「永久追放解除は遅すぎたが、正しい判断だ」
否定的な意見
- 「ギャンブルは野球の根幹を揺るがす重大な違反。殿堂入りは認めるべきでない」
- 「ローズは長年嘘をつき続け、真摯な反省が見られなかった」
- 「今回の決定は、野球の誠実性(integrity)を損なう恐れがある」
SNS(X、旧Twitter)では、「#PeteRose」「#BaseballHallofFame」などのハッシュタグがトレンド入りし、賛否両論のコメントが飛び交いました。
特にアメリカ国内では「ローズの殿堂入りは野球界の分断を象徴する」といった声も目立ちます。
また、ドナルド・トランプ前大統領もSNSで「ローズは殿堂入りすべき」と繰り返し発信し、政治家や著名人も議論に加わっています。
野球界とギャンブルの関係 ― 時代の変化とローズ問題
1980年代当時、野球界におけるギャンブルは“絶対的な禁忌”とされていました。
しかし、近年はスポーツベッティング(賭博)が合法化され、MLBも公認ベッティングパートナーを持つなど、時代は大きく変化しています。
- 2018年、米最高裁がスポーツ賭博の州ごとの合法化を認め、ベッティング市場は急拡大
- 2024年には、月間ベッティング額が10億ドルを超える州も登場
- MLB公式放送や球場内にもベッティング広告が増加
このような状況下、「ローズの罪は今も重いのか」という問いが再燃しています。
専門家の中には「現代なら出場停止程度で済んだ可能性もある」と指摘する声もあり、野球界の倫理観や時代背景の変化が、今回の決断に影響を与えたことは間違いありません。
一方で、「ギャンブル禁止は野球の根幹。時代が変わってもルールは守られるべき」という厳格な意見も根強く存在します。
今後の展望と殿堂入りの可能性
ピート・ローズの殿堂入りには、今後いくつかのハードルがあります。
クラシック・ベースボール・エラ委員会(16人)による投票で12票以上(75%)が必要であり、最短でも2028年の殿堂入りが見込まれます。
- ローズの名前が候補者リストに載るかどうか
- 委員会メンバーの世代や価値観による投票傾向
- 過去の賭博問題や社会的議論の影響
また、同時にブラックソックス事件の関係者や他の追放者も再評価の対象となるため、野球殿堂の歴史そのものが見直される可能性もあります。
ローズとその他の追放者たち
他の永久追放解除対象者
今回の決定で、以下の著名な選手も追放解除となりました。
- “シューレス”・ジョー・ジャクソン(1919年ブラックソックス事件)
- エディ・シコット
- チック・ガンディル
- バック・ウィーバー
- 他、計17名
これらの選手も今後、殿堂入りの議論が活発化することが予想されます。
ローズの晩年と家族の思い
ローズ自身は生前、「自分が殿堂入りできるのは死後だろう」と語っていました。
家族やファンにとっては、彼の名誉回復が大きな意味を持つ一方、本人がその瞬間を迎えられなかったことへの複雑な思いも残ります。
まとめ
ピート・ローズの永久追放解除と殿堂入り資格の復活は、野球史における大きな転換点となりました。
時代の変化とともに、ギャンブル問題や倫理観の再評価が進み、ローズをはじめとする追放者たちの功績が改めて見直されています。
今後、殿堂入りの可否や野球界の価値観がどのように変化するのか、引き続き注目が集まるでしょう。
野球ファンの皆さんも、歴史的な瞬間を見届けながら、ご自身の意見や思いをSNSなどで発信してみてはいかがでしょうか。