2025年5月、世界的な投資家ウォーレン・バフェットがバークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)のCEOを年末で退任し、後継者としてグレッグ・エイベル(Greg Abel)を指名することを発表しました。
Who is Greg Abel – Warren Buffet’s pick as successor CEO of Berkshire Hathaway? https://t.co/s0olDTDnpC pic.twitter.com/pPfv3gSyCF
— New York Post (@nypost) May 4, 2025
バフェット氏が60年近く率いてきた巨大コングロマリットの舵取りを託されたエイベル氏は、これまであまり表舞台に出ることのなかったカナダ出身の実務家です。
本記事では、グレッグ・エイベルの人物像、経営スタイル、SNSを中心とした世間の反応、そしてバークシャー・ハサウェイの未来について詳しく解説します。
グレッグ・エイベルの経歴と人物像
グレッグ・エイベルは1962年、カナダ・アルバータ州エドモントン生まれ。幼少期はホッケーやフットボールに親しみ、アルバイトでチラシ配りや瓶の回収などを経験しながら勤労精神を養いました。
1984年にアルバータ大学で会計学の学士号を取得し、米国の大手監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)で会計士としてキャリアをスタート。
その後、地熱発電会社CalEnergyに転職し、1999年には同社がMidAmerican Energyを買収、さらにバークシャー・ハサウェイが同社の経営権を取得したことで、エイベルはバークシャーグループ入りを果たします。
2008年にはMidAmerican Energy(現バークシャー・ハサウェイ・エナジー)のCEOに就任し、2018年からはバークシャー・ハサウェイの非保険事業部門担当副会長として、BNSF鉄道やSee’s Candies、Dairy Queenなど多岐にわたる事業を統括してきました。
2025年5月、正式にバフェットの後継者としてCEO就任が発表され、世界の注目を集めています。
経営スタイルとバークシャー・ハサウェイでの実績
グレッグ・エイベルの経営スタイルは「現場主義」と「分権経営の尊重」が特徴です。
バフェット氏の「子会社の自主性を最大限に尊重する」という伝統を受け継ぎつつ、各事業部門の現場に深く関与し、課題や機会を直接把握する「ハンズオン型」のリーダーシップを発揮しています。
特にバークシャー・ハサウェイ・エナジーの経営では、再生可能エネルギーやインフラ投資に注力し、長期的な資産価値の最大化を目指してきました。
また、近年は日本の大手商社5社への大型投資や、BNSF鉄道などのインフラ事業の強化にも積極的に関与しています。
2022年にはバークシャー・ハサウェイ・エナジーの1%株式を約8億7,000万ドルで売却し、その資金でバークシャー・ハサウェイのクラスA株168株(約6,800万ドル相当)を購入するなど、経営者としての「オーナーシップ」も示しています。
SNSやインターネット上の反応
バフェット氏の退任とエイベル氏のCEO就任発表は、X(旧Twitter)や各種SNS、投資家フォーラムで大きな話題となりました。
多くのユーザーが「時代の終わり」と「新時代の幕開け」を感じる一方、「エイベル氏の知名度の低さ」や「バフェット氏のカリスマ性との違い」に不安を示す声も見られます。
一方で、長年バークシャーをウォッチしてきた投資家やアナリストからは「エイベル氏は既に実務面でリーダーシップを発揮しており、バフェット氏からの信頼も厚い」 「事前に後継者として準備されてきたため、混乱は少ないだろう」といった冷静な評価が目立ちます。
SNS上では、
- 「グレッグ・エイベルの堅実な経営に期待」
- 「バークシャーの分権経営モデルは維持されるのか?」
- 「バフェットのような投資哲学を継承できるのか」
といった意見が多く、今後の動向に注目が集まっています。
今後の課題と展望
グレッグ・エイベルが直面する最大の課題は、バフェット氏が築いた「分権経営」と「長期投資哲学」を維持しつつ、時代の変化にどう対応するかです。バークシャー・ハサウェイは約40万人の従業員と多様な事業ポートフォリオを持つ巨大企業であり、AIや再生可能エネルギー、グローバル経済の変化など新たな課題への対応力が問われます。
また、エイベル氏は既に資本配分(キャピタルアロケーション)や新規投資案件の意思決定にも深く関与しており、バフェット氏から「既にCEOの役割を実質的に担っている」と評価されています。
今後は、経営の透明性や株主との対話、サステナビリティへの対応など、従来のバークシャーとは異なる新しいリーダーシップが求められるでしょう。
エイベル体制のバークシャー・ハサウェイの組織体制
エイベル氏がCEOに就任した後も、バークシャー・ハサウェイの経営は「チーム体制」が継続されます。
保険事業部門はアジット・ジェイン(Ajit Jain)が引き続き統括し、投資部門はトッド・コームズ(Todd Combs)とテッド・ウェシュラー(Ted Weschler)が担当します。
また、バフェット氏の息子ハワード・バフェットが非業務執行会長としてガバナンスを担う予定です。
このように、エイベル氏一人に全責任を集中させず、複数の専門家による分業体制でリスク管理と意思決定の質を高める設計となっています。
まとめ
ウォーレン・バフェット氏の後継者として、グレッグ・エイベル氏がバークシャー・ハサウェイの新しい時代を切り開こうとしています。
カナダ出身の実務家であるエイベル氏は、現場主義と分権経営を融合させたリーダーシップで、バークシャーの伝統を守りつつも、時代の変化に柔軟に対応することが期待されています。
SNSや投資家からは期待と不安が入り混じった声が上がっていますが、エイベル氏の堅実な経営手腕とチーム体制が、バークシャー・ハサウェイの持続的成長を支えるでしょう。
今後もエイベル体制の動向に注目し、変化の時代を生き抜くためのヒントを見逃さないようにしましょう。