私たちの食卓を彩る鮮やかな色合い。その裏には、石油由来の人工着色料(合成着色料)が多く使われてきました。
しかし、2025年4月、アメリカのロバート・F・ケネディJr.厚生長官が、これら人工着色料を国内の食品から全面的に撤廃する計画を発表し、世界中に大きな衝撃を与えました。
この動きは、子どもの行動障害や発がんリスクとの関連が指摘される中、食の安全性を見直す重要な転換点となりそうです。
本記事では、米国の最新動向と健康リスク、各国の規制、日本の現状や今後の課題について、専門的かつ分かりやすく解説します。
The Trump administration says it will announce a plan to remove artificial dyes from the nation’s food supply. https://t.co/DkKG8xCRTV
— NBC News (@NBCNews) April 22, 2025
アメリカで進む人工着色料撤廃の背景
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、現在36種類の食品用着色料を認可しており、そのうち9種類が石油由来の合成着色料です。
これらは主にキャンディー、シリアル、炭酸飲料など、子ども向けの製品に多用されています。
中でも「赤色3号(Red No.3)」は1907年から食品に使用されてきましたが、2025年1月に発がん性リスクを理由に禁止され、食品業界には2027年までの使用停止が義務付けられました。
ケネディ長官は、人工着色料が子どもの多動性(ADHD)や行動障害に関与しているとし、全面撤廃を強く主張しています。
実際、カリフォルニア州やウェストバージニア州など、複数の州でも独自に規制強化が進んでおり、カリフォルニア州では2024年に公立学校での人工着色料使用が禁止されました。
人工着色料の健康リスク—科学的根拠と議論
人工着色料の健康リスクについては、長年にわたり議論が続いています。
特に注目されているのが、子どもの行動への影響です。
カリフォルニア州環境保健有害性評価局(OEHHA)の2021年報告書では、27件の臨床試験のうち64%で、着色料と子どもの行動障害(多動性、イライラ、記憶障害など)との関連が認められました。
また、人工着色料がアレルギー反応や大腸炎、DNA損傷、発がんリスクといった健康問題にも関与する可能性が指摘されています。
一方で、FDAは現時点で「明確な因果関係は証明されていない」としつつも、引き続き監視を続ける姿勢を示しています。
しかし、近年の研究では、着色料を除去した子どもは多動や落ち着きのなさが減少したという報告もあり、規制強化の動きが加速しています。
世界の規制動向と企業の対応
欧州連合(EU)では、特定の人工着色料を含む食品に「子どもの活動や注意力に悪影響を及ぼす可能性がある」との警告表示が義務付けられています。
イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどでも、すでに多くの人工着色料が禁止または厳しく規制されており、食品メーカーは天然由来の着色料(例:ウコン、ビート、スピルリナなど)への切り替えを進めています。
アメリカでも、消費者の関心の高まりを受け、大手食品メーカーが自主的に天然着色料への移行を進めている例が増えています。
業界団体も「食品の安全性を最優先する」との声明を出しつつ、今後の規制強化に備えた対応を模索しています。
日本の現状と今後の課題
日本でも、人工着色料は「タール色素」として36品目が食品添加物として認可されていますが、欧米に比べて規制は緩やかです。
たとえば、米国で禁止された赤色3号(食用赤色三号)は日本でも使用が認められており、同系統の赤色104号、105号、106号も流通しています。
一方で、消費者の健康志向の高まりから、天然着色料への切り替えや「無添加」表示を訴求する商品も増えてきました。
今後、日本でも国際的な規制動向や最新の科学的知見を踏まえ、より厳格なリスク評価や規制強化が求められるでしょう。
特に、子ども向け食品の安全性確保や、消費者が正しい情報をもとに選択できる環境整備が急務です。
人工着色料と消費者の選択
人工着色料の主な目的は「見た目を良くする」ことにありますが、栄養価や保存性には寄与しません。
近年では、消費者の間で「食品添加物フリー」や「クリーンラベル」への関心が高まっており、天然由来の着色料を使った製品が注目されています。
また、着色料によるアレルギー反応は成人の1%、子どもの2%程度に見られ、軽度の皮膚症状から重篤な呼吸器症状まで様々です。
こうしたリスクを踏まえ、家庭でもできるだけ原材料表示を確認し、着色料の少ない食品を選ぶことが推奨されます。
まとめ
アメリカで始まった人工着色料の全面撤廃は、食の安全性を見直す大きな一歩です。
最新の科学的知見や世界の規制動向を踏まえ、今後は日本でもより厳格な規制や消費者への情報提供が求められるでしょう。
私たち一人ひとりが「何を選ぶか」が、未来の食卓を形作ります。
今こそ、食品の安全性や成分表示に目を向け、健康的な選択を心がけていきましょう。