鳥インフルエンザの流行により、アメリカの卵価格が急騰しています。
この「エッグフレーション」と呼ばれる現象は、消費者の行動に予想外の影響を与えています。
卵の価格高騰に悩まされるアメリカ人が、安価な卵を求めてメキシコ国境を越える事態が発生しているのです。
しかし、この行為には思わぬリスクが潜んでいます。
卵価格の急騰と消費者の苦境
2025年、アメリカの食卓に異変が起きています。
スーパーマーケットの卵売り場には、空っぽの棚が目立つようになりました。
その背景には、鳥インフルエンザの大規模な流行があります。
米国での卵の価格
Eggflation reaches January 2023 highs. pic.twitter.com/9rvpqZNwKc
— David Carey (@DavidCareyMStar) March 10, 2025
1月だけで約1900万羽の鶏が影響を受け、卵の供給が激減しました。
農務省の予測によると、今年の卵価格は41%も上昇する見込みです。
この状況を「エッグフレーション」と呼ぶ人もいます。
卵が手に入る店でも、購入数に制限がかけられることが多くなっています。
価格の上昇は消費者だけでなく、飲食店にも影響を与えています。
ワッフルハウスやデニーズといった朝食チェーン店では、卵料理に1個あたり0.50ドルの追加料金を設定するようになりました。
メキシコへの買い出しラッシュ
この異常事態は、アメリカ人を新たな卵の調達先へと向かわせています。
その目的地は南の国境を越えたメキシコです。
メキシコでは1ダースの卵が約2ドルで販売されているのに対し、カリフォルニア州の多くの地域では1ダース10ドル近くまで高騰しています1。
この価格差が、多くのアメリカ人をメキシコへの買い出しに駆り立てています。
毎日20万台以上の車がメキシコからアメリカに入国していますが、その中には食料品や医薬品、その他の安価な商品を積んだ車も多く含まれています。
スマートボーダー連合の事務局長は次のように述べています。
「メキシコ側で食料品を買い、それを持ち込むのはごく一般的なことです。多くの人が乾燥食品をメキシコ側で購入して持ち込んでいます」。
卵の密輸と罰則
しかし、この行為には大きな問題があります。
アメリカへの生卵や新鮮な卵の持ち込みは禁止されているのです。
その理由は、高病原性鳥インフルエンザやニューカッスル病といった高度に伝染性のある鳥類の病気への懸念があるためです。
税関・国境警備局(CBP)の広報担当者によると、生卵だけでなく、生鶏肉や未加工の鳥類製品、生きた鳥の持ち込みも禁止されています。
さらに、使用済みの卵パックでさえ、同じ病気を広げる可能性があるため持ち込みが禁止されています。
このため、農産物を持ち込む人は全て、国境警備官や農業専門家に申告する必要があります。
申告しないと、罰金や処罰の対象になる可能性があります。
卵の押収と処分
CBPの報告によると、今年度の卵の押収件数は前年同期比で48%増加しています。
サンディエゴでは、驚くべきことに158%も増加しています。
押収された卵は、オーブンサイズの焼却炉で破壊されます。
初回の違反者には300ドルの罰金が科せられますが、常習違反者に対しては最大10,000ドルの罰金が科せられる可能性があります。
ほとんどの卵の押収は、申告した旅行者が結果的に放棄したものだといいます。
アメリカの対応策
この卵不足に対し、アメリカ政府も対策を講じています。
トルコが2025年7月までに15,000トンの卵をアメリカに販売することに同意しました。
韓国も卵の販売に同意していますが、各国の卵に関する法律や規制が複雑で、簡単には解決できない状況です。
農務長官は、他の国々とも交渉を続けていると述べています。
「短期的に卵の価格を下げるため、非常に積極的に取り組んでいます」と記者会見で語りました。
エッグフレーションの影響
エッグフレーションは、単に家庭の食費を押し上げるだけでなく、社会全体に様々な影響を及ぼしています。
- レストラン業界への影響:多くのレストランが卵料理のメニューを変更したり、価格を引き上げたりしています。
- 代替品の需要増加:豆腐や植物性の卵代替品の需要が急増しています。
- 養鶏業界の変化:より衛生的で効率的な養鶏方法の開発が加速しています。
- 国際貿易への影響:卵の国際取引が活発化し、新たな貿易関係が構築されつつあります。
まとめ
エッグフレーションは、単なる卵価格の高騰にとどまらず、消費者行動や国際関係にまで影響を及ぼす複雑な問題となっています。
アメリカ政府の対策や国際協力の進展が注目される中、消費者は適切な情報を得て、賢明な選択をすることが求められています。
この状況は、グローバル化した現代社会における食料安全保障の重要性を改めて浮き彫りにしています。
今後、より持続可能で強靭な食料供給システムの構築が急務となるでしょう。