イーロン・マスクが行った物議を醸す敬礼のジェスチャーが、ベルリンのテスラ工場に大々的に投影されるという衝撃的な出来事が起きました。
この事態は、マスクの行動をめぐる世界的な論争に新たな火種を投じることとなりました。
マスクの物議を醸すジェスチャー
Elon Musk was very ill-advised to do this kind of salute to denote his clearly stated ‘my heart goes out to you’ sentiment… but he obviously didn’t mean it as a Nazi salute and anyone who says he did is being a disingenuous idiot. pic.twitter.com/5fh82psnSC
— Piers Morgan (@piersmorgan) January 21, 2025
2025年1月22日、ベルリンにあるテスラのギガファクトリーに、イーロン・マスクが行った問題のジェスチャーの画像が投影されました。
この画像には「Heil Tesla(ハイル・テスラ)」という文字が添えられており、ナチスのスローガン「Heil Hitler(ハイル・ヒトラー)」を連想させる内容でした。
https://www.newsweek.com/elon-musk-controversial-salute-image-beamed-tesla-factory-berlin-2019279
この投影は、2つの左派活動家団体によって行われたと主張されています。
彼らは、マスクが2日前に行ったジェスチャーを批判的に取り上げる目的で、この行動を起こしたとみられています。
マスクのジェスチャーの詳細
問題のジェスチャーは、1月20日にワシントンD.C.のキャピタル・ワン・アリーナで行われたドナルド・トランプ大統領の就任祝賀イベントで発生しました。
マスクは聴衆に向かって「これを実現してくれてありがとう」と述べた後、右手を胸に当て、その後まっすぐ前方に伸ばすという動作を行いました。
この動作は、多くの人々によってナチスの敬礼に酷似していると指摘され、世界中で大きな波紋を呼びました。
特に、マスクがこの動作を2回繰り返したことが、意図的なものではないかという疑念を強めることとなりました。
専門家の見解と反応
この出来事に対して、歴史学者や政治評論家など多くの専門家が意見を表明しています。
アメリカのナチズム専門家であるクレア・オービン氏は、マスクのジェスチャーを「ジーク・ハイル(ナチスの敬礼)」であると断言しました。
同様に、ファシズム研究者のルース・ベン=ギアット氏も、これを「ナチスの敬礼であり、非常に攻撃的なものだった」と評しています。
一方で、反誹謗同盟(ADL)のような組織は、マスクの行動を擁護する立場を取りました。
ADLはこのジェスチャーを「熱狂の瞬間における不器用な動作」と表現し、批判を控えるよう呼びかけています。
マスクの反応と擁護
マスク本人は、この騒動に対して直接的な説明を避けています。
代わりに、彼はソーシャルメディア上で批判者たちを揶揄するような発言を行っています。
「みんなヒトラーだと言うのは、もう飽き飽きだ」というのが、彼の反応の一つです。
マスクの擁護者たちは、このジェスチャーは単なる誤解であり、意図的なものではないと主張しています。
マスクの側近の一人であるアンドレア・ストロッパ氏は、「自閉症のあるイーロンが、『心を捧げたい』という気持ちを表現しただけだ」と説明しています。
政治的影響と国際的反応
この出来事は、単なるジェスチャーの問題を超えて、より広範な政治的影響を及ぼしています。
特に注目すべきは、マスクがドイツの極右政党AfD(ドイツのための選択肢)を公然と支持していることです。
彼は最近、AfDの党首アリス・ヴァイデル氏とのインタビューを行い、「AfDだけがドイツを救える」と発言しています。
これらの行動は、ヨーロッパの左派政治家たちから激しい非難を浴びています。
多くの政治家が、マスクの行動をファシズムの台頭と結びつけて批判しています。
テスラとドイツの関係
この騒動の背景には、テスラとドイツの複雑な関係があります。
テスラはベルリン近郊に大規模な工場(ギガファクトリー)を建設し、ドイツ経済に大きな投資を行っています。
マスクは、この投資を理由に自身のドイツ政治への関与を正当化しようとしていますが、多くの批判者はこれを受け入れていません。
まとめ
イーロン・マスクの「ナチス式敬礼」騒動は、単なるジェスチャーの問題を超えて、現代社会における極右思想の台頭、企業家の政治的影響力、そしてソーシャルメディアの役割など、多くの重要な問題を浮き彫りにしています。
この事件は、私たちに歴史の教訓を思い出させるとともに、言論の自由と社会的責任のバランスについて深く考えさせる機会となっています。
今後、この騒動がマスクの事業や政治的立場にどのような影響を与えるか、注目が集まるでしょう。