大企業が、多様性プログラムを次々と廃止
テクノロジー業界の巨人メタ(Meta)が、多様性・公平性・包摂性(DEI)プログラムの廃止を発表しました。
この動きは、マクドナルドやウォルマートなど他の大手企業に続くものです。
DEIプログラムの終了は、企業文化や雇用慣行に大きな影響を与える可能性があり、社会的にも注目を集めています。
DEIプログラム廃止の背景
メタの人事担当副社長であるJanelle Gale(ジャネル・ゲイル)氏は、
「米国におけるDEI活動を取り巻く法的・政策的環境が変化している」
と説明しています。
この動きの背景には、以下のような要因があります:
- 2023年の最高裁判決:大学入学における積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)を禁止する判決が下されました。
- 保守派からの圧力:政治活動家を中心に、DEIプログラムへの批判が高まっています。
- トランプ大統領の再選:2期目を迎えるドナルド・トランプ大統領の政策方針に合わせた動きとも見られています。
- 経営への影響:一部の企業リーダーは、DEIが事業のパフォーマンスや成長の妨げになると考えています。
DEI廃止の具体的な内容
Metaが廃止するDEIプログラムには、以下のようなものが含まれています:
- 多様性重視の採用アプローチ(Diverse Slate Approach)の終了
- 多様性サプライヤー支援プログラムの廃止
- 公平性・包摂性に関するトレーニングプログラムの終了
- DEI専門チームの解散
これらの変更により、Metaは「全ての人に公平で一貫した実践を適用し、背景に関係なくバイアスを軽減することに焦点を当てる」としています。
他の企業の動向
Metaだけでなく、多くの大手企業がDEIプログラムを見直しています:
- マクドナルド(McDonald’s):多様性目標を縮小
- ウォルマート(Walmart):DEIイニシアチブを縮小
- フォード(Ford):DEIプログラムを廃止
- ジョンディア(John Deere):DEIプログラムを終了
- ハーレーダビッドソン(Harley-Davidson)、ロウズ(Lowe’s):DEIプログラムを縮小
一方で、アップル、コストコ、ターゲットなど、DEIポリシーを維持・擁護する企業も存在します。
DEI擁護派の主張
DEIプログラムを支持する企業や個人は、以下のような利点を主張しています:
- イノベーションの促進:多様な従業員が独創性と創造性をもたらす。
- 市場拡大:新しい顧客層へのアプローチが可能になる。
- 経済成長:多様な労働力が経済全体の成長を促進する。
例えば、コストコの取締役は、「DEIへの攻撃はビジネスにとって悪いだけでなく、経済にも悪影響を与える」と主張しています。
https://edition.cnn.com/2025/01/10/tech/meta-ends-dei-programs/index.html
DEIをめぐる法的問題
DEIプログラムの廃止は、法的リスクを回避する動きでもあります。
保守系のシンクタンクや活動家グループは、DEIプログラムが逆差別や株主価値の毀損につながるとして、企業を訴える動きを見せています。
例えば、ターゲットは保守的な擁護団体から、DEIの実践に関連する財務リスクについて投資家に誤解を与えたとして訴訟を起こされています。
まとめ
Metaをはじめとする大手企業のDEIプログラム廃止は、企業の多様性への取り組みに大きな転換点をもたらしています。
法的リスクや政治的圧力、経営戦略の変更など、様々な要因が背景にあります。
一方で、DEIの重要性を主張する声も依然として強く、今後も企業の多様性政策をめぐる議論は続くでしょう。
企業は、法的リスクと社会的責任のバランスを取りながら、自社にとって最適な方針を模索していく必要があります。