鳥インフルエンザウイルスが人間にとって深刻な脅威となる可能性を改めて示す事例が発生しました。
米国疾病予防管理センター(CDC)は、ルイジアナ州で初めてH5N1型鳥インフルエンザによる死亡例を確認したと発表しました。
https://www.pharmacytimes.com/view/first-us-death-from-h5n1-bird-flu-reported-in-louisiana
これは米国内で初めての鳥インフルエンザによる死亡例となります。
感染者の詳細と感染経路
死亡した患者は65歳以上で、基礎疾患があったことが報告されています。
感染経路については、患者が自宅の裏庭で飼育していた鶏や野鳥との接触が原因とされています。
この事例は、商業用の家禽や乳牛だけでなく、裏庭の鶏や野鳥も感染源となり得ることを示しています。
CDCは、鳥や家禽、牛と接触する機会のある人々に対して、より高いリスクがあると注意を呼びかけています。
https://www.cbc.ca/news/health/h5n1-death-louisiana-1.7424277
ウイルスの変異と重症化
特に注目すべき点は、患者から検出されたウイルスに変異が見られたことです。
CDCの遺伝子解析によると、このウイルスは患者の体内で変異を起こした可能性があり、これが重症化の原因となった可能性があります。
この変異は、ウイルスがヒトの上気道の受容体に付着しやすくなる可能性を示唆しています。
ミネソタ大学の感染症専門家マイケル・オスターホルム氏は、この変異について
「鍵が鍵穴に合うようになったが、まだドアは開いていない」
と表現し、現時点では人から人への感染の可能性は低いとしています。
米国内の鳥インフルエンザ感染状況
2024年4月以降、米国内では66件の鳥インフルエンザ感染例が報告されています。
これらの多くは、感染した家禽や乳牛と接触した農場労働者で、症状は軽度でした。
しかし、今回のルイジアナ州の事例は、米国内で初めて重症化し入院を要した症例となりました。
これは、H5N1型ウイルスが人間にとって深刻な脅威となる可能性を示しています。
グローバルな鳥インフルエンザの脅威
世界保健機関(WHO)によると、2003年以降、世界中で950件以上の鳥インフルエンザ感染例が確認され、そのうち460人以上が死亡しています。
これは、H5N1型ウイルスの致死率が約50%に達することを示しています。
ブラウン大学パンデミックセンターのジェニファー・ヌッツォ所長は、「鳥インフルエンザウイルスは深刻な脅威であり、歴史的に致命的なウイルスです」と警告しています。
https://www.npr.org/sections/shots-health-news/2025/01/06/nx-s1-5250251/bird-flu-death-louisiana
今後の対策と注意点
CDCは、野鳥や家禽、牛との接触時には呼吸器や目の保護具、手袋の着用を推奨しています。
また、感染した動物や死骸との接触を避けることが重要です。
現時点では、一般市民にとってのリスクは低いとされていますが、環境中でのウイルスの広がりにより、人間が接触する機会が増える可能性があります。
カナダでの重症例
米国での死亡例に先立ち、カナダのブリティッシュコロンビア州では13歳の少女が重症化した事例が報告されています。
この事例では感染源が特定されていませんが、ウイルスの遺伝子配列が10月に同州を通過した野鳥のものと一致していました。
https://www.cbsnews.com/news/bird-flu-h5n1-death-first-us-louisiana
まとめ
米国初の鳥インフルエンザによる死亡例は、H5N1型ウイルスの脅威を再認識させる出来事となりました。
ウイルスの変異や重症化のメカニズムについては、さらなる研究が必要です。
一般市民へのリスクは現時点で低いとされていますが、動物との接触には十分な注意が必要です。
今後も感染状況や研究の進展を注視していく必要があります。