人生100年時代と言われる今日、116歳という驚異的な年齢を迎えた修道女が世界最高齢者として注目を集めています。
ブラジル出身のイナ・カナバロ・シスターは、2024年12月に日本の糸岡富子さんが亡くなったことを受け、新たに世界最高齢者の座に就きました。
幼少期は虚弱体質で生き延びられないと思われていた彼女が、どのようにしてこの栄誉ある地位に到達したのか。
その長寿の秘訣を「カトリックの信仰」だと語るイナ・シスター。
サッカー好きで知られる彼女の波乱万丈の人生と、長寿の秘密に迫ります。
この記事では、一世紀以上の時を生きてきた彼女の驚くべき経験と、私たちが学べる人生の教訓について探っていきます。
Inah Canabarro Lucas, a nun from Brazil, has become the world’s oldest person at the age of 116 and 210 days.https://t.co/ykoGZGdRPI pic.twitter.com/joUYLLHzel
— Sky News (@SkyNews) January 5, 2025
イナ・カナバロ・シスターの生い立ち
イナ・カナバロ・シスターは1908年6月8日、ブラジル南部の大家族に生まれました。
しかし、彼女の84歳の甥によると、実際の誕生日は5月27日で、出生登録が2週間遅れたとのことです。
幼少期のイナは非常に痩せており、多くの人が彼女が幼少期を乗り越えられないだろうと考えていました。
しかし、彼女はその予想を覆し、10代で修道女となる道を選びました。
彼女の曾祖父は、19世紀のブラジル独立後の動乱期に武器を取った有名なブラジルの将軍でした。
この家系の影響もあってか、イナは若くして強い意志を持つ人物に成長しました。
修道女としての人生と教育者としての功績
イナ・シスターは10代で宗教活動を始め、ウルグアイのモンテビデオで2年間を過ごした後、リオデジャネイロに移り、最終的に出身州のリオグランデ・ド・スルに落ち着きました。
生涯を通じて教師として活躍し、彼女の元生徒の中には、1964年から1985年までブラジルを統治した軍事独裁者の最後の人物であるジョアン・フィゲイレド将軍も含まれています。
これは、イナ・シスターが単なる修道女ではなく、ブラジルの歴史に間接的に関わった人物であることを示しています。
また、ウルグアイとブラジルの国境にまたがる姉妹都市の学校で2つのマーチングバンドを創設したことでも知られています。
この功績は、彼女の教育者としての才能と、音楽を通じて国境を越えた文化交流を促進する先見性を示しています。
サッカー好きの修道女
イナ・シスターの魅力的な特徴の一つは、彼女のサッカーへの情熱です。
地元のサッカークラブ「インテル」は、イナ・シスターの誕生後に設立されましたが、毎年彼女の誕生日を最年長ファンのお祝いとして祝っています。
彼女の部屋はインテルのチームカラーである赤と白の贈り物で飾られており、甥によると、イナ・シスターは熱心なサポーターとして知られています。
116歳の誕生日を祝うソーシャルメディアの動画では、クラブの会長と共に「白人も黒人も、金持ちも貧乏人も、誰であろうと、インテルは人々のチームだ」と語っています。
この言葉は、イナ・シスターがサッカーを通じて社会の平等と一体性を感じていることを示しており、彼女の人生哲学の一端を垣間見ることができます。
長寿の秘訣と現在の生活
イナ・シスターは、自身の長寿の秘訣をカトリックの信仰だと語っています。
彼女の強い信仰心が、困難な時期を乗り越える力となり、前向きな姿勢を保つ源になっていると考えられます。
現在、イナ・シスターはブラジル南部の都市ポルトアレグレにある老人ホームで車椅子生活を送っています。
LongeviQuestという超高齢者を追跡する組織が昨年2月に撮影したビデオでは、笑顔でジョークを言い、かつて描いていた野花のミニチュア画を見せたり、アヴェ・マリアの祈りを唱えたりする姿が映っています。
「私は若くて、きれいで、親しみやすい – これらはすべてとても良い、ポジティブな資質で、あなたにもあるものよ」と、テレジア会の修道女であるイナ・シスターは老人ホームの訪問者に語っています。
この言葉からは、116歳を超えてもなお、ユーモアと前向きな姿勢を失わない彼女の人柄が伝わってきます。
世界最高齢者としての記録と今後の展望
イナ・カナバロ・シスターは、2024年12月に日本の糸岡富子さんが亡くなったことにより、世界最高齢者の座に就きました。
LongeviQuestの記録によると、彼女は現在、史上最も長寿な人物のリストで20位にランクインしています。
このリストのトップは、1997年に122歳で亡くなったフランス人のジャンヌ・カルマンさんです。
イナ・シスターがこの記録に迫る可能性は低いものの、彼女の存在は人間の寿命の可能性を示す貴重な例となっています。
超高齢者と社会への影響
超高齢者(スーパーセンテナリアン)と呼ばれる110歳以上の人々の存在は、医学的にも社会学的にも大きな注目を集めています。
彼らの長寿の秘密を解明することで、人間の寿命の限界や健康長寿のための方策について新たな知見が得られる可能性があります。
また、超高齢者の増加は、社会保障制度や労働市場、家族構造など、社会のさまざまな側面に影響を与える可能性があります。
イナ・シスターのような事例を通じて、私たちは高齢化社会における課題と機会について考えを深めることができるでしょう。
まとめ
イナ・カナバロ・シスターの116年に及ぶ人生は、単なる長寿の記録以上の意味を持っています。
彼女の生涯は、信仰、教育、スポーツへの情熱が人生をいかに豊かにし、長寿につながる可能性があるかを示しています。
私たちは彼女の事例から、年齢に関係なく好奇心を持ち続けること、社会とのつながりを大切にすること、そして人生を楽しむことの重要性を学ぶことができます。
イナ・シスターの生き方は、高齢化が進む現代社会において、私たちがどのように年を重ねていくべきかについての貴重な示唆を与えてくれているのです。