[米国]猫の死亡を受け、鳥インフルエンザ汚染でペットフードを回収 – 原因となったペットフードとは?

2024年12月、アメリカのペットフード業界に衝撃が走りました。

オレゴン州の室内飼いの猫が、鳥インフルエンザに感染して死亡するという痛ましい事故が発生したのです。

この事故の原因が、ペットフードの汚染であることが判明し、製造元のNorthwest Naturalsは緊急の自主回収に踏み切りました。

この事態は、ペットの健康と安全に関する重要な問題を浮き彫りにしています。

事故の詳細と回収対象製品

Northwest Naturalsは12月25日、同社の「Feline Turkey Recipe」という生の冷凍ペットフードの一部ロットを自主回収すると発表しました。

回収対象となるのは、賞味期限が2026年5月21日から2026年6月23日までの2ポンド(約907グラム)入りの製品です。

この製品から高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルスH5N1型が検出されました。

H5N1型は、鳥類だけでなく哺乳類にも感染し、重篤な症状を引き起こす可能性がある危険なウイルスです。

https://www.cbsnews.com/news/northwest-naturals-pet-food-recall-bird-flu-contamination

鳥インフルエンザとペットフードの関係

今回の事故で最も衝撃的だったのは、室内飼いの猫が感染したという点です。

オレゴン州農務省のRyan Scholz獣医師は、「この猫は完全な室内飼いで、環境中のウイルスに曝露されることはありませんでした。ゲノム解析の結果、生のペットフードから検出されたウイルスと感染した猫から検出されたウイルスが完全に一致しました」と述べています。

この事例は、生肉や未加熱の食品を与えることのリスクを如実に示しています。

アメリカ食品医薬品局(FDA)は、鳥インフルエンザのリスク軽減のためのガイドラインを発表し、ペットに生肉や未加熱の乳製品を与えないよう注意を呼びかけています。

https://www.petfoodindustry.com/safety-quality/pet-food-safety/news/15710547/fda-offers-guidelines-to-reduce-hpai-risk-in-cats-emphasizes-pet-food-safety

広がる影響と対応

この回収は全米規模で行われており、カリフォルニア、コロラド、ジョージア、メリーランド、ミシガン、ペンシルベニア、ロードアイランド、ワシントンの各州、さらにはカナダのブリティッシュコロンビア州にまで及んでいます。

Northwest Naturalsは消費者に対し、該当する製品を直ちに廃棄し、購入店舗に連絡して全額返金を受けるよう呼びかけています。

また、オレゴン州保健当局は、感染した猫と接触した家族のメンバーをインフルエンザ症状の有無について経過観察しています4

鳥インフルエンザの脅威と予防策

鳥インフルエンザは、単にペットの問題にとどまりません。

2024年には、アメリカで初めて重症の人間の感染例が報告されました。

ルイジアナ州の1名が、裏庭で飼育している鶏から感染した可能性があるとして入院しています。

専門家は、以下の予防策を推奨しています。

  1. 生肉や加熱不十分な肉製品の摂取を避ける
  2. 生乳製品の摂取を避ける
  3. 病気の動物や死亡した動物との接触を制限する
  4. 生の動物性製品を扱った後は手をよく洗う

ペットフード業界への影響と今後の展望

この事故は、ペットフード業界に大きな波紋を投げかけています。

特に、生肉を原料とするペットフードの安全性に疑問が投げかけられています。

アメリカ獣医師会によると、猫や犬は加熱不十分な肉や生肉、感染した鳥類、未殺菌乳を摂取することで鳥インフルエンザに感染する可能性があります。

今後、ペットフードの製造過程や品質管理がより厳しく監視される可能性が高く、消費者の安全意識も高まることが予想されます。

また、生肉を使用したペットフードの需要が減少し、加熱処理された製品や植物性原料を使用した製品への移行が進む可能性もあります。

鳥インフルエンザの世界的な影響

鳥インフルエンザの脅威は、ペットフード業界だけでなく、畜産業全体に大きな影響を与えています。

2024年には、アメリカの乳牛にも鳥インフルエンザの感染が確認され、食品供給チェーンにも影響を及ぼしています。

また、野生動物への影響も深刻です。

トラやピューマ、オオヤマネコなどの野生のネコ科動物も鳥インフルエンザに対して高い感受性を示しており、生態系への影響が懸念されています。

まとめ

今回のペットフード回収事故は、私たちに改めてペットの食の安全性について考える機会を与えてくれました。

ペットは家族の一員であり、その健康と安全を守ることは飼い主の重要な責任です。

生肉や未加熱の食品を避け、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが大切です。

また、ペットの異変に気づいたら、すぐに獣医師に相談することをお勧めします。

私たち一人一人が意識を高め、行動することで、愛するペットたちをこのような危険から守ることができるのです。

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