ニューヨーク州で飼育されていたリス「ピーナッツ」が、州当局に保護された数日後に安楽死処分されるという悲しい出来事が起きました。
50万人以上のフォロワーを持つインスタグラムのスター的存在だったピーナッツの突然の死は、SNSで有名になった動物たちの境遇や、野生動物を飼育することの是非について、改めて考えさせられる機会となりました。
https://www.instagram.com/peanut_the_squirrel12
ピーナッツとは何者だったのか
ピーナッツは、7年前にマーク・ロンゴ氏が救助した野生のリスでした。
ロンゴ氏はニューヨーク市で車にはねられて死んだ母リスの傍らで見つけたピーナッツを保護し、8ヶ月間世話をした後、野生に戻そうとしました。
しかし、わずか1日半後、ピーナッツは尻尾の半分を失った状態でロンゴ氏の玄関先に戻ってきたのです。
この経験から、ロンゴ氏はピーナッツには野生で生き抜く能力がないと判断し、室内で飼育することを決意しました。
その後、ピーナッツとロンゴ氏の猫が遊ぶ様子を撮影した動画をSNSに投稿したところ、瞬く間に人気が爆発。
ピーナッツは小さなカウボーイハットをかぶったり、クロシェ編みのウサギの耳をつけてワッフルを食べたりする姿で、多くの人々の心を掴みました。
ピーナッツの突然の死 – 何が起きたのか
当局の介入
2024年11月1日、ニューヨーク州環境保護局(DEC)の職員少なくとも6名がロンゴ氏の自宅を訪れ、ピーナッツと最近保護されたアライグマのフレッドを押収しました。
DECによると、この介入は「潜在的に危険な野生動物の不適切な飼育」と「違法な野生動物のペット飼育」に関する複数の通報を受けて行われたものでした。
安楽死処分の決定
押収から数日後、DECはピーナッツとフレッドを安楽死処分したと発表しました。
その理由として、調査に関わった職員の1人がピーナッツに噛まれたことが挙げられています。
狂犬病検査のために安楽死が必要だったとのことですが、この決定は多くの人々に衝撃を与えました。
SNSスター動物の光と影
SNSがもたらした恩恵
ピーナッツの人気は、単なる娯楽以上の意味を持っていました。
ロンゴ氏は2023年4月、ピーナッツにちなんで「P’Nuts Freedom Farm Animal Sanctuary」という動物保護施設を開設。
現在約300頭の動物を保護しており、その運営資金の多くはピーナッツのフォロワーからの寄付によって支えられていました。
このように、SNSの影響力を活用することで、動物保護活動に大きな貢献ができる可能性が示されたと言えるでしょう。
法的問題と倫理的ジレンマ
一方で、ピーナッツの事例は野生動物の飼育に関する法的・倫理的問題も浮き彫りにしました。
ニューヨーク州では、許可なく野生動物を飼育することは違法です。
ロンゴ氏は教育目的の動物としてピーナッツを登録する手続きを進めていたと主張していますが、結果的に法的問題を回避することはできませんでした。
また、野生動物を家庭で飼育することの是非についても議論が巻き起こっています。
ピーナッツは人間に慣れ親しんでいましたが、それが本当にリスにとって幸せな状態だったのかという疑問も提起されています。
SNSの影響力 – 諸刃の剣
支援の輪の広がり
ピーナッツが押収された後、ロンゴ氏はInstagramを通じて支援を呼びかけました。
その結果、ピーナッツの返還を求める請願には3万人以上の署名が集まり、法的費用のためのGoFundMeでは約13,500ドル(約150万円)が集まりました。
これは、SNSがいかに迅速かつ大規模に人々を動員できるかを示す好例と言えるでしょう。
批判の集中と炎上
しかし、SNSの影響力は必ずしもポジティブなものばかりではありません。
ピーナッツの死後、ロンゴ氏はDECの電話番号をオンラインで公開し、支持者に「感情を表現する」よう促しました。
これは、特定の個人や組織に対する批判や攻撃が一気に集中する「炎上」につながる危険性があります。
また、匿名での通報がきっかけでDECの調査が始まったという事実は、SNS上での情報拡散が思わぬ結果を招く可能性があることを示唆しています。
野生動物の保護と飼育の難しさ
ピーナッツの事例は、野生動物の保護と飼育の難しさを改めて浮き彫りにしました。
専門家によると、一度人間に慣れた野生動物を自然に戻すのは非常に困難で、多くの場合、動物にとって危険な結果になりかねないとされています。
一方で、人間の管理下で飼育を続けることも、動物の本来の習性や必要とする環境を満たせない可能性があります。
このジレンマは、野生動物の保護に携わる多くの人々が日々直面している課題です。
SNS時代の動物保護のあり方を考える
ピーナッツの悲しい結末は、SNS時代における動物保護のあり方について、私たちに多くの問いを投げかけています。
- SNSの影響力をいかに適切に活用するか
- 野生動物の保護と法規制のバランスをどう取るべきか
- 動物の福祉と人間の愛情のはざまで、何が最善の選択なのか
これらの問いに対する明確な答えは、まだ見つかっていません。
しかし、ピーナッツの物語を通じて、多くの人々がこの問題について考え、議論を始めたことは、大きな一歩だと言えるでしょう。
今後、動物保護と人間社会の関わり方について、より深い理解と柔軟な対応が求められていくことでしょう。
ピーナッツの遺志を継ぎ、より良い共生の形を模索していくことが、私たちに課された課題なのかもしれません。
まずまずの話で、生き物を殺すことが考えられないです。
全部人間の勝手。それによって殺処分って。人間のエゴだらけでこの世界が嫌いになっていく一方です。