FIFA(国際サッカー連盟)は、カナダ女子サッカーチームに対して、パリオリンピックの女子サッカー大会で6点の減点処分を下しました。
さらに、3人のコーチにも1年間の出場停止処分が科されるなど、重大な処分が下されたことで大きな注目を集めています。
この事態の背景にあるドローン盗撮スキャンダルとは一体何だったのでしょうか。
そして、この処分がカナダチームにどのような影響を及ぼすのか、詳しく見ていきたいと思います。
ドローン盗撮スキャンダルの概要
2024年7月26日、FIFA は、カナダ女子サッカーチームに対して、パリオリンピックの女子サッカー大会で6点の減点処分を下しました。
さらに、ビバリー・プリーストマン監督と2人の助手コーチに対しても、1年間の出場停止処分が科されました。
この処分の背景にあるのが、「ドローン盗撮スキャンダル」です。
カナダのコーチ陣が、大会開幕前のニュージーランド代表チームの練習をドローンで盗撮していたことが発覚したのです。
FIFA は、この行為を「スポーツマンシップに反する行為」と「フェアプレーの原則違反」と判断し、厳しい処分を下したのです。
FIFAは、カナダがドローンを使ってニュージーランドのトレーニングをスパイしていたことに関して判決を下した。
– カナダ代表チームにオリンピックで6ポイント減点。
– ヘッドコーチのビバリー・プリーストマンとスタッフ2名に1年間の出場停止処分。
– サッカー協会に26万ドルの罰金
🚨 FIFA has made their ruling on Canada spying on New Zealand training via a drone.
— Total Football (@TotalFootbol) July 27, 2024
– 6 point deduction at the Olympics for Canada national team.
– 1 year suspension for head coach Beverly Priestman & 2 staffs.
– $260K fine for the Soccer Association pic.twitter.com/a5GJVmpTnE
カナダサッカー連盟は、この処分に対して控訴する方針を示しています。
連盟のケビン・ブルーCEOは、「選手たちは一切関与していないにもかかわらず、過度に厳しい処分を受けている」と述べ、6点減点処分の取り消しを求めるとしています。
この事態の影響
カナダチームの戦いが一層厳しくなる 6点減点処分を受けたカナダチームにとって、オリンピック大会の戦いはより一層厳しいものになりそうです。
通常、オリンピックの女子サッカー大会のグループリーグは、各グループ上位2チームが準々決勝に進出する形式です。
しかし、6点減点されたカナダチームは、グループAの首位フランス(3勝0敗)と、2位コロンビア(2勝1敗)の後塵を拝することになります。
仮に、カナダチームが3連勝して9点を獲得したとしても、フランスが3勝0敗で12点、コロンビアが2勝1敗で6点を獲得した場合、カナダは3位となってしまいます。
つまり、6点減点されたカナダは、グループリーグを突破するのが非常に厳しい状況に置かれているのです。
この処分は、カナダチームの金メダル獲得への道を大きく狭めてしまったと言えるでしょう。
プリーストマン監督は2021年の東京オリンピックで金メダルを獲得しており、今大会での連覇を目指していただけに、この処分は大きな打撃となっています。
ドローン盗撮の背景にあるもの
「システム的な倫理的問題」の指摘 カナダサッカー連盟のブルーCEOは、この事態について「システム的な倫理的問題」の存在を示唆しています。
具体的には、ドローン盗撮が「長年にわたって行われていた可能性がある」と述べています。
つまり、今回発覚したのはほんの一部にすぎず、これまでもカナダ代表チームがこのような不正行為を繰り返してきた可能性があるということです。
ブルーCEOは、「選手たちは一切関与していないが、この問題に取り組むためには、痛みを伴う改革が必要だ」と述べています。
つまり、今回の処分は、カナダサッカー界の根深い問題に対処するための一歩だと捉えているのです。
この指摘は、カナダサッカー界の腐敗した体質を示唆しているといえるでしょう。
単なる個人の不正行為ではなく、組織的な問題の存在が浮き彫りになったと言えます。
過去の類似事例と処分の厳しさ
ドローン盗撮による処分は、サッカー界では極めて珍しいケースです。
過去に類似の事例としては、2016年のリオデジャネイロ五輪でのブラジル女子サッカーチームによる盗撮事件が知られています。
当時、ブラジルのコーチ陣がドローンを使ってスウェーデン代表チームの練習を盗撮していたことが発覚し、ブラジル代表チームは大会出場停止処分を受けました。
しかし、ブラジルの場合は大会出場停止処分のみで、得点や順位への影響はありませんでした。
一方、カナダの場合は6点減点という、大会中の順位に直接影響を及ぼす処分が下されたのが大きな違いです。
このように、FIFA は今回のカナダ事件に対して、これまでにない厳しい処分を下したと言えるでしょう。
ドローン盗撮行為に対する姿勢の厳格化が窺えます。
まとめ
FIFA によるカナダ女子サッカーチームへの6点減点処分は、ドローン盗撮スキャンダルを受けての重大な処分でした。
カナダチームにとっては、金メダル獲得への道が大きく狭まる痛手となりました。さらに、コーチ陣への1年間の出場停止処分も、チームにとって大きな打撃です。
この事態の背景には、カナダサッカー界の「システム的な倫理的問題」の存在が指摘されています。単なる個人の不正行為ではなく、組織的な問題の存在が浮き彫りになったと言えるでしょう。
FIFA の厳しい処分は、サッカー界におけるフェアプレーの重要性を改めて示したものと言えます。今後、カナダサッカー界がどのように対応し、改革を進めていくのか注目されます。