韓国テック大手kakaoの創業者キム・ボムス氏が逮捕 – K-POP事務所をめぐる株価操縦疑惑

先日、韓国の大手テクノロジー企業カカオの創業者、キム・ビョムス氏が逮捕されたニュースが大きな注目を集めました。

株価操縦疑惑をめぐる一連の出来事は、韓国のテック業界に大きな影響を及ぼしています。

今回は、この事件の背景や意味するところについて、詳しく見ていきたいと思います。

カカオの概要

カカオは2010年にメッセージングアプリ「KakaoTalk」を立ち上げたことで知られる韓国の大手テクノロジー企業です。

同社のサービスは韓国国内で不可欠なインフラとなっており、スマートフォンの90%以上にインストールされています。

2024年現在、同社の時価総額は約12億ドル(約1.6兆円)で、キム・ボムス氏が24%の株式を保有しています。

株価操縦疑惑の概要

問題の発端は、昨年初頭に起きたSM Entertainmentをめぐる買収競争です。

SM Entertainmentは韓国最大手のK-POPアーティスト事務所で、BTS所属のHybeとカカオが激しい買収競争を繰り広げました。

検察はカカオが、HybeによるSM Entertainmentの買収を阻止するために、同社の株価を操縦したと主張しています。

具体的には、カカオの最高投資責任者のパク・ジェヒョン氏と同社自体を株価操縦の容疑で起訴しました。

そして今回、創業者のキム・ボムス氏も同様の容疑で逮捕されたのです。

キム氏は正式に起訴されていませんが、証拠隠滅や逃亡の恐れがあるとして、検察は勾留令状を発行しました。

同氏は容疑を否認しており、カカオ側も「容疑は事実ではない」と主張しています。

韓国テック業界への影響

今回の事件は、韓国のテック業界に大きな影響を及ぼしています。

キム・ボムス氏は、サムスン電子の3代目経営者である李在鎔会長に次ぐ、韓国の新興テクノロジー企業のトップ経営者として初めて重大な刑事告発を受けたのです。

これまで韓国の企業文化では、経営者に対する批判や牽制が少ない傾向にありました。

しかし、今回の事件を受けて、企業統治の在り方に対する議論が高まっています。

カカオ株価も5%以上下落するなど、同社にとっても大きな危機となっています。

K-POPとの関係

今回の事件の背景にあるのは、K-POPの台頭です。

K-POPは近年、世界的な人気を博しており、韓国の文化的ソフトパワーの源泉となっています。

SM Entertainmentは、代表的なK-POPアーティスト事務所の1つで、Girls’ Generation、NCT、Aespaなどの人気グループを擁しています。

カカオはこのSM Entertainmentの買収を通じて、K-POPを活用した海外進出を目指していたのです。

しかし、Hybeによる買収を阻止するために株価操縦を行ったとの疑惑が持ち上がったことで、カカオの戦略に暗雲が立ちこめることになりました。

K-POPの台頭が、韓国テック業界の新たな争奪戦を生み出したといえるでしょう。

キム・ボムス氏の経歴

キム・ボムス氏は、貧困層から這い上がり、韓国有数のテクノロジー企業を築いた人物として知られています。

5人兄弟の長男で、初めて大学に進学した家族の一員でもあります。

2010年にKakaoTalkを立ち上げ、インターネット帝国を築き上げたキム氏は、一時は韓国で最も裕福な人物にもなりました。

2024年時点での純資産は約13億ドル(約1.7兆円)に上ります。

しかし、今回の逮捕劇によって、キム氏の評価は一変することになりました。

韓国のテック業界をリードしてきた新興企業の創業者が、重大な容疑をかけられたことは、大きな衝撃を与えています。

まとめ

韓国の大手テクノロジー企業カカオの創業者、キム・ボムス氏が株価操縦疑惑で逮捕されたニュースは、韓国テック業界に大きな影響を及ぼしています。

この事件の背景にあるのは、K-POPの台頭をめぐる企業間の激しい争奪戦です。

カカオは、K-POPを活用した海外進出を目指して、SM Entertainmentの買収に乗り出しましたが、Hybeによる買収を阻止するために株価操縦を行ったとの疑惑が持ち上がったのです。

今回の逮捕劇は、韓国のテック業界における企業統治の在り方に対する議論を呼び起こしています。

また、K-POPの台頭が、新たな業界再編の引き金となったことも注目に値します。

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