ルーマニアでは、近年熊による人的被害が深刻化しています。
2024年7月には19歳の女性ハイカーが熊に襲われ死亡する事件が発生し、大きな社会問題となりました。
ルーマニア政府は2024年に481頭もの熊を駆除することを決めましたが、果たして本当に適切な対策なのでしょうか。
熊と人間の共生を目指す取り組みにも注目が集まっています。
熊の個体数増加の背景
ルーマニアは、ロシア以外で欧州最大のヒグマの生息地となっています。
推定個体数は約8,000頭にも上ります。この個体数増加の背景には、2016年に狩猟が禁止されたことや、人間活動の影響が考えられます。
廃棄物の管理不足や人間による餌付けなどで、熊が人里に降りてきて人や家畜を襲う事例が増えているのです。
過去20年間で26人が熊に殺され、274人が重傷を負っています。
2023年には熊の目撃情報が7,500件にも上るなど、深刻な状況となっています。
駆除か共生か
このような状況を受け、ルーマニア政府は2024年に481頭もの熊を駆除することを決めました。
これは前年の220頭から大幅に増加しています。
しかし、環境保護団体からは「駆除だけでは根本的な解決にならない」と指摘されています。
熊の個体数管理と同時に、廃棄物管理の改善や人間と熊の接触を避けるための対策が重要だと主張しています。
実際、ルーマニアでは2016年以降、熊を駆除するのではなく「共存」する方向に政策が転換されています。
熊出没アラームの導入やモバイルアプリによる情報共有など、人間活動の改善に取り組んでいます。
また、問題となっている個体を選択的に捕獲・移動させる取り組みも検討されています。
個体数管理と被害防除、生息環境管理を組み合わせた総合的な対策が求められているのです。
他国の事例
ルーマニアの問題は決して孤立したものではありません。
隣国のスロバキアでも、2023年に女性が熊に襲われ死亡する事件が発生しています。
スロバキアの熊の個体数は、ルーマニアに次いで欧州で2番目に多いと推定されています。
このように、熊と人間の共生は欧州各国共通の課題となっています。個体数管理と人間活動の改善を両立させる、総合的な対策が求められているのです。
補足情報
ルーマニアの熊の問題は、単に個体数管理だけでは解決できない複雑な課題です。
人間活動の改善と、熊との共生を目指す取り組みが重要になってきています。
例えば、廃棄物の適切な管理や、人間が熊に餌を与えないよう啓発活動を行うことで、熊が人里に降りてこなくなる可能性があります。
また、問題となっている個体を選択的に捕獲・移動させることで、被害を最小限に抑えることもできるでしょう。
一方で、熊の生息地を保護し、人間との接触を避けるための取り組みも必要です。
ルーマニアでは2016年以降、狩猟を禁止し、熊と共生する方向に政策が転換されています。
このように、熊と人間の共生を目指す取り組みは、欧州各国で注目されつつあります。
個体数管理と人間活動の改善を両立させることで、持続可能な解決策が見出せるかもしれません。
まとめ
ルーマニアの熊の問題は深刻化しており、個体数管理と人間活動の改善が喫緊の課題となっています。
ルーマニアの事例は、欧州各国共通の課題でもあります。
持続可能な解決策を見出すためには、個体数管理と人間活動の改善を両立させる、総合的な取り組みが不可欠だと言えるでしょう。