先日、韓国・ソウル近郊の京畿道華城市にあるリチウム電池製造工場で大規模な爆発事故が発生し、悲しいことに22人もの尊い命が失われました。
この事故は、リチウム電池の危険性を改めて浮き彫りにした出来事だと言えるでしょう。
リチウム電池工場の爆発事故の詳細
2024年6月24日午前10時半ごろ、韓国・ソウル近郊の京畿道華城市にある「Aricell」というリチウム電池製造工場で大規模な火災が発生しました。
消防当局によると、工場内のリチウム電池セルの爆発が火災の引き金となったようです。
この事故により、作業員22人が死亡し、8人が負傷しました。死者の大半は中国籍の作業員だったと報告されています。
火災は現在鎮火しましたが、リチウム電池の火災は消火が非常に困難で、2021年にはオーストラリアのテスラ「メガパック」の火災が4日間も続いた事例があります。
リチウム電池の危険性
リチウム電池は、軽量で高出力、急速充電が可能という特長から、携帯電話やEV、産業用ロボットなど、様々な製品に広く使用されています。
しかし、その高エネルギー密度ゆえに、短絡や過充電などの事故で発火・爆発する危険性があります。
リチウム電池の火災は通常の火災に比べ、酸素を必要とせず、水では消火できないなど、消火が非常に困難です。
安全対策の重要性
今回の悲しい事故を受けて、リチウム電池産業全体でさらなる安全対策の強化が求められています。
電池の設計・製造プロセスの改善、工場の消火設備の充実、従業員の安全教育など、総合的な取り組みが必要不可欠です。
特に、リチウム電池の発火メカニズムの解明と、それに基づいた安全設計の確立が重要です。
また、工場の防災体制の強化や、従業員への安全教育の徹底も欠かせません。
さらに、リチウム電池の適正な処分と再資源化の仕組みづくりも急務です。
使用済みの電池を適切に回収・処理することで、二次災害の防止にもつながります。
補足情報
リチウム電池の火災リスクは、携帯端末やモバイルバッテリーなどの日用品にも及んでいます。
東京消防庁の調査によると、最近10年間で150件もの火災事故が発生し、2022年には1人の死亡者と42人の負傷者が出ています。
多くの火災は、製品の設計不良や、ユーザーによる誤使用が原因となっています。
特に、充電器の電圧が合っていないことで過電流が流れ、発火に至るケースが多いようです。
まとめ
今回の韓国のリチウム電池工場事故は、リチウム電池の危険性を改めて浮き彫りにした出来事でした。
高エネルギー密度ゆえの発火リスクは、工場だけでなく、日用品にも及んでいます。
電池の安全設計、工場の防災体制、ユーザーの適切な取り扱いなど、総合的な安全対策が不可欠です。
この悲しい事故を教訓に、リチウム電池産業全体で安全性の向上に取り組んでいくことが重要だと思います。