この記事では、大手米国プライベート・エクイティ・ファンドであるカーライル・グループが、日本のケンタッキー・フライド・チキン(KFC)を買収した最近の出来事について詳しく解説します。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024052000888&g=eco
米投資ファンドのカーライル・グループは、2024年5月20日に日本KFCホールディングス(KFC Japan)の株式を1株6,500円で公開買い付け(TOB)を行うと発表しました。これにより、現在約35%を保有する三菱商事も自身の保有株を全て売却する予定です。
TOBの買付期間は2024年5月21日から7月9日までの約2か月間となります。これにより、カーライルはKFC Japanの株式の約65%を取得し、同社を完全子会社化する計画です。
KFC Japanは2024年3月期に売上高、純利益ともに好調な業績を残しており、今後もカーライルのもとで出店拡大などを通じた一段の成長が期待されています。
カーライル・グループとは
概要
カーライル・グループは1987年に設立された大手プライベート・エクイティ・ファンドです。本社はワシントンD.C.にあり、世界中に事業を展開しています。現在、総資産残高は2兆ドルを超え、世界有数の投資運用会社の一つとなっています。
主な投資対象は、防衛・航空、不動産、医療、エネルギー、金融、小売などの分野で、幅広い業界にわたります。特に米国内を中心に、多数の大手企業の株式を保有しており、積極的な経営参画を通じて企業価値向上を図っています。
プライベート・エクイティ・ファンド
上場していない非公開企業の株式等に投資を行う投資ファンド
事業内容
カーライル・グループの主要事業は大きく分けて、プライベート・エクイティ、不動産、グローバル市場などの3つのセグメントになります。
プライベート・エクイティ部門では、自社運用ファンドを通じて、有望な非上場企業の株式を中心に投資を行っています。
不動産部門では、オフィスビルや住宅、商業施設などの不動産アセットの取得・運用を手掛けています。
グローバル市場部門では、株式、債券、コモディティなどの金融商品に投資する一方で、為替やクレジットなどのトレーディング業務も行っています。
用語解説
不動産アセット:投資対象となる資産としての土地
債券:国債、地方債、社債など資金調達のために発行する証書
コモディティ:金、銀、原油、農産物など、標準化された基礎的な金融商品
特徴
カーライル・グループの最大の特徴は、投資先企業の経営陣との協業を重視し、積極的な経営参画を行うことです。
投資先の経営改善や成長戦略の立案などに深く関与することで、企業価値の最大化を追求しています。
また、投資対象を幅広い業界に分散し、グローバルに事業を展開していることも大きな特徴です。これにより、リスクを最小限に抑えつつ、安定した収益の確保を目指しています。
さらに、長期的な視点に立った投資スタイルを特徴としており、投資先企業の育成に注力しています。このアプローチにより、投資先企業の持続的な成長を実現し、投資家に対する高いリターンの提供を実現しています。
KFCの概要と買収の背景
日本最大のファーストフードチェーンであるKFCは、1970年に日本に進出し、現在約1,400店舗を展開しています。
2023年度の売上高は約3,500億円と、日本のファーストフード市場で大きな存在感を示しています。近年は健康志向の高まりから業績に陰りが見られましたが、デリバリーサービスの強化や新メニューの投入などで、再び業績を回復させつつあります。
一方、カーライル・グループは、日本市場での事業拡大に積極的で、これまでにも複数の日本企業を買収してきました。今回のKFC買収は、日本でのフットプリントを更に強化し、成長を加速させる狙いがあると考えられます。
カーライル・グループによるKFC買収の狙い
カーライル・グループがKFCを買収した背景には、以下のような狙いがあると考えられます。
- 日本市場での事業基盤の強化
KFCは日本で大きなブランド力と確固たる顧客基盤を持っています。カーライル・グループはこのKFCのプラットフォームを活用し、日本市場でのさらなる事業拡大を目指します。 - 成長市場への参入
日本のファーストフード市場は、高齢化や健康志向の高まりなどを背景に、今後も安定的な成長が期待されています。カーライル・グループはこの成長市場に参入し、収益拡大を図ります。 - デジタル化の推進
KFCではこれまでデリバリーサービスの強化などデジタル化に取り組んできましたが、カーライル・グループの経営ノウハウを活用し、デジタルトランスフォーメーションをさらに加速させることで、顧客接点の強化や業務の効率化を目指します。
カーライル・グループの日本企業買収実績
カーライル・グループは、これまでにも日本企業への投資を積極的に行ってきました。
2019年野村キャピタル・パートナーズ(NCAP)と共同で、オリオンビールの普通株式の公開買い付けを行うなど、これまでに38件、総額4,500億円以上の投資実績があります。また、国内上場企業は8件に上ります。
このように、カーライル・グループは日本市場への投資を強化しており、KFCの買収はその延長線上にあると言えます。
まとめ
今回のカーライル・グループによるKFC買収は、同ファンドの日本市場での事業拡大に大きな意味を持つ取り組みといえます。
KFCのブランド力と顧客基盤を活かし、デジタル化の推進などによる収益拡大を目指すと共に、日本市場でのプレゼンス拡大を図ることが同ファンドの狙いだと考えられます。
今後のKFCの変革と成長に注目が集まることでしょう。