テスラがFSD(フルセルフドライビング)システムの価格を大幅に値下げしたことは、電気自動車業界の激しい競争を物語っています。販売の減少と在庫の増加に直面するテスラは、価格戦略を変更し、より多くの顧客を引き付けようとしています。この価格下落は、テスラが直面する課題を示す証拠といえるでしょう。
FSD(フルセルフドライビング)
フルセルフドライビング(FSD)は、テスラが提供する運転支援機能です。直訳すると「完全自動運転」ですが、自動運転機能が実装されているわけではなく、自動運転レベル2相当のシステムです。
レベル2は部分的に運転が自動化された車両で、アクセルとブレーキ操作による前後の加速や減速の制御と、ハンドル操作による左右の制御の両方をシステムが担うことになります。
テスラの価格戦略
テスラは、「フルセルフドライビング」システムの価格を12,000ドルから8,000ドルに約3分の1値下げしました。これは、同社の5モデルのうち3モデルの価格を2,000ドル値下げした直後の出来事です。
価格下落の背景には、テスラの販売減少と競争の激化があります。同社の株価は年初来約40%も下落しており、投資家の信頼も揺らいでいます。値下げは、より多くの購買者を引き付けるための戦略的な判断だと考えられます。
「フルセルフドライビング」の課題
FSDシステムは、テスラの運転支援技術で、最終的には完全自動運転を実現するとされています。しかし現時点では、人間の監視が必要で、本当の自動運転機能はまだ備わっていません。
テスラのCEOであるイーロン・マスクは2019年、2020年にロボタクシーのフリート(※)が登場すると約束していましたが、その約束は未だ実現していません。
「フルセルフドライビング」システムの価格下落は、この技術の課題を示しているといえるでしょう。完全自動運転の実現には、まだ多くの課題が残されているのが現状です。
ロボタクシーのフリートとは?
ロボタクシー(完全自動運転タクシー)への参加車両のことを指します。
テスラがサイバートラックをリコール
テスラが自動車の値下げを余儀なくされているなか、同社の電動ピックアップトラック「サイバートラック」約3,900台をリコールすると発表しました。
リコールの理由は、アクセルペダルに不具合があり、ペダルが外れて意図せぬ加速を引き起こし、事故につながる可能性があるためです。この問題に関連して、顧客から2件の苦情が寄せられたと報告されています。
リコール対象は2023年11月13日から2024年4月4日の間に生産された全ての2024年モデルで、現在米国の道路を走るサイバートラックの大半が含まれる可能性が高いとされています。
テスラは所有者に書簡を送り、無償修理のためサービスセンターに持ち込んでもらう必要があるとしています
株価の下落と投資家の反応
テスラの株価は年初来約40%も下落しており、ナスダック100指数の中で最悪のパフォーマンスを示しています。多くの銀行が株価予想を下方修正しています。投資家の信頼も揺らいでいる状況です。
長期的な成長期待の低下により、テスラ株が大型ハイテク銘柄と比べて割高に見えるようになってきているといいます。投資家の間では、テスラが自動運転技術で進歩を見せるか、EV市場との苦しい駆け引きを続けるかが注目されています。
まとめ
テスラは、「フル セルフ ドライビング」システムの価格を大幅に値下げしました。これは、販売の減少と競争の激化に直面する同社の現状を示しています。
また、自然災害への備えの重要性も、企業の経営に大きな影響を与える可能性があります。テスラの価格戦略には、この点も関連しているのかもしれません。
今後のテスラの動向に注目が集まるでしょう。完全自動運転の実現には、まだ多くの課題が残されています。テスラがどのように対応していくのか、ぜひ注目していきましょう。