2025年の参議院選挙で、急速に勢力を拡大した新興政党「参政党」。
イギリスの国営放送BBCは、同党を“far-right”=極右政党として報じ、日本の政治にナショナリズム(国家主義)的な潮流が強まっていると警鐘を鳴らしました。
新型コロナ禍を契機に誕生したこの政党は、陰謀論的主張から始まり、現在は移民問題や経済政策を強調した「日本ファースト」の姿勢で支持を拡大しています。
主に若い有権者を中心に、既存の政治への不満がこの流れを後押し。
本記事では、BBC報道をもとに参政党の急成長の背景や主張、どのように日本政治を変えつつあるのかを深掘りし、国内外の反応を交えて分析します。
BBCが描いた参政党の“極右”像
BBCが注目したのは、今回の参院選で参政党が1議席から14議席へと急増した事態です。
記事内では、“Japanese First”(日本ファースト)を旗印に掲げ、「外国人の静かな侵略(silent invasion)」といった過激な言葉を使う党首・神谷宗幣氏の姿勢を「ポピュリストかつ排外的」と評価しています。
BBCは以下の点を指摘:
- コロナ禍で拡散された反ワクチン・反マスクの主張
- 外国人観光客や移住者の急増への警戒感
- 若年層男性を中心に支持が拡大していること
- 神谷氏がトランプ大統領の政治スタイルを模倣していると明言している点
特筆すべきは、記事中での「日本の政治がついに欧米のポピュリズム政党に近づいた」という言及。
つまり、これまで比較的安定していた日本の中道保守的な国政政党構造が大きく揺らいでいると海外メディアも捉えているのです。
これまで「日本には右翼ポピュリズムは根付かない」とされてきた常識を覆すこの動きに、国際社会の関心と懸念が集まっています。
なぜ支持が広がった?ナショナリズムと政治不信
参政党の支持がここまで急拡大したのは、単なる愛国心の高まりだけではありません。
その背景には、長引く経済不況、移民政策への反発、そして既存政党への不信感が複雑に絡んでいます。
▼支持が広がった主な背景:
- 消費税や生活コストの上昇による国民負担感
- 外国人労働者・観光客の急増(2024年は3.8万人の外国人居住者)
- 自民党の「過度なリベラル化」への保守層からの反発
- 現実感のある支援策(子ども手当拡充・税制改革)
特に、現首相・石破茂への不満が大きな要因と考えられます。
かつて保守派の「雄」と言われた氏ですが、近年は「弱腰外交」「LGBT法案推進」など、かつての自民党の保守的価値観からの乖離が目立っています。
神谷宗幣氏が掲げる「真の日本保守」を標榜する姿が、こうした保守層や中間層の「代弁者」として受け入れられている現実があります。
SNS戦術と新たな政治参加層の登場
参政党のもう一つの要因は、SNSを中心とした極めて巧みな広報戦略です。
特にYouTubeをはじめとする動画コンテンツと、X(旧Twitter)での情報拡散がその中核を担っています。
参政党のSNS戦略の特徴
- 神谷氏の「感情に訴える」スピーチ動画:再生回数100万回超多数
- 意図的に短く編集された「バズり用」政策解説
- 若者向けにTikTok風の短編コンテンツも展開中
実際に、SNS上での反応には熱烈な支持が目立ちます:
❝自民も立民ももう信用できない。参政党が一番現実的。❞(X/20代男性)
❝国を守るってこういうこと。外国人優遇は間違ってる。❞(Instagram/30代女性)
一方で、排外的スローガンや女性を軽視するような発言に対して厳しい批判も:
❝多様性を否定する政党が伸びるのは危険すぎる。❞(Facebook/40代男性)
❝昭和の価値観を今に押しつけるな。❞(X/20代女性)
このように、SNSを通じた政治参加が加速する中、支持・不支持がはっきりと分かれ、「政治が身近になった」と感じる層が出始めています。
これは長年「無関心」とされていた若年層の政治参画のチャンスとも言えるでしょう。
参政党は本当に“極右”なのか?
BBCや欧米メディアが参政党を「極右(far-right)」と報じる一方で、「真の右翼とは違う」とする声も一部にあります。
ただし、注目すべきは参政党の伸びが、他の中道右派政党にも影響を与えているという事実です。
立憲民主党の支持層も流動化し、「既存政党に対するノー」が共通テーマになっている点で、日本の政党政治そのものが再編の兆しを見せています。
世界の保守政党と類似点
参政党の主張は、世界の保守政党と驚くほど共通しています。たとえば:
- 米国:トランプ氏の「America First」/反移民・反エリート主義
- イタリア:「イタリアの同胞」党/強い家族制度と国民優先政策を掲げて政権奪取
- フランス:ル・ペン氏率いる「国民連合」/移民排斥と国内治安の強化
参政党もこれと同様に、「主権の回復」 「外圧からの独立」 「家族・伝統の保護」の三点を軸に支持を高め、国際的な「保守ナショナリズムの潮流」に連なる存在と見なされつつあります。
まとめ – 参政党の行方と政治の再構築
BBCによる「極右」認定という国際的な注目を受け、参政党の存在感は今後ますます高まりそうです。
一方、支持の拡大にはリスクも伴い、「短期的なブーム」に終わる可能性も拭えません。
ただし、今回の選挙で明らかになったのは、国民が“変化”を求めているということ。
そして、SNSによる政治参加の形が大きく変化している点です。
参政党の成否は、日本政治の新たな時代の入り口を象徴する“リトマス試験紙”として、しばらく注視する必要があります。