2025年4月、アメリカ・ルイジアナ州ベイカーのウォルマートで、3人の男性と1人の少年が馬に乗って店内を闊歩するという前代未聞の事件が発生しました。
この出来事はSNSで瞬く間に拡散され、動画には驚きと笑い、そして不安の声が寄せられました。
Four charged by police after riding through Walmart on horseback. pic.twitter.com/9uEOlHphNS
— Daily Mail Online (@MailOnline) April 15, 2025
しかし、彼らは「面白半分」や「有名になりたい」という軽い気持ちで行動した結果、複数の軽犯罪(ミスディミーナー)で起訴されることとなります。
本記事では、事件の詳細、SNSと現代社会の関係、法的側面、そして今後の課題について、具体的な事例やデータを交えながら深く掘り下げていきます。
事件の概要と経緯
2025年4月8日、ルイジアナ州ベイカーのウォルマートで、3人の成人男性(24歳、22歳、18歳)と16歳の少年が馬に乗って店内へ入店しました。
彼らは「Cutthroat Cowboys(カットスロート・カウボーイズ)」と名乗り、TikTokやX(旧Twitter)、Facebookなど複数のSNSでその様子をライブ配信・投稿しました。
特にTikTokで拡散された動画は、20秒ほどの短い映像で、彼らがセルフレジ付近を馬で通過し、店内の奥へと進む様子が映し出されています。
この動画には、ウォルマートの従業員が「こんなことしていいのか?」と困惑しつつも、笑い声を漏らす様子も収められていました。
事件発生後、ベイカー警察は映像から身元特定を進め、数日後に4人全員が自ら出頭。
起訴内容は以下の通りです。
- 禁止区域への立ち入りおよび滞在
- 犯罪行為のSNS投稿による名声獲得
- 平穏妨害
特に「犯罪行為のSNS投稿」はルイジアナ州独自の法律であり、現代的な問題を象徴しています。
SNS拡散と現代社会の“目立ちたがり”現象
この事件が社会に大きな波紋を呼んだ最大の理由は、SNSによる拡散力と「バズりたい」という動機です。
近年、若年層を中心に「注目されたい」 「有名になりたい」という欲求が強まり、過激な行動に走るケースが増加しています。
アメリカの調査会社Pew Research Centerの2024年調査によれば、18〜29歳の約67%が「SNSで注目を集めたい」と回答しています。
今回の事件も、馬に乗るという非日常的な行動を「面白い」 「ウケる」と考え、動画投稿によるバズ(拡散)を狙った典型例です。
実際、TikTokでは数百万回再生され、コメント欄には「クレイジーだけど笑った」 「アメリカらしい」などの反応が相次ぎました。
しかし、こうした行動は「社会的迷惑行為(パブリック・ヌイスンス)」や「模倣犯(コピーキャット)」を生むリスクも孕んでいます。
SNS時代における“目立ちたがり”現象は、単なる個人の問題ではなく、社会全体で考えるべき課題となっています。
法的リスクとルイジアナ州の独自法
今回の騎馬事件で特に注目すべきは、ルイジアナ州の「犯罪行為のSNS投稿禁止法(Unlawful Posting of Criminal Activity for Notoriety and Publicity)」です。
この法律は、犯罪行為を動画や写真で拡散し、名声や注目を集めること自体を犯罪とみなすもので、全米でも珍しい規定です。
実際の起訴内容と最大刑罰は以下の通りです。
| 起訴内容 | 最大刑罰 |
|---|---|
| 禁止区域への立ち入り・滞在 | 罰金500ドルまたは6ヶ月以下の拘留 |
| 犯罪行為のSNS投稿 | 罰金500ドルまたは6ヶ月以下の拘留 |
| 平穏妨害 | 罰金100ドルまたは90日以下の拘留 |
このような法律が生まれた背景には、「SNSによる模倣犯の増加」や「社会的秩序の維持」があります。
また、被告の1人は「馬は自分のエモーショナルサポートアニマル(情緒的支援動物)」だと主張しましたが、法的には認められませんでした。
事件が投げかける社会的課題と今後の展望
今回の事件は、単なる「お騒がせ行為」では終わりません。
SNS時代における「自己顕示欲(セルフ・プロモーション)」と「法的リスク」、「公共の安全」のバランスが問われています。
- SNS拡散による模倣犯のリスク
- 店舗や顧客の安全確保
- 法律と表現の自由のバランス
今後、企業や行政は「SNS拡散防止策」や「啓発活動」を強化する必要があります。
また、個人レベルでも「面白いこと」と「法や社会のルール」の違いを理解するリテラシー教育が重要です。
さらに、アメリカでは「エモーショナルサポートアニマル(ESA)」の定義や扱いも議論されています。
今回の事件をきっかけに、公共空間での動物同伴やSNS利用の在り方について、社会全体で考える契機となるでしょう。
アメリカの「バズ」事件とその影響
アメリカでは近年、SNSで拡散される「バズ事件」が急増しています。
例えば、ファストフード店での過激なチャレンジ動画や、公共の場でのフラッシュモブなど、その多くが「注目を集める」ことを目的としています。
2023年のFBI統計によると、SNSが関与した軽犯罪の摘発件数は前年比18%増加。
企業側も「SNS映え」対策として、監視カメラや警備員の増員、入店ルールの強化を進めています。
このような背景から、今後も「バズ狙い」の行動と法的規制のせめぎ合いが続くと予想されます。
まとめ
ウォルマート騎馬事件は、「SNS時代の目立ちたがり行動」と「法的リスク」の象徴的な事例です。
単なるおもしろ動画の裏には、社会的責任や公共の安全、法的な問題が複雑に絡み合っています。
今後は、個人・企業・社会全体で「SNSリテラシー」と「法令遵守」の重要性を再認識し、健全なネット社会の実現を目指すことが求められます。
「面白い」だけで終わらせず、私たち一人ひとりが“バズ”の裏側にあるリスクや責任について考えてみませんか?