薄毛の飲み薬とは?新薬VDPHL01、536人治験で毛髪1cm²あたり最大36本増

薄毛の飲み薬の新薬として開発中の「VDPHL01」が、536人の男性を対象にした第3相試験で、6カ月後に毛髪数が1平方センチあたり最大36.4本増えたと、米製薬企業ベラダーミクス(Veradermics)が発表しました。米カルチャーメディアVice(10月27日付)などが報じています。

結論から言うと、結果は有望ですが、まだ承認前の「企業発表の速報データ」です。日本で今すぐ使える薬ではありません。

薄毛の飲み薬の新薬「VDPHL01」とは?

VDPHL01は、有効成分にミノキシジル(血管を広げる作用があり、塗り薬の発毛剤として知られる成分)を使った、徐放性(ゆっくり効く)の飲み薬です。

ミノキシジルの飲み薬は、血圧への影響など全身への副作用が懸念されてきました。同社は徐放性の設計によって、この点に対応するとしています。

現時点では米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けておらず、あくまで開発中の「治験薬」です。

536人の治験の結果:毛髪は1平方センチあたり最大36本増

今回発表されたのは「Study 304」という試験です。軽度から中等度の男性型脱毛症(AGA)の男性536人を、次の3グループに無作為に分け、二重盲検(本人も医師も誰がどれを飲んだか分からない方式)で6カ月間比べました。

  • VDPHL01 8.5mgを1日1回
  • VDPHL01 8.5mgを1日2回
  • 偽薬(プラセボ)

6カ月後の、頭皮の一定範囲にある太い毛(産毛を除く)の数の増加は次のとおりです。

  • 1日1回:28.6本/平方センチ
  • 1日2回:36.4本/平方センチ
  • 偽薬:6.6本/平方センチ

どちらの服用グループも偽薬との差は統計的に有意(P値0.0001未満)でした。治験の医師の評価では、早ければ2カ月目から偽薬との差が出ていたとされています。

「髪が増えた」と感じた人の割合は?

参加者本人に「髪の量(見た目のボリューム)が改善したか」を尋ねる調査(AAIRS)でも差が出ました。「改善した」「大きく改善した」と答えた人の割合は次のとおりです。

  • 1日1回:55.7%
  • 1日2回:68.7%
  • 偽薬:15.0%

なお、一部の報道には「約85%が改善」という数字もありますが、この記事では専門媒体が報じた主要評価項目の数値を使っています。

副作用と安全性:注目点は「心臓への影響」

6カ月の時点で、治療に関連した重篤な副作用や、心臓に関する特別な注意が必要な副作用は報告されていません。

報告された主な副作用は、むくみと多毛(体毛が濃くなること)でした。

  • むくみ:1日1回 2.8%、1日2回 4.5%、偽薬 0.6%
  • 多毛:1日1回 2.2%、1日2回 9.0%、偽薬 0%

ただし、試験期間は6カ月です。飲み薬のミノキシジルでは心臓や血圧への影響が懸念されてきたため、1年などの長期データの確認が欠かせません。同社は長期の安全性を調べる延長試験も進めています。

この結果をどう読むか:期待と注意点

今回の数字は、毛髪数という客観的な指標と、本人の実感の両方で偽薬を上回っており、期待できる内容です。同社は4月にも別の試験(Study 302、519人)で、6カ月後に1日1回で30.3本、1日2回で33.0本(偽薬7.3本)という近い結果を発表しており、結果に一貫性があります。

一方で、次の点には注意が必要です。

  • 発表は企業の速報(トップライン)データで、専門家による査読を受けた論文ではありません
  • 治験の対象は軽度から中等度の男性で、すべての薄毛の人に同じ効果があるとは限りません
  • 「毛が36本増える」は平均値で、増え方には個人差があります
  • 承認や発売の時期は決まっていません

同社は女性の薄毛を対象にした第3相試験も開始しています。

日本ではどうなる?今できること

日本では、ミノキシジルの塗り薬が発毛剤として販売されています。一方、ミノキシジルの飲み薬は、AGAの治療薬として国内で承認されていません。クリニックによっては医師の判断で処方する場合がありますが、その場合は自由診療となり、副作用の説明を十分に受ける必要があります。

今回の新薬が日本に入ってくるかどうかは、現時点では何も発表されていません。

薄毛が気になる方は、通販などで入手した薬を自己判断で飲まず、まず皮膚科やAGA外来で診察を受けてください。特に、飲み薬のミノキシジルは血圧や心臓に影響する可能性があるため、持病のある方や服薬中の方は必ず医師に相談を。

まとめ

  • VDPHL01は徐放性のミノキシジルの飲み薬で、開発中の新薬
  • 536人の第3相試験で、6カ月後に毛髪が1平方センチあたり28.6〜36.4本増加(偽薬は6.6本)
  • 6カ月時点で重篤な副作用の報告なし。むくみと多毛が主な副作用
  • 企業発表の速報で未承認。日本での入手はできない
  • 気になる人は自己判断で服用せず、医師に相談を

出典:
Vice
Practical Dermatology

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