米連邦取引委員会(FTC)は2026年10月22日、FTC職員を名乗る人物が電話で「あなたの名前と番号で別の電話が登録され、海外の犯罪に使われている」と告げ、電話番号の停止をちらつかせて金銭をだまし取ろうとする詐欺について、消費者向けに注意喚起を出しました。
米Popular Scienceなども、この警告を取り上げています。
日本でも「総務省」や「NTT」を名乗り「電話が使えなくなる」と告げる詐欺電話が知られており、手口の骨格がよく似ています。
この記事では、FTCが説明した手口の流れ、本物の公的機関が絶対にしないこと、日本での類似事例と対処法を整理します。
FTCが警告した「電話番号停止」詐欺とは?
FTCの消費者向け警告(2026年10月22日付)によると、手口は次のような流れで進みます。
- FTCの職員を名乗る人物から電話があり、「あなたの名前で登録された電話が、国外で詐欺に使われている」と告げられる
- 偽のバッジ番号(身分証の番号)を読み上げて、本物らしく見せる
- 協力しなければ、あなたの電話番号を停止(無効化)すると脅される
- 「被害届を出すため」として、偽の警察官に電話を転送される
- 疑うと「警察署の電話番号をネットで調べて、自分でかけてみなさい」と言われるが、そのかけ先にも詐欺の一味が出る
- 身分証の情報などの個人情報を聞き出され、「この件は誰にも話すな」と口止めされる
- 後日、「詐欺に関与した疑いで逮捕される。国外へ出頭する必要がある。ただし保証金を送れば免れる」と迫られる
FTCはこの話について、「すべて詐欺です」とはっきり述べています。
ポイントは「確認させる」ふりをして罠にはめる点
この手口が巧妙なのは、疑った相手に対して自分で確認させるふりをする点です。
「警察署の番号を検索して、かけ直してください」と言われれば、多くの人は「それなら安心だ」と感じます。
しかし、FTCによると、検索で見つけた番号にかけても、詐欺グループが用意した偽の窓口につながるよう仕組まれているケースがあります。
つまり、電話をかけ直す相手を、相手側が指定したり誘導したりしている時点で、確認の意味が失われているのです。
確認したいときは、電話の最中に調べるのではなく、いったん切ってから、公式サイトや手元の書類に載っている番号を自分で探して問い合わせるのが基本になります。
FTCが「絶対にしない」と明言していること
FTCは、本物の職員は次のことを絶対にしないと説明しています。
- お金を送るよう求める、またはお金を求める人物につなぐ
- 電話番号を停止すると脅す
- 会話の内容を秘密にするよう求める(FTCは「これは常に詐欺」としています)
- 身分証の写真をテキストメッセージで送りつけて、本人確認の代わりにする
特に「誰にも言うな」という口止めは、詐欺の典型的な特徴です。
家族や友人に相談されると、だましの筋書きが崩れてしまうため、相談させないように仕向けるのです。
もし電話の最中に「この件は秘密にしてください」と言われたら、その時点で詐欺を疑ってください。
日本の「電話が止まる」詐欺との共通点
日本でも、総務省やNTTを名乗る自動音声が「2時間後に電話が使えなくなります」と告げ、オペレーターにつなぐための番号入力を促す詐欺電話が、各地の警察や自治体から注意喚起されています。
総務省は2024年2月に、この種の詐欺電話について注意喚起を行いました。
国民生活センターなどは、総務省やNTT東日本・NTT西日本が、電話の停止を自動音声やSMSで連絡することはないと説明しています。
また、「+1」「+44」など「+」で始まる国際電話番号からの着信や、警察署の番号を偽装した着信が使われる例も報告されています。京都府警は、画面に表示された番号が実在する警察本部のものであっても、本物の警察官とは限らないと注意しています。
米国の手口と日本の手口を並べると、次のような共通点があります。
- 「電話が使えなくなる」という脅しで、冷静な判断をさせない
- 公的機関や警察を名乗り、権威で信用させる
- 電話の転送で、複数の「担当者」が登場する
- 最終的に、個人情報の聞き出しや金銭の要求につなげる
国や言語が違っても、だましの設計図はほとんど変わらないことがわかります。
日本の読者ができる対処法
米国の警告をそのまま日本に当てはめることはできませんが、基本の対処は共通です。
- すぐに電話を切る:自動音声は最後まで聞かなくてよい。指示された番号の入力もしない
- かけ直さない:相手が伝えてきた番号や、その場で検索した番号にはかけない
- 個人情報を伝えない:氏名、生年月日、暗証番号、認証コードなどは答えない
- 一人で抱え込まない:家族や友人に話す。口止めされたら詐欺のサイン
- 相談する:消費者ホットライン「188」や、警察相談専用電話「#9110」に相談する
すでにお金を送ってしまった場合は、銀行や決済事業者にすぐ連絡し、警察にも届け出てください。
まとめ
FTCが警告した手口は、「電話番号を停止する」という脅しと、偽の警察官への転送、口止め、後日の逮捕予告という段階を踏んで、最終的に保証金名目で金銭を送らせようとするものです。
公的機関が電話で送金を求めたり、電話停止を告げたり、口止めをしたりすることはありません。
日本でも似た手口は続いているため、「電話が止まる」「警察に転送する」「誰にも言うな」のいずれかが出たら、電話を切って、自分で調べた窓口に相談することが最も確実な対策です。