「YouTubeで本物そっくりの犬型ペットロボットの広告を見て、つい衝動買いしてしまった」。
そんな経験、ありませんか?
実は今、こうしたペットロボット詐欺が急増しています。
2025年に入ってから、SNSや消費者センターへの相談件数が急増し、被害者の声も後を絶ちません。
この記事では、ペットロボット詐欺の巧妙な手口から、被害に遭わないための具体的な対策、そして万が一被害に遭った場合の対応策まで、専門的な知見と筆者の意見を交えて徹底解説します。
ネット通販が当たり前になった今だからこそ、知っておきたい「詐欺を見抜く力」を身につけましょう。
ペットロボット詐欺とは?――急増する被害とその背景
急増する被害件数
2025年に入ってから、YouTubeやSNSを中心に「ペットロボット詐欺」の被害報告が激増しています。
例えば、消費生活センターへのペット関連相談件数は2023年度で1,487件、2024年度も5月末時点で142件(前年同期比82%)と高止まりしています。
特に「ネット通販で購入したペットロボットが届かない」「粗悪品が届いた」「キャンセルできない」といったケースが目立ちます。
詐欺の主な手口
- AI生成映像やCGを使ったリアルな広告
本物の犬のような動きをする高性能ロボットの映像は、実はAIやCGで作られたフェイク動画が大半です。 - 著名企業・大学の名前を悪用
「SONY」や「東京大学」など、実在する有名企業・大学の名前を勝手に使い、信頼性を装っています。実際にはこれらの機関は関与していません。 - 激安価格で購入を誘導
例えば「3体で7,000円」「1台5,000円以下」など、相場からは考えられない安さで販売し、消費者の購買意欲を煽ります。参考までに、SONYの本物のAIロボット犬「aibo」は2024年時点で27万2,800円と、桁違いの価格です。 - キャンセル・問い合わせ不可の仕組み
メールが送れない、LINEのみの対応、キャンセル不可など、消費者が簡単に連絡できないようにしています。 - 事業者情報の不透明さ
サイトに会社名や住所、電話番号などが記載されていない、または海外(特に中国や香港)に拠点がある場合が多いです。
なぜ人はペットロボット詐欺に引っかかるのか?
心理的な落とし穴
- 「可愛い!」という感情が判断力を鈍らせる
動物好きな人ほど「本物みたいな犬型ロボット」に心を奪われ、冷静な判断ができなくなりがちです。 - 限定感・割引の魔力
「今だけ90%オフ」「在庫限り」といったフレーズに煽られ、急いで購入してしまう心理が働きます。 - 「自分は大丈夫」という油断
2022年の特殊詐欺認知件数は全国で1万7,570件、前年比3,072件増と増加傾向。
「自分は詐欺に引っかからない」と思っている人ほど、意外と騙されやすいのです。
被害者のリアルな声
「かわいさに負けて買ったら、ただの光るだけのおもちゃが届いた」
「メールも送れず、LINEでしかキャンセルできない。しかもキャンセルできないと書いてある」
「日本語やサイトの作りに違和感があったが、気づいた時には遅かった」
具体的な被害事例と詐欺の見分け方
事例1:広告と全く違う粗悪品が届く
YouTubeで「本物そっくりのAI犬ロボット」と宣伝されていた商品を購入したが、届いたのは動かない安物のぬいぐるみだった。
→ 広告内容と実態の乖離が顕著な典型例。
事例2:商品が届かず、連絡も取れない
代金引換で注文したが、到着日時も指定できず、メールも送れない。LINEでキャンセルを試みるも「ここからはキャンセルできません」と返答。
→ 問い合わせ・キャンセル不可の仕組みは詐欺サイトの常套手段。
事例3:著名企業名を悪用
「SONYと東京大学が共同開発」と謳う広告を見て購入したが、公式サイトにはそのような情報は一切なし。
→ ブランド名の無断使用で消費者の信頼を得る手口。
詐欺を見抜く7つのチェックリスト
- 価格が安すぎないか?
本物のAIロボット犬は20万円以上が相場。数千円で買えるのは不自然。 - 広告映像がリアルすぎないか?
AIやCGで作られた不自然な映像や動作に注意。 - 販売サイトに会社情報が明記されているか?
住所・電話番号・責任者名などが不明な場合は要注意。 - 問い合わせ先がLINEやメールのみではないか?
電話対応がない、メールが送れない場合は危険。 - キャンセル・返品ポリシーが不明確ではないか?
「キャンセル不可」「返品できません」といった記載は要警戒。 - 著名企業や大学のロゴや名前が使われていないか?
公式サイトで発表されていない場合は詐欺の可能性大。 - ネット上の口コミや被害報告を調べたか?
SNSやQ&Aサイトで同様の被害報告が多数あれば、購入は控えるべき。
被害に遭った場合の対処法
1. 受け取り前に内容物を確認
代金引換の場合は、配送業者に事情を説明し、商品を開封してから支払うことができるか相談しましょう。
不審な場合は受け取り拒否も選択肢です。
2. 支払い方法別の対応
- クレジットカード決済の場合
すぐにカード会社へ連絡し、不正利用として対応を依頼しましょう。 - 銀行振込や電子マネーの場合
取引記録やメールなどの証拠を保存し、警察や消費者センターに相談してください。
3. 消費者センター・警察への相談
国民生活センターや消費生活センターに相談し、今後の対応について指示を仰ぎましょう。
被害が広がらないためにも、情報提供は重要です。
今後の課題
なぜ詐欺はなくならないのか?
詐欺サイトは、摘発されてもすぐに新しいドメインや手口で再登場します。
AI技術の進化で、広告映像のリアルさや巧妙さも年々増しており、消費者が見抜くのがますます難しくなっています。
対策の強化が必要
- プラットフォーム側の審査強化
YouTubeやSNSなど、広告配信プラットフォームの審査体制強化が急務です。 - 消費者教育の徹底
学校や地域での啓発活動、AIを使った詐欺訓練ツールの活用など、社会全体で「だまされない力」を養う必要があります。 - 法整備と国際連携
海外サイトを利用した詐欺も多いため、国際的な取り締まりや法整備も求められています。
本物のペットロボットと詐欺商品の違い
項目 | 本物のペットロボット(例:aibo) | 詐欺商品(YouTube広告等) |
---|---|---|
価格 | 27万円以上 | 5,000円以下~7,000円程度 |
企業・開発元 | SONYなど実在の大手企業 | 不明・記載なし/著名企業名を無断使用 |
商品説明の信頼性 | 公式サイトで詳細に記載 | AI生成映像・根拠不明の説明 |
サポート・保証 | 公式サポート・保証あり | 問い合わせ不可・サポートなし |
口コミ・評価 | 多数のレビュー・実績あり | 被害報告や悪評が多い |
まとめ – ネット通販時代の「だまされない力」を
ペットロボット詐欺は、「可愛い」「安い」「本物そっくり」という言葉の裏に巧妙な罠が潜んでいます。
2025年現在、SNSやYouTubeでの被害報告は後を絶たず、「自分は大丈夫」と油断している人ほど、詐欺のターゲットになりやすいのが現実です。
ネットで買い物をする際は、価格・企業情報・問い合わせ先・口コミなどを必ずチェックし、「安すぎる話には裏がある」と疑う習慣を持ちましょう。
そして、万が一被害に遭った場合は、泣き寝入りせずに消費者センターや警察に相談することが大切です。
「だまされない力」を身につけて、安心・安全なネットショッピングを楽しんでください。
そして、あなたの大切な人にも、この情報をぜひ教えてあげてください。
(編集後記)
筆者も実際にYouTubeでペットロボット詐欺広告を見て、「これは本当に買えるのか?」と錯覚しかけました。
便利な時代だからこそ、情報リテラシーと冷静な判断力がますます重要になっています。
皆さんもどうか、被害に遭わないよう気をつけてください。