2025年5月、アメリカのオンラインショッピング市場に激震が走ります。
トランプ政権が中国発の格安通販サイト「Shein(シーイン)」や「Temu(ティームー)」などから届く小口パッケージに対し、最大で商品価格の120%、もしくは1個あたり100ドル(6月からは200ドル)という高額な関税を課す方針を発表したのです。
これまで800ドル以下なら免税だった「デミニマス制度」の抜け道が封じられ、米国の消費者は“超格安”の恩恵を失う可能性が高まっています。
すでにSNSでは「今のうちに買いだめを」と駆け込み需要が急増し、業界や消費者の動揺が広がっています。
本記事では、関税導入の背景、消費者・企業への影響、今後の市場動向まで、最新データと専門家の分析を交えて深掘りします。
なぜ今「デミニマス制度」廃止?米中貿易戦争の新局面
「デミニマス制度」とは、800ドル以下の海外通販品に関税をかけない米国独自の仕組みです。
これを活用し、SheinやTemuは中国から超低価格の商品を直接米国の消費者に届け、急成長を遂げました。
2023年には約14億個ものパッケージがこの制度を利用して米国に輸入され、2013年の1.4億個から10倍に急増しています。
しかし、米国内では「中国企業だけが得をして、米国の小売や製造業が打撃を受けている」と批判が高まりました。
さらに、制度の悪用による薬物密輸(特にフェンタニルなど合成オピオイド)への懸念も強まっています。
こうした背景から、トランプ政権は「米国産業の保護」と「安全保障」の両面を理由に、デミニマス制度の抜け道を封鎖し、高額関税を導入する決断に至りました。
関税導入のインパクト―消費者と企業のリアルな反応
この発表を受け、SNSや掲示板では「今のうちに買いだめを」という声が急増。
実際、Sheinは3月の米国売上が前年比29%増、4月上旬は38%増と急伸。
Temuも同時期に46%、60%という驚異的な成長を記録しました。
消費者は関税前の“駆け込み需要”に走っているのです。
一方、SheinやTemuは「運営コストが上昇したため、4月25日から価格調整を行う」と公式発表。
広告費も大幅に削減し、米国市場での攻勢を一時的に緩めています。
アプリのダウンロード数も急落し、Temuは米Apple Storeで5位から75位、Sheinは15位から58位に転落しました。
このように、消費者には「今後は送料や関税負担で格安通販のメリットが激減する」現実が突きつけられています。
企業側も、米国市場でのビジネスモデルの根本的な見直しを迫られているのです。
関税の仕組みと今後の価格動向
新関税は、2025年5月2日から「商品価格の120%」または「1個あたり100ドル」(6月からは200ドル)という極めて高額な設定です。
例えば、8ドルのTシャツ1枚でも関税が100ドルかかるため、実質的に“格安”の意味がなくなります。
さらに、UPSやFedExなど民間配送業者を通じた場合は最大145%の関税が課され、消費者が直接関税を支払うケースも想定されています。
現時点では「商品価格に上乗せされるのか」「受け取り時に支払うのか」など、運用の詳細は流動的ですが、いずれにせよ消費者の負担増は避けられません。
この結果、SheinやTemuは中国以外の生産拠点へのシフトや、米国内での在庫販売強化など、サプライチェーンの再構築を迫られるでしょう。
一方、米国内の小売業や製造業には一定の追い風となる可能性もあります。
米国小売業界・消費者への長期的影響
SheinやTemuの急成長は、米国内のディスカウントストアやファストファッション大手(例:Forever 21)の経営を圧迫し、実際に倒産や店舗閉鎖が相次いでいます。
今回の関税強化により、こうした米国企業の競争力回復が期待される一方、消費者は「選択肢の減少」や「物価上昇」という副作用も覚悟しなければなりません。
また、米国の低所得層や若年層はSheinやTemuの“超格安”商品に強く依存してきたため、生活コストの上昇や購買行動の変化が社会問題化する可能性があります。
さらに、米中間の貿易摩擦が激化すれば、他の分野(家電、医薬品など)にも波及し、グローバル経済への影響も無視できません。
世界のEC市場と今後の注目点
他国の動向とEC業界の今後
- 米国の動きに対し、中国は米国製品への報復関税(最大125%)を発動し、EUやカナダも報復措置を検討中。
- 一方、スマートフォンやノートPCなど一部の電子機器は一時的に関税対象外ですが、今後は半導体や医薬品などにも新たな関税が課される見通しです。
- SheinやTemuは東南アジアや中南米など新興市場へのシフトを加速中。米国市場でのシェア低下を他地域で補う戦略が注目されています。
まとめ
2025年5月からのShein・Temuへの高額関税は、米国の消費者・小売業界に大きな転換点をもたらします。
格安通販の時代は終焉を迎え、消費者は新たな選択を迫られるでしょう。
一方、米国産業の保護や安全保障強化という側面もあり、今後の米中関係やグローバルEC市場の動向から目が離せません。
読者の皆様も、最新情報をチェックしつつ、賢い消費行動を心がけてください。