禁止法施行後わずか14時間で、TikTokが米国で再開。その舞台裏とは?
米国でTikTokが復活しました。
わずか14時間の遮断後、突如として利用可能になったのです。
この劇的な展開の裏には、ドナルド・トランプ次期大統領の介入がありました。
中国企業ByteDanceとの関係を断ち切らない限りTikTokの使用を禁じる法律が施行されたにもかかわらず、なぜこのような急転直下の事態となったのでしょうか?
本記事では、TikTok騒動の最新状況と、今後の展望について詳しく解説します。
TikTok遮断から復活までの経緯
突然の遮断と混乱
2025年1月19日、米国時間の午後10時頃、TikTokは突如として利用不可能になりました。
ユーザーがアプリを開くと、「申し訳ありませんが、TikTokは現在利用できません」というメッセージが表示されるだけでした。
これは、ByteDanceとの関係を断ち切らない限りTikTokの使用を禁じる法律が施行された結果でした。
https://www.npr.org/2025/01/18/nx-s1-5266146/tiktok-offline-supreme-court-ban
この法律は、中国政府がByteDatanceを通じてアメリカ人のデータにアクセスする可能性があるという懸念から制定されました。
法律の施行により、GoogleやAppleはアプリストアからTikTokを削除し、ウェブホスティング企業もサポートを停止せざるを得なくなりました。
https://edition.cnn.com/2025/01/17/tech/tiktok-getting-banned-trump-biden/index.html
トランプ次期大統領の介入
しかし、遮断からわずか14時間後、状況は一変します。
ドナルド・トランプ次期大統領が自身のSNS「Truth Social」で声明を発表したのです。
トランプ氏は法律の施行を一時停止し、TikTokをサポートする技術企業に法的保護を与えると約束しました。
https://www.npr.org/2025/01/19/nx-s1-5267568/tiktok-back-online
この声明を受けて、OracleやAkamaiといったウェブサポート企業が即座にTikTokのサービスを再開。
数百万人のアメリカ人ユーザーが再びTikTokを利用できるようになりました。
日本でのTikTok禁止の可能性は低い
日本におけるTikTok禁止の可能性は、現時点では極めて低いと考えられます。
米国では2025年1月19日にTikTok禁止法が発効し、一時的な遮断が行われましたが、日本政府はこれまでTikTokに対して具体的な規制や禁止の動きを示していません。
日米の状況の違い
米国では国家安全保障上の懸念からTikTok禁止法が成立しましたが、日本ではそのような動きは見られません。
日本政府はこれまで、TikTokに対して特別な規制を設ける意向を示していません。
また、日米間では中国に対する安全保障政策のアプローチに違いがあり、日本はより慎重な姿勢を取っています。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-17/SQ8NADDWRGG000
クリエイターエコノミーへの影響
仮に日本でTikTok禁止の動きが出た場合、クリエイターエコノミーに大きな影響を与える可能性があります。
多くのクリエイターがTikTokを主要な収入源や宣伝手段として活用しているため、禁止されれば代替プラットフォームへの移行を余儀なくされるでしょう。
今後の展望
日本政府はTikTokに対して現時点で具体的な規制を検討していないものの、米国の動向や国際情勢の変化によっては、将来的に何らかの対応を迫られる可能性もあります。
ただし、表現の自由や経済への影響を考慮すると、完全な禁止よりも、データセキュリティ強化などの部分的な規制にとどまる可能性が高いと考えられます。
復活後のTikTokを取り巻く課題
アプリストアの問題
TikTokは復活したものの、まだ完全な復旧には至っていません。
最大の問題は、AppleとGoogleがアプリストアでのTikTokの配信を再開していないことです。
これにより、新規ユーザーはアプリをダウンロードできず、既存ユーザーも重要なソフトウェアアップデートを受け取れない状況が続いています。
また、アプリ内課金も停止したままで、ライブ配信中の「コイン」購入や有料サブスクリプションサービスが利用できなくなっています。
これはTikTokのビジネスモデルに大きな影響を与える可能性があります。
法的な不確実性
トランプ次期大統領の介入により一時的に復活したTikTokですが、法的な問題は依然として残されています。
ミネソタ大学ロースクールのアラン・ローゼンシュタイン教授は、トランプ氏の保証には法的拘束力がないと指摘しています。
さらに、共和党のトム・コットン上院議員は、トランプ氏には既に施行された法律の開始日を延期する権限はないと主張しています。
コットン議員は、ByteDanceから分離する前にTikTokを支援する企業は巨額の賠償責任を負う可能性があると警告しています。
TikTok騒動が示す米中テクノロジー覇権争い
TikTok問題の背景には、米国と中国のテクノロジー覇権を巡る争いがあります。
TikTokは1億7000万人以上の月間アクティブユーザーを持つ人気アプリで、InstagramやYouTubeといった米国の大手SNSの強力な競合となっています。
米国政府は、ByteDanceを通じて中国政府がアメリカ人のデータにアクセスする可能性を懸念していますが、一方でTikTokの禁止は言論の自由を侵害するという批判も出ています。
PEN Americaなどの言論の自由を擁護する団体は、このような措置は米国が国際的に批判してきた政府による検閲に似ていると指摘しています。
TikTok禁止法の経緯
TikTokの米国での禁止に関する議論は4年以上前から続いていましたが、法的異議や政治的対立によってしばしば阻まれてきました。
しかし2024年4月、議会は超党派の支持を得てTikTok禁止法を可決しました。
この法律に対し、TikTokは表現の自由への前例のない侵害だとして最高裁判所に訴えを起こしましたが、最高裁は全会一致で法律を支持する判決を下しました。
TikTok騒動の行方と今後の展望
TikTokの米国での運命は依然として不透明です。
トランプ次期大統領の介入により一時的に復活しましたが、法的な課題は山積みです。
AppleとGoogleのアプリストアへの復帰、ByteDanceからの分離問題、そして米中関係の動向など、多くの要因がTikTokの将来を左右します。
この問題は単なる一企業の問題ではなく、デジタル時代における国家安全保障と言論の自由のバランス、そしてグローバルなテクノロジー覇権争いを象徴する事例となっています。
今後の展開に注目が集まります。