FDA、35年越しの決断で食品着色料を禁止。健康への影響は?
私たちの身の回りにある食品や飲料、そして薬品。その中に潜む小さな赤い色素が、今大きな話題を呼んでいます。
米国食品医薬品局(FDA)が2025年1月15日、食品着色料「赤色3号」の使用を禁止すると発表したのです。
この決定は、35年前に化粧品での使用が禁止されてから長い年月を経て下されました。
なぜ今になって?そして、この決定が私たちの生活にどのような影響を与えるのでしょうか?
本日、FDA は、デラニー条項が適用されるかどうかの審査を当局に要請した 2022 年の着色料請願に応えて、食品および摂取薬における FD&C 赤色 3 号の使用許可を取り消す命令を発行しました。
Today, the FDA is issuing an order to revoke the authorization for the use of FD&C Red No. 3 in food and ingested drugs in response to a 2022 color additive petition that requested the agency to review whether the Delaney Clause applied. https://t.co/Qd0NFOIUz8 pic.twitter.com/Bpr6XNC8OR
— U.S. FDA Human Foods Program (@FDAfood) January 15, 2025
赤色3号とは何か?その歴史と用途
赤色3号(FD&C Red No.3)は、1907年から食品に使用が認められてきた合成着色料です。
石油由来のこの色素は、キャンディーやケーキ、フルーツカクテルの赤いサクランボなど、様々な食品に鮮やかな赤色を与えてきました。
しかし、1980年代の研究で高用量の赤色3号を与えられたオスのラットに腫獰が発生することが判明。
これを受けてFDAは1990年に化粧品と外用薬での使用を禁止しました。
ところが、食品や内服薬での使用は継続されてきました。
FDAはその理由として、ラットで見られた発がんメカニズムがヒトには当てはまらないと判断したためだと説明しています。
なぜ今になって禁止されたのか?
今回の決定の背景には、消費者団体や議員からの長年の要請がありました。
特に2022年に消費者安全団体「Center for Science in the Public Interest(CSPI)」らが提出した請願が大きな転機となりました。
FDAのジム・ジョーンズ副長官は、「デラニー条項」と呼ばれる法律に基づいて今回の決定を下したと説明しています。
この条項は、動物やヒトでがんを引き起こす可能性のある添加物を食品に使用することを禁じています。
ジョーンズ副長官は「赤色3号の高用量摂取によってオスのラットにがんが発生することが証明された」と述べています。
ただし、「赤色3号がラットにがんを引き起こすメカニズムはヒトには当てはまらない」とも付け加えています。
禁止措置の影響と業界の対応
この決定により、食品メーカーは2027年1月15日までに、医薬品メーカーは2028年1月15日までに製品から赤色3号を除去する必要があります。
消費者団体はこの決定を歓迎しています。
CSPIのピーター・ルーリー所長は「口紅では禁止されながら、キャンディーでは許可されるという持続不可能なダブルスタンダードがようやく解消された」とコメントしています。
一方、国際色素製造業者協会は赤色3号の安全性を主張しており、国連や世界保健機関(WHO)の科学委員会による2018年の安全性再確認を引き合いに出しています。
代替品の開発と今後の展望
多くの食品メーカーはすでに赤色3号の使用を中止し、代替品の開発を進めています。
ビートジュース、コチニール(昆虫由来の色素)、紫サツマイモやラディッシュ、赤キャベツなどの植物由来の色素が注目されています。
この動きは米国内にとどまらず、世界的な潮流となっています。
欧州連合(EU)、オーストラリア、ニュージーランドではすでに食品への使用が制限されており、カリフォルニア州でも2027年1月から禁止されます。
食品添加物の安全性を考える
赤色3号の禁止は、私たちに食品添加物の安全性について考える機会を与えてくれます。
FDAの決定は科学的根拠に基づいていますが、ヒトへの影響については依然として不明な点が多いのが現状です。
消費者としては、食品表示をよく確認し、添加物の摂取量に注意を払うことが大切でしょう。
また、この事例は規制当局の対応の遅さも浮き彫りにしました。
化粧品での使用禁止から35年もの歳月を要したことは、食品安全行政の在り方に一石を投じています。
今後は、他の食品添加物についても同様の見直しが行われる可能性があります。
私たちは、食の安全性と利便性のバランスをどのようにとっていくべきか、真剣に考える必要があるでしょう。