2024年パリオリンピックを前に、台湾の女子ボクサー、リン・ユーティン(林郁婷)選手が性別をめぐる問題に巻き込まれている。
2023年の世界選手権では、同じ問題を抱えたアルジェリアのイマン・ケリフ選手とともに失格処分を受けた林選手。
今回のパリオリンピックでも、リン・ユーティン選手の性別適合性が問題視されている。
この問題について、具体的な経緯と背景、そして今後の展開について解説していきたい。
[VIDEO/#OLYMPICS] Asian Games gold medalist Taiwan boxer Lin Yu-ting eyeing Olympic redemption at #Paris2024 pic.twitter.com/R5WOqQBAbD
— Focus Taiwan (CNA English News) (@Focus_Taiwan) July 26, 2024
リン・ユーティン選手は28歳の台湾出身のボクサーで、中学生の頃からボクシングを始めている。
2017年のアジア選手権では金メダルを獲得し、その後も2018年の世界選手権、2019年のアジア選手権、2022年のアジア大会と世界選手権で金メダルを獲得するなど、台湾を代表する実力派ボクサーとして活躍してきた。
しかし、2023年の世界選手権では、リン・ユーティン選手とともにアルジェリアのイマン・ケリフ選手も、「男性の染色体を持っている」として失格処分を受けた。
国際ボクシング協会(IBA)のウマル・クレムリェフ会長は、「DNA検査の結果、女性として偽装していた選手がいることが判明した」と説明している。
この問題について、IOCのマーク・アダムス報道官は「パスポートに記載されている通り、女性として参加している」と述べ、IBAとIOCの見解の違いが浮き彫りになっている。
性別適合性をめぐる議論
この問題をめぐっては、公平性と選手の安全性のバランスをどう取るべきかという議論が巻き起こっている。
IBAは、リン選手とケリフ選手について「競争上の優位性を持っていた」として失格処分を下した。
しかし、IOCは「パスポートに記載されている通り、女性として参加している」と主張しており、両者の見解は対立している。
この問題に詳しい専門家によると、「生物学的な性別と法的な性別が一致しない場合、公平性と安全性のバランスを取るのは難しい」という。
つまり、法的には女性として認められていても、生物学的な優位性を持っている可能性があるため、公平な競争を確保するのが難しいのだ。
一方で、性別適合手術を受けた選手の参加を認めるべきだという意見もある。
「性別適合手術を受けた選手は、ホルモン療法などによって生物学的な優位性がなくなっている。そうした選手を排除するのは差別につながる」と指摘する。
このように、性別をめぐる問題は複雑で、一概に判断することは難しい。
公平性と選手の権利のバランスを取るためには、さまざまな専門家の意見を聞きながら、慎重に検討していく必要があるだろう。
東京オリンピックにも出場
リン選手は2020年の東京オリンピックにも出場しており、フィリピンのネスティ・ペテシオ選手に敗れている。
その後も着実に実績を重ね、2022年のアジア大会と世界選手権で金メダルを獲得するなど、台湾を代表する実力派ボクサーとして活躍してきた。
しかし、2023年の世界選手権では、「男性の染色体を持っている」として失格処分を受けた。
まとめ
台湾のボクサー、林宇婷選手が性別をめぐる問題に巻き込まれている。
2023年の世界選手権では、「男性の染色体を持っている」として失格処分を受けたが、IOCは「パスポートに記載されている通り、女性として参加している」と主張しており、IBAとIOCの見解は対立している。
今後、この問題をめぐっては、さまざまな専門家の意見を聞きながら、慎重に検討していく必要があるだろう。
公平な競争を確保しつつ、選手の権利も尊重できるような解決策を見出すことが重要となってくる。