SpaceX(スペースX)の次世代宇宙船「スターシップ(Starship)」が、4回目の無人試験飛行に成功しました。
このスターシップは、2026年までにNASAの宇宙飛行士をムーンに送り込むことを目指す「Artemisプログラム」の中心的な役割を担っています。
今回の成功は、スターシップの開発が着実に進んでいることを示す重要なマイルストーンとなりました。
Watch Starship’s fourth flight test → https://t.co/bJFjLCiTbK https://t.co/SjpjscHoUB
— SpaceX (@SpaceX) June 6, 2024
スターシップの開発の歩み
SpaceXは2023年からテキサス州のメキシコ湾沿いにある自社の射場「スターベース」でStarship/Super Heavyの飛行試験を行っています。
これまでに3回の試験飛行を行い、徐々に飛行性能を高めてきました。
第1回試験飛行(2022年7月): Super Heavyブースターの離陸に成功したものの、Shipの着陸に失敗しました。
第2回試験飛行(2022年11月): Shipの分離に成功したものの、着陸時に爆発事故が起きました。
第3回試験飛行(2023年3月): Super Heavyブースターの着陸バーンに一部失敗し、制御不能な状態で海に落下しました。一方、Shipは大気圏再突入を経て、海に軟着水することに成功しました。
このように、Starshipの開発は着実に進んでおり、今回の第4回試験飛行では、さらなる進化を遂げました。
Starship第4回試験飛行の成果
2024年6月6日、SpaceXはついに4回目の無人試験飛行(FT4)を成功させました。主な成果は以下の通りです。
Super Heavyブースターの離陸と軟着水
- Super Heavyブースターは、32基の強力なRaptorエンジンを使って離陸し、世界最強の打ち上げロケットとしての性能を発揮しました。
- 離陸後、Super Heavyは制御された状態で海に軟着水することに成功しました。前回の試験飛行では着陸バーンが失敗していましたが、今回はこの課題を克服しました。
スターシップの軌道到達と軟着水
- スターシップは6基のRaptorエンジンを使って軌道高度に到達しました。
- 大気圏再突入を経て、インド洋上で軟着水に成功しました。前回の試験飛行ではスターシップが途中で破壊されていましたが、今回はこの課題も克服できました。
- スターシップの機体表面は大気圏再突入の熱で赤く発光し、一部の制御翼が損傷しましたが、全体としては目標を達成しました。
SpaceXのイーロン・マスク氏は「多くのタイルが失われ、フラップも損傷したが、スターシップは無事に海に軟着水できた」と喜びの声を上げています。
<フラップが破損する様子>
What a video of Starship Flap getting roasted by plasma, thanks to amazing broadcasting by Starlink @elonmusk #starship #IFT4pic.twitter.com/ru6lMQjifU
— Science Simplified (@SciSimpAAG) June 6, 2024
NASAのビル・ネルソン長官も、この成功が「アルテミスムーンプログラムへの一歩前進」であると評価しています。
スターシップの今後の展開
スターシップは、アルテミス3号ミッションの有人月着陸船として使用される予定です。
今回の試験飛行は、その実現に向けた重要なマイルストーンとなりました。
今後の試験飛行では、以下のような機能が追加されていく予定です。
- 軌道投入
- ペイロード投下
- 着陸パッドへの精密着陸
また、SpaceXとFAAは、今後の飛行試験の規制プロセスを簡素化する合意に達しています。
これにより、スターシップの開発スピードがさらに加速することが期待されます。
スターシップの多様な用途
スターシップは、NASAの月探査ミッションだけでなく、さまざまな用途が期待されています。
Starlink衛星の打ち上げ
スターシップは、SpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」の衛星打ち上げにも使われる予定です。
スターシップの大型化により、一度に大量の衛星を打ち上げることができるようになります。
地球間旅行
スターシップは、地球上の任意の地点間を短時間で移動できる「点対点輸送」にも活用されることが期待されています。
例えば、ニューヨークからソウルまでわずか1時間で移動できるようになる可能性があります。
火星探査
より遠い将来には、スターシップを使って火星探査ミッションも実現できるかもしれません。
スターシップの大型化と再利用性により、火星への物資輸送が格段に容易になります。
まとめ
SpaceXのスターシップは、着実に開発が進んでおり、2026年のアルテミス3号ムーン着陸ミッションに向けて大きな前進を遂げました。
今回の4回目の試験飛行の成功は、スターシップの実用化に向けた重要なマイルストーンとなりました。
今後も、スターシップの飛行性能の向上や、さまざまな用途への展開が期待されます。
SpaceXの技術革新の速さに、私たちは大いに期待を寄せていきたいと思います。