「キルスイッチ」とは？中国の台湾侵攻を阻止する秘密の武器

半導体製造装置大手のASMLとTSMCが、中国のタイワン侵攻を阻止する秘密の武器を持っていることをご存知ですか? それが「キルスイッチ」と呼ばれる機能です。今回は、この「キルスイッチ」について詳しく見ていきましょう。

半導体は私たちの生活に欠かせない存在です。

スマートフォンやパソコン、自動車など、あらゆる電子機器に使われています。その中でも、台湾は世界有数の半導体生産拠点として知られています。

しかし、中国が台湾を侵攻しようとしているという懸念があります。そんな中、ASMLとTSMCが秘密裏に持っている「キルスイッチ」が、中国の野望を阻止する可能性があるのです。

ASML(Advanced Semiconductor Materials Lithography)：オランダを拠点に事業を展開する世界的な半導体製造機器メーカー

TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)：世界最大の半導体受託製造企業

「キルスイッチ」とは?

「キルスイッチ」とは、緊急時に装置を完全に停止させる安全機能のことです。具体的には、ASMLとTSMCが保有する最先端の半導体製造装置に搭載されており、リモートから操作して装置を無効化できるのです。

例えば、ASMLが製造する極端紫外線(EUV)露光装置は、世界で最も高度な半導体製造装置の1つです。

この装置は、TSMCが最大の顧客となっています。もし中国がタイワンを侵攻しようとした場合、ASMLとTSMCはリモートから「キルスイッチ」を作動させ、中国の半導体製造能力を一気に低下させることができるのです。

このような事態を危惧した米国政府は、オランダ政府に対して圧力をかけています。

ASMLはオランダ企業であり、同国政府の管轄下にあるため、中国へのAIチップ輸出を制限するよう求めているのです。

実際、2023年11月には、米国政府がNVIDIAやAMDに対して、中国、サウジアラビア、UAE、ベトナムへのAIチップ輸出を禁止する措置を講じています。これは、先端技術の軍事転用を防ぐためです。

ASMLとTSMCは、この「キルスイッチ」の存在を認めており、オランダ政府に対して説明しているとされています。

オランダ政府は、中国のタイワン侵攻を想定したシミュレーションも行っているようです。

また、ASMLは以前中国に出荷していた装置のメンテナンスも行わなくなる方針を示しています。これは、中国の半導体製造能力を低下させる狙いがあると考えられます。

半導体は私たちの生活に欠かせない存在です。

特に、台湾は世界有数の半導体生産拠点として知られています。もし中国がタイワンを侵攻すれば、半導体供給に深刻な影響が及ぶ可能性があります。

そのため、ASMLとTSMCが持つ「キルスイッチ」は、この事態を回避する重要な手段となるのです。リモートから高度な半導体製造装置を無効化できるこの機能は、中国の野望を阻止する切り札となるかもしれません。

ASMLは、世界で唯一EUV露光装置を製造する企業です。この装置は、最先端の半導体を製造するために不可欠なものです。TSMCは、ASMLの最大の顧客であり、同社の製品に大きく依存しています。

また、ASMLの2024年12月期1Qの業績は前年同期比21.6%減収、36.9%営業減益となりました。EUV露光装置の出荷と販売が活発だった1年前に比べ、出荷台数と販売が減少したことが主な要因です。

ASMLとTSMCが秘密裏に持つ「キルスイッチ」は、中国のタイワン侵攻を阻止する可能性のある重要な技術です。リモートから高度な半導体製造装置を無効化できるこの機能は、中国の野望を打ち砕く切り札となるかもしれません。

この技術の行方に注目が集まるなか、私たちにできることは、この問題について理解を深め、平和的な解決を願うことです。先端技術が紛争を抑止する可能性は、私たちの想像以上かもしれません。