イーロン・マスクが「悪くない」と評した、最新AIモデル「Llama 3」をMeta社が公開 – とりあえず試すには?

テスラやSpaceXの創業者であるイーロン・マスク氏は、テクノロジー業界で知られる厳しい評論家です。

そんな彼が、FacebookやInstagramで知られるMeta社の最新AIモデル「Llama 3」について「悪くない」とコメントしたことで、業界関係者の注目を集めています。Llama 3は、これまでにない高性能を誇る言語モデルであり、AIの未来を大きく変える可能性を秘めています。

MetaのAI研究部門トップでコンピューター学者のヤン・ルカン氏
「Llama3は8Bと70Bモデルを本日発売。8kのコンテキスト長。特注の24k GPUクラスターで15兆トークンを使って学習。様々なベンチマークで素晴らしいパフォーマンスを発揮し、Llam3-8BがLlama2-70Bを上回るケースもある。今後、さらに多くのバージョンが登場する予定です。」

この投稿に対しイーロン・マスク氏が「悪くない」と返答しました。

Llama 3の性能

Llama 3は、150兆トークンもの膨大なデータを使って学習されたAIモデルです。その結果、8億パラメーターと70億パラメーターの2つのバージョンが開発されました。これらのモデルは、人間の自然な会話を驚くほど忠実に再現できる高度な言語生成能力を持っています。

特に注目されているのは、Llama 3がAnthropicの「Claude 3 Sonnet」や、グーグルの「Gemini Pro 1.5」といった競合のLLMを上回る性能を発揮していることです。Meta社は、1,800もの多様なプロンプトを使った人間評価テストを行い、Llama 3がClaude Sonnetをはじめ、最高クラスの性能を誇る競合モデルを上回る結果を収めたとアピールしてます。

https://llama.meta.com/llama3/より

また、Llama 3は128,000もの豊富な語彙を持つトークナイザーを採用しており、より効率的な言語処理が可能になっています。

用語解説

入力テキストを機械学習モデルが処理しやすい、単語や文字列などの小さな単位に分割したものを指します。

機械学習モデルは、入力データを処理して予測や生成を行います。その際、モデルの中で使われる変数のことをパラメーターと呼びます。
これらのパラメーターは、モデルの性能に大きな影響を与えます。例えば、ニューラルネットワークのモデルでは、ニューロンの重みやバイアスがパラメーターに当たります。これらの値を適切に設定することで、モデルの予測精度を高めることができます。

パラメーターの値は、学習データを使って最適化されます。つまり、学習データを使ってパラメーターの値を調整し、モデルの性能を向上させるのです。このように、パラメーターは機械学習モデルの中で重要な役割を果たしています。モデルの性能を高めるには、適切なパラメーター設定が不可欠です。

機械学習モデルが自然言語を処理するために使う重要な機能です。トークナイザーは、入力された文章をトークンに分割する役割を果たします。
機械学習モデルは数値データしか扱えないため、文章データを数値化する必要があります。トークナイザーは、この文章データを数値化する際の基礎となる役割を担っています。

Llama 3を気軽に使うには

META AI

ブラウザー版AI(Meta AI)は、現在、提供地域は米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなど14ヵ国で日本からのアクセスはできません。

Replicate.comで試す

Replicate.comの下記ページでブラウザからLlama 3を試せるチャットボット(対話型AI)があります。ただ、日本語で質問する英語で返答が帰ってきます。まだ日本語の返答には対応していないようです。回答の内容自体は合っていました。

https://replicate.com/blog/run-llama-3-with-an-api?utm_source=project&utm_campaign=llama2ai

日本の首相は誰ですか?と聞いたら

私の知る限り、現在の日本の首相は岸田文雄である。彼は2021年10月4日から就任している。しかし、この情報は時間の経過とともに変化する可能性があることをご了承いただきたい!

Replicate.comとは

Replicateは、機械学習モデルをクラウド上で簡単に実行でるプラットフォームです。誰でも無料で利用できます。様々な先進的な言語モデルやコンピュータビジョンモデルなどが提供されており、APIを通じてこれらのモデルを利用することができます。
サイト上で公開されているさまざまな機械学習モデルを活用して、独自のAI製品を開発することができます。

Instagram,facebook,messenger

Instagram、facebook,messengerについても現在日本では未対応です。

Llama 3を自分のPCやサーバーで使う

下記サイトはメタ公式のLlamaの使い方ガイドです。

https://llama.meta.com/docs/get-started

検索すると構築方法がいろいろ出てきます。高いスキルが必要ですが、是非試してみてください。

Llama 3の開発背景

オープンソース化への取り組み

メタはLlama 2をオープンソースで公開したことで、AIの民主化と技術の発展に貢献しました。これにより、より多くの開発者やスタートアップがLlamaをベースにした独自のAIツールを開発できるようになりました。メタはLlama 3でもオープンソース化を進め、広く利用可能にする計画を立てています。これは、AI技術の発展のためには重要な戦略的な選択だと考えられています。

競合他社の動向と差別化

メタは、GoogleがGeminiを立ち上げるなど、AI分野での競争が激化していることを背景に、Llama 3の開発に注力しています。Llama 3は、より複雑な質問に適切に回答できるよう改善されており、ユーザーの信頼を得ることが期待されています。 

また、メタはLlama 3の開発に際し、画像生成機能の一時停止など、自社のAI技術に集中する取り組みも行っています。これらの取り組みにより、メタはLlama 3で競合他社との差別化を図ろうとしていると考えられます。

オープンソース化による影響

Llama 3の大きな特徴は、Meta社がこのモデルをオープンソースで公開したことです。これにより、研究者や開発者が自由にLlama 3を活用し、新しいアプリケーションの開発や、さらなる性能向上に取り組むことができるようになりました。

近年、Stable DiffusionやLAIONなどのオープンなAIプロジェクトが注目を集めていますが、Llama 3の登場によって、AIテクノロジーの発展に向けた新たな潮流が生まれつつあります。オープンソース化は、透明性の向上や、研究者間の協調を促進し、AIの進化を加速させる可能性があります。

用語解説

ソフトウェアのソースコード(プログラム)を無償で一般公開し、誰でも自由に使用、改良、再配布できるソフトウェア開発モデルです。

文章を入力するとそれに対応した画像を自動的に生成してくれるAIシステムです。オープンソースで提供されています

Llama 3の新機能

応答の柔軟性と文脈理解の向上

Llama 3では、応答の柔軟性と文脈理解の向上が大きな特徴となっています。

まず、Llama 3は以前のバージョンと比べて、より複雑な質問にも適切に回答できるようになりました。例えば、「車のエンジンを止める方法」のような、やや微妙な表現の質問にも、適切に理解し、安全性に配慮した回答ができるようになっています。

また、Llama 3は文脈を深く理解し、より自然な会話ができるようになりました。過去の発言を踏まえて適切に応答したり、話の流れに沿った発言ができるようになっています。これにより、ユーザーとの対話がより円滑になると期待されています。

マルチモーダル対応の強化

Llama 3では、テキストだけでなく画像の生成にも対応する予定です。最終的なリリースでは、テキストと画像の両方を生成できるマルチモーダルモデルとなる見込みです。

Llama 3は単なる言語モデルにとどまらず、より幅広い表現力を持つことができるようになります。例えば、文章と関連する画像を生成したり、画像に対する説明文を生成するなど、新しい可能性が広がると期待されています。

マルチモーダル

テキスト、音声、画像、動画、センサ情報など、複数の情報源から得られるデータを統合的に処理するAIシステムのことです。

例えば、映像と音声を組み合わせることで、状況をより詳細に把握できるようになります。これにより、従来のAIシステムでは難しかった、状況の文脈理解や感情分析などが可能になります。セキュリティ、医療、教育など幅広い分野での活用が期待されています。

Llama 3の倫理的配慮

有害コンテンツへの対応

Llama 3の開発においては、有害なコンテンツの生成を防ぐための対策が重要な課題となっています。

メタは、Llama 3の訓練データやアルゴリズムに細心の注意を払い、差別的な表現や過激な内容、違法行為の助長などを最小限に抑えることを目指しています。

具体的には、有害な単語や文章パターンの検知、不適切な画像の生成防止、ユーザーからのフィードバックを活用した改善など、多角的なアプローチを取っています。 また、倫理的な観点から問題のある出力を事前に制限するための仕組みづくりにも取り組んでいます。

安全性と信頼性の確保

Llama 3の開発では、ユーザーの安全と信頼を最優先に考えています。 正確な情報提供、適切な応答、ユーザーデータの保護など、様々な側面から信頼性の確保に努めています。

特に、Llama 3の応答の正確性と整合性を高めるため、大規模な検証と品質管理を行っています。 また、ユーザーの個人情報やプライバシーを保護するための仕組みも整備されています。

これらの取り組みにより、Llama 3はより安全で信頼できるAIアシスタントとなることが期待されています。 ユーザーの期待に応えられるよう、メタは倫理面での配慮を怠らずに開発を進めています。

Meta社のAI戦略

Llama 3は、Meta社のAI戦略の一環として位置づけられています。同社は、AIの文脈理解や感情分析などの高度な機能を実現し、ソーシャルメディアなどでの活用を目指しています。これにより、ユーザーは日常的にLlama 3の高度な言語生成能力を体験できるようになります。

また、オープンソース化により、AIテクノロジーの民主化と、他社との競争力強化を目指しています。

日本市場への展開

現時点では、Llama 3の日本国内でのチャットボットの提供は行われていません。しかし、オープンソース化により、日本の研究者や開発者が自由にLlama 3を活用できるようになったことで、今後の展開が期待されています。

日本企業がLlama 3を活用し、新しいAIアプリケーションを生み出すことで、AIテクノロジーの発展に大きな影響を与える可能性があります。また、Llama 3の高度な言語処理能力は、日本語への適用においても大きな可能性を秘めていると考えられます。

まとめ

イーロン・マスク氏の評価が示すように、Llama 3は業界の注目を集める存在となっています。この高性能な言語モデルは、AIテクノロジーの新しい潮流を生み出す可能性を秘めており、Meta社の戦略的な一手として大きな意味を持っています。今後の展開にも注目が集まるでしょう。

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