ネパール中国国境で洪水、160人死亡・日本人5人含む400人超不明

氷河崩壊が引き金に、新たな決壊湖で二次災害の懸念も

2026年8月26日、ネパールと中国(チベット自治区)の国境地帯を襲った鉄砲水により、多くの村や重要インフラが破壊されました。

CNNなど海外メディアの報道によると、ネパール側だけで157人の死亡が確認され、日本人5人を含む数百人が依然として行方不明となっています。

原因は氷河の崩壊とみられています。

CNN、日本経済新聞、ブルームバーグなどの報道をもとに、災害の経緯と現在の状況を整理します。

何が起きたのか——氷河崩壊による鉄砲水

災害が発生したのは2026年8月26日(水)のことでした。

ネパール・ラスワ郡と中国チベット自治区ギロン(吉隆)県にまたがる山岳地帯で、大量の水が谷を襲い、村や橋、水力発電所などのインフラを一気に押し流しました。

米地質調査所(USGS)によると、原因は氷河崩壊(氷河の大きな塊が斜面から崩れ落ちる現象)でした。

崩れ落ちた氷の塊が、モンスーン期ですでに水を含んでいた土砂を巻き込みながら谷を流れ下ったとされています。

USGSは「地震は発生していなかった」と明言しており、地震ではなく気象・地形的要因が引き金だったことを強調しています。

死者・行方不明者の数——日本人5人の安否も不明

ネパール側では157人の死亡が確認され、行方不明者は数百人規模にのぼっています。

報道によれば、行方不明者にはインド、ネパール、米国、オーストラリアなど20カ国以上の外国人観光客が含まれています。

中国チベット自治区側でも3人の死亡が確認され、558人が行方不明となっています。

在ネパール日本大使館によると、現地ツアーに参加していたとみられる日本人5人と連絡が取れておらず、現地当局に捜索・救助を依頼したことが明らかになっています。

高市早苗首相はSNSで「かけがえのない命が守られるよう、ひたすら祈っている」と呼びかけ、茂木敏充外相は海外緊急展開チームの職員2人を現地に派遣する指示を出しました。

なお、死者・行方不明者の数は捜索の進展に伴い今後も変動する可能性があります。

救助活動の難航——寸断されたインフラと悪天候

救助活動は困難を極めています。

中国側では、道路が土砂やがれきで寸断され、緊急対応チームが被災地の中心部に到達するまでに約22時間を要しました。

最初に到着した141人の救助隊は、高高度対応のMi-171ヘリコプターとともに投入されています。

ネパール側でも、増水した河川の影響で救助ヘリコプターの着陸が難航しているといいます。

欧州連合(EU)やインドは、人道支援の実施を表明しています。

新たな脅威——決壊湖による二次災害の懸念

被災地では、二次災害のリスクも高まっています。

中国国営テレビ局CCTVによると、以前の地滑りの跡地に新たな湖が形成されつつあり、この湖はネパール側のギロン港付近に位置し、拡大を続けているといいます。

この湖にはすでに約200万立方メートルの水がたまっており、今後3日間でさらに約300万立方メートルが流入すると見込まれています。

決壊した場合、下流域に新たな洪水被害をもたらす危険性が指摘されています。

現地の中国軍指揮官は「周囲の斜面はいつ崩れてもおかしくない状態で、道路は切り立った崖沿いを走っており、新たな土石流のリスクもある」と述べ、部隊を司令部で待機させていると説明しています。

気候変動との関連——ダライ・ラマ14世も言及

チベット仏教の指導者ダライ・ラマ14世は、今回の犠牲者に祈りを捧げるとともに、気候変動が今回の災害の背景にある可能性を指摘しました。

ヒマラヤ山脈一帯では近年、気温上昇に伴う氷河の融解・不安定化が進んでいるとされ、氷河崩壊のリスクが世界的に高まっているとの指摘が専門家の間でなされています。

モンスーン期の豪雨と氷河崩壊が重なったことが、被害をより深刻化させた可能性があります。

補足情報

今回の被災地となったギロン(吉隆)港は、中国とネパール間の貿易のおよそ3分の1を扱う重要な交易拠点です。

物流の要衝が被災したことで、今後の両国間の経済活動にも影響が及ぶ可能性があります。

氷河崩壊による鉄砲水は、氷河湖決壊洪水(GLOF、氷河が融けてできた湖の堤が決壊し発生する洪水)と呼ばれる現象とも関連が深く、ヒマラヤ地域では近年たびたび発生が報告されています。

2025年7月にも、ネパール・ラスワ郡周辺で同様の鉄砲水が発生していたことが報じられており、この地域が繰り返し同種の災害リスクにさらされていることがうかがえます。

まとめ

ネパールと中国の国境地帯を襲った今回の鉄砲水は、氷河崩壊という自然現象を引き金に、多くの命と重要インフラを一瞬にして奪いました。

日本人5人を含む多数の外国人が依然として行方不明となっており、悪天候や二次災害のリスクが救助活動をさらに困難にしています。

死者・行方不明者数は今後も変動する見通しであり、続報が待たれます。

出典:
CNN
日本経済新聞
ブルームバーグ

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