「イマキュレート・イニング」
これは、1イニングで9球全てストライクで3者連続三振を奪う、極めて稀な偉業です。
メジャーリーグ(MLB)の長い歴史の中で、達成者はわずか118人(2025年6月時点)しかいません。
2025年6月、ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸投手がサンディエゴ・パドレス戦で、この記録にあと一歩と迫りました。
しかし、審判の誤審によって「イマキュレート・イニング」は幻に終わりました。
この記事では、「イマキュレート・イニング」の定義や希少性、山本投手の快投、誤審がもたらした波紋、そしてSNSやMLBの今後について詳しく解説します。
「イマキュレート・イニング」とは何か
「イマキュレート・イニング(Immaculate Inning)」とは、1イニングで9球全てをストライクで投げ、3人の打者を三振に仕留めることです。
「immaculate(イマキュレート)」は「完璧な」「欠点のない」といった意味を持ち、その名の通り、1イニングを完璧に投げ切ることを指します。
この記録は、ノーヒットノーランや完全試合よりも達成者が少なく、MLBでは2025年6月時点で118回しか記録されていません。
日本プロ野球でも21人(23回)しか達成していません。
達成には、投手の高い技術力と集中力、そして運も必要です。
山本由伸投手の快投と“幻”の瞬間
2025年6月、山本由伸投手はパドレス戦の3回表で「イマキュレート・イニング」を目前にしていました。
先頭のブライス・ジョンソン、続くマルティン・マルドナードを6球で連続三振。
3人目のフェルナンド・タティスJr.にも2球で追い込み、8球連続ストライクという完璧な投球を見せました。
9球目、山本投手は96マイル(約154km/h)のストレートを投じました。テレビ中継のストライクゾーンでも明らかにストライクと映ったこの球を、主審は「ボール」と判定。
この誤審によって、山本投手の「イマキュレート・イニング」は幻に終わりました。
その後、山本投手はタティスJr.をカッター(変化球の一種)で三振に仕留め、計11球で3者連続三振を達成しましたが、記録としては「イマキュレート・イニング」とは認められませんでした。
誤審の波紋と判定技術への期待
この誤審は、試合中継やSNSで大きな話題となりました。
「あれがストライクじゃなければ、何がストライクなんだ?」 「ロボット審判を今すぐ導入すべき」といった声が多数上がり、自動ストライク判定システム(ABS)の導入を求める意見が再燃しました。
MLBでは近年、ABSの導入が検討されており、マイナーリーグでは試験運用も始まっています。
今回の誤審は、野球の判定技術の進化を促すきっかけとなる可能性があります。
SNS・インターネット上の反応
この誤審はX(旧Twitter)やYouTube、スポーツニュースサイトで瞬く間に拡散されました。
- 「山本由伸がイマキュレート・イニングを奪われた!」
- 「審判の判定は明らかに誤りだった」
- 「ロボット審判の導入を早めてほしい」
- 「山本の実力は誰もが認めている」
といったコメントが多数寄せられ、判定の公正性についての議論が盛り上がりました。
山本由伸投手の今後とMLBの未来
今回の誤審は山本投手の評価を下げるものではありません。
むしろ、その高い投球技術と勝負強さが再認識されました。今季のパドレス戦では安定した投球を見せており、今後もさらなる偉業が期待されます。
MLBは今後、判定技術の進化と伝統的な人間の審判とのバランスをどう取るかが課題です。
自動判定システムの導入が進めば、誤審による記録逃しは減る一方、野球の“人間ドラマ”が薄れることを懸念する声もあります。
イマキュレート・イニングにまつわるトリビア
- MLB史上118回(2025年6月時点)、日本プロ野球では21人23回(2025年4月時点)の達成。
- 複数回達成した投手はMLBで3人、日本では2人。
- 2025年シーズンではマイアミ・マーリンズのカル・クアントリル投手が唯一達成。
まとめ
「イマキュレート・イニング」は野球の歴史に残る極めて稀な記録です。
山本由伸投手は、その偉業を目前にしながらも誤審によって逃してしまいましたが、その実力と集中力は多くのファンや専門家に高く評価されています。
今後も山本投手の活躍と、MLBの判定技術の進化から目が離せません。
野球ファンとして、選手の努力が正当に評価される未来を期待しましょう。