デンマークの首相が襲われる – 警護はしていなかった?

先週金曜日、デンマークの首都コペンハーゲンで、メッテ・フレデリクセン首相が男に暴行を受ける事件が発生しました。

事件の概要

7月7日の夕方、フレデリクセン首相がコペンハーゲンの中心部にある広場を歩いていたところ、男が近づいてきて首相を殴打しました。

首相は事件後、近くのカフェに座り込んでいるところが目撃されました。

加害者の男は現場で警察に逮捕されましたが、首相のけがの有無や事件の動機については、まだ詳細が明らかになっていません。

この事件は、デンマークが欧州議会選挙を2日後に控えている最中に起きたことから、政治的な影響も懸念されています。

首相に警護はついていなかったのか?

報道によると、フレデリクセン首相は警護なしで一般の市民として広場を歩いていた際に、男に襲われたことが分かっています。

デンマークでは首相に常時警護がついているわけではなく、公の場で単独で移動することもあるようです。

今回の事件では、首相が警護なしで歩いていたことが攻撃の機会を与えてしまった可能性があります。

警護体制に対する批判

この事件を受けて、デンマークの政治家や有識者からは首相の警護体制に対する批判の声が上がっています。

例えば、デンマーク国民党のメッテ・アンダーセン議員は「首相の警護は強化されるべきだ」と述べ、より手厚い警護体制を求めています。

また、元警察高官のヨルゲン・ヨルゲンセン氏も「首相の警護は不十分だった。もっと強化すべきだ」と指摘しています。

一方首相は

一方で、フレデリクセン首相自身は「私は一般市民として歩くことを好む」と述べ、警護を強化することには消極的な姿勢を示しています。

首相は「私は自由に歩きたい。警護を強化すれば、私の自由が制限されてしまう」と語っており、警護体制の強化には慎重な立場のようです。

首相への攻撃に対する反応

この事件に対し、EUのウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は「卑劣な行為で、ヨーロッパが信じ、戦っているものすべてに反するものだ」と強く非難しました。

デンマークのマグナス・ヘウニッケ環境相も「メッテは当然ショックを受けている。私たち彼女に近い者全員を震撼させる出来事だ」と述べ、首相への同情の意を示しました。

EUのシャルル・ミシェル議長も「この卑劣な攻撃行為に憤りを感じる」と表明しています。

首相の経歴と政治情勢

メッテ・フレデリクセン首相は2019年に就任し、デンマーク史上最年少の首相となりました。

2019年にはトランプ大統領のグリーンランド購入提案に反発するなど、国際的にも注目を集めてきました。

また、2022年にはコロナ禍でのミンク殺処分をめぐる政府の対応を調査する委員会から批判を受けていました。

今回の事件は、7月9日に行われる欧州議会選挙を控えた中で起きたものです。

メッテ・フレデリクセン首相率いる与党・社会民主党は、最大野党の支持率に押され気味の状況にあり、この事件が選挙戦に影響を及ぼす可能性があります。

デンマークは北欧の福祉国家として知られ、政治的に安定した国ですが、近年は移民問題などを巡って政治的な対立も見られます。

今回の事件は、そうした背景も反映しているのかもしれません。

今後の動向に注目が集まるでしょう。

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