サウジアラビアのハッジ巡礼で550人以上が死亡

イスラム教徒にとって最も重要な宗教的義務の1つである「ハッジ」。

毎年、世界中からメッカに集まる巡礼者たちですが、今年の巡礼中に550人以上もの死者が出たことが明らかになりました。

その背景にあるのは、気候変動による酷暑の影響です。

宗教的・文化的な意義を持つハッジを、参加者の安全を最優先しながら持続可能な形で実施していくことが喫緊の課題となっています。

酷暑が引き起こした悲劇

サウジアラビア西部のイスラム教の聖地メッカへの大巡礼「ハッジ」の最中、少なくとも550人もの巡礼者が死亡したことが明らかになりました。

その大半が熱中症などの熱関連疾患が原因とのことです。

具体的な内訳は以下の通りです。

  • エジプト人巡礼者 323人死亡
  • ヨルダン人巡礼者 60人以上死亡
  • その他、インドネシア、イラン、セネガルなどからの死者も報告

合計で577人もの尊い命が失われたことになります。

気候変動の影響

ハッジは、イスラムの5つの信仰の柱の1つで、経済的に余裕のある信者は一生に1度は参加することが義務付けられています。

しかし、近年の気候変動の影響で、参加者の健康面での課題が深刻化しています。

サウジアラビアの研究によると、ハッジ巡礼が行われる地域の気温は10年ごとに0.4度上昇しているそうです。

今年の巡礼では、最高気温が50度を超える猛暑に見舞われ、多くの巡礼者が熱中症などで命を落とすことになりました。

安全対策の強化が急務

サウジアラビア政府は、事前に数十万人もの無登録の巡礼者をメッカから排除していましたが、それでも多くの命が失われてしまいました。

今回の悲劇を受け、サウジアラビア政府は、より厳格な安全対策の導入が求められています。具体的には、

  • 熱中症対策としての冷房設備の増強
  • 巡礼ルートの整備による熱中症リスクの低減
  • 適切な水分補給や休憩場所の確保

などが考えられます。

また、ハッジ参加者の健康管理や、適切な渡航手続きの確保など、各国政府の取り組みも重要になってきています。

宗教的・文化的意義を守りつつ、持続可能な形で

ハッジは、イスラム教徒にとって非常に重要な宗教的・文化的な意義を持つ巡礼です。

しかし、気候変動の影響により、参加者の安全が脅かされる事態となっています。

今後は、宗教的・文化的な意義を損なわずに、参加者の健康と安全を最優先した形で、ハッジ巡礼を持続可能な形で実施していくことが課題となります。

そのためには、サウジアラビア政府による徹底した安全対策はもちろん、各国政府の連携や、気候変動への適応策の強化など、様々な取り組みが必要不可欠です。

まとめ

イスラム教徒にとって最も重要な宗教的義務の1つである「ハッジ」。しかし、気候変動の影響により、参加者の安全が脅かされる事態となっています。

宗教的・文化的な意義を損なわずに、参加者の健康と安全を最優先した形で、ハッジ巡礼を持続可能な形で実施していくことが喫緊の課題となっています。

コメントする

CAPTCHA