地球の未来を左右する雲とエアロゾルの正体を解明する!EarthCARE(アースケア)衛星の打ち上げが間近

みなさん、地球温暖化の原因は何だと思いますか? 二酸化炭素の増加が主な原因だと知っている人も多いでしょう。しかし、実は雲やエアロゾル(大気中の微粒子)も地球の放射収支に大きな影響を及ぼしているのです。

2024年5月28日以降、ESA(欧州宇宙機関)とJAXA(宇宙航空研究開発機構)が共同で開発した「EarthCARE(アースケア)」衛星が打ち上げられます。この衛星は、雲やエアロゾルが地球の放射収支にどのように関わっているのかを詳しく観測し、気候変動予測の精度向上に貢献することが期待されています。

雲とエアロゾルの正体を解明する

EarthCARE衛星には、4つの最先端観測機器が搭載されています。

  • 大気ライダー: 雲頂の高さやエアロゾルの鉛直プロファイルを観測
  • 雲レーダー(JAXA提供): 雲の内部構造や運動を立体的に捉える
  • マルチスペクトルイメージャー: 広域の雲・エアロゾル分布を観測
  • 広帯域放射計: 地球から宇宙に放出される日射と赤外放射を直接測定

これらの観測データを組み合わせることで、雲とエアロゾルがどのように相互作用し、地球の放射収支に影響を及ぼしているのかが明らかになります。

例えば、エアロゾルには太陽光を散乱・吸収する性質があり、一方で雲は太陽光を反射して冷却効果をもたらします。しかし、エアロゾルが雲の粒子形成に関与したり、雲が降水を引き起こしてエアロゾルを洗い流したりと、複雑な相互作用が存在します。

EarthCARE衛星は、これらの相互作用を立体的かつ定量的に捉えることで、気候変動予測の精度向上に貢献することが期待されています。

気候変動予測の精度向上に貢献

EarthCARE衛星は、高度約400kmの極軌道を周回し、昼間の観測条件を最適化しています。これにより、雲やエアロゾルの挙動を詳細に把握できるようになります。

これまでの気候モデルでは、雲とエアロゾルの相互作用が十分に反映されていませんでした。そのため、地球の放射収支を正確に再現できず、気候変動予測の不確実性が大きな問題となっていました。

EarthCARE衛星が取得するデータを活用することで、気候モデルの精度が大幅に向上すると期待されています。例えば、2100年までの地球温暖化予測の幅が現在の1.54.5度から1.53度まで狭まる可能性があります。

地球温暖化対策に貢献

EarthCARE衛星の観測データは、単に気候変動予測の精度向上に役立つだけでなく、具体的な温暖化対策にも活用されることが期待されています。

例えば、雲とエアロゾルの相互作用を詳しく理解できれば、人工的な冷却効果を生み出す「地球工学」の研究に役立つかもしれません。また、エアロゾルの発生源を特定することで、大気汚染対策にも活用できるでしょう。

さらに、EarthCARE衛星のデータは、気候変動の影響を受けやすい地域の特定や、災害リスクの評価にも役立つと考えられています。

まとめ

EarthCARE衛星の打ち上げは、地球温暖化問題の解決に向けた重要なマイルストーンとなるでしょう。

雲やエアロゾルの正体を解明し、気候変動予測の精度を高めることで、より効果的な温暖化対策につなげていくことができます。

私たちにできることは、この衛星の観測成果に注目し、地球温暖化問題への理解を深めていくことです。EarthCARE衛星の打ち上げを心待ちにしつつ、一人一人ができる省エネ行動などにも取り組んでいきましょう。地球の未来を左右する大切な取り組みだと言えるでしょう。

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