江崎グリコの基幹システム障害が深刻化、主力商品の出荷停止が続く

ポッキーやプリッツなどの人気お菓子ブランドで知られる大手食品メーカー、江崎グリコの基幹システム障害が深刻化し、同社の主力商品であるプッチンプリンやカフェオーレなどの冷蔵品の出荷が長期にわたって停止されています。

江崎グリコ公式サイトより引用

https://www.glico.com/jp/newscenter/pressrelease/46238

同社は5月中旬の復旧を目指しているものの、システムの不具合が続いており、消費者の不便が続いています。この事態の最新情報と影響について解説します。

システム障害の原因は?

原因は今のところ特定されていませんが、システム切り替え時の不具合が考えられ、サイバー攻撃によるものではないとしています。

4月3日、江崎グリコは基幹システムの切り替えを行ったところ、システム障害が発生し、受注、発注、出荷業務に影響が出ました。この不具合により、同社の人気商品である「プッチンプリン」「カフェオーレ」などの冷蔵商品の出荷が停止されました。

同社は4月14日に一時出荷を再開したものの、システムが正常に作動せず、4月19日に再び出荷を停止しました。

基幹システム障害の影響

この基幹システム障害の影響は深刻で、同社の主力商品である冷蔵品の出荷がほぼ全面的に停止されています。

具体的には、乳製品や洋生菓子、果汁・清涼飲料など17ブランドの冷蔵商品の出荷が停止されており、プッチンプリンやカフェオーレなどの人気商品の供給が滞っています。

一方で、常温品や冷凍品の出荷は継続されているものの、冷蔵品の占める割合が大きいため、同社の業績に大きな影響が出ることが予想されます。

使用していた基幹システム

日経クロステックの記事によると

同社は4月3日に旧基幹システムを独SAPの「SAP S/4HANA」に切り替えた。その後システム障害が発生し、物流センターの一部業務を停止。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/00610/

ドイツSAP社の基幹システムを使用していたようです。

Xの書き込みには「グリコのベンダーはどこ?」という書き込みが多数あります。

ベンダーは?4月24日ダイヤモンドオンラインの記事によると

【独自】プッチンプリン出荷停止の「主犯」はデロイト!グリコのシステム刷新で1年遅延の末に障害発生“ボロボロ案件”の実態

食品大手、江崎グリコで起きた大規模システム障害で、原因となったシステム刷新のプロジェクトを手掛けた主幹ベンダーがデロイト トーマツ コンサルティングであることが分かった。

https://diamond.jp/articles/-/342762

復旧の見通しは?

同社は5月中旬の出荷再開を目指して復旧作業に取り組んでいるが、システムの不具合が続いており、消費者の不便が続いています。

同社は「多大なご迷惑とご心配をおかけしており、おわび申し上げます」と謝罪しており、一刻も早い復旧に向けて全力で取り組むとしています。

このシステム障害による損失額は?

おそらく、主力商品の出荷停止による売上減少や、復旧作業にかかるコストなど、相当の損失が発生していると考えられますが、正確な金額は明らかにされていません。

基幹システムとは

基幹システムとは、企業の会計、人事、生産、販売などの基幹的な業務を統合的に管理するシステムのことです。また、グリコのような製造・販売を行う企業にとって、基幹システムは以下のような重要な役割を果たします。

  1. 生産管理:生産ラインの設備や治工具、人材の準備・管理を行い、製品の効率的な生産を実現する。3
  2. 在庫管理:原材料や製品の在庫状況を一元的に管理し、適切な在庫水準を維持する。
  3. 受発注管理:受注から出荷、請求書発行までの一連の業務を統合的に管理する。
  4. 財務管理:売上、費用、利益などの財務情報を一元的に管理し、経営判断に活用する。
  5. 顧客管理:顧客情報を一元的に管理し、販売活動や顧客サービスに活用する。

つまり、基幹システムは企業の重要な業務プロセスを統合的に管理することで、生産性の向上、在庫の最適化、受発注の効率化など、企業経営を支える重要な役割を果たしています。

過去の企業でのシステム障害

HOYAでサイバー攻撃によるシステム障害

2024年3月30日の朝、HOYA社の海外拠点でITシステムの異常が発見されました。同社は直ちに対応し、侵害されたサーバーを隔離し、関係当局に通報しました。外部の調査チームを起用し、今も原因と影響範囲の特定に取り組んでいます。

この事態により、HOYA社の生産拠点や受注システムに支障が出ています。同社は事態の収束と通常業務の早期復旧に向けて尽力しているが、具体的な復旧時期は示されていません。この事態を受けて、HOYAの株価は5%下落している。

イズミ社内システムがランサムウェアに感染

2024年2月、「ゆめタウン」などを運営するイズミでシステム障害が発生。発注システムなどが停止しました。

社内システムがランサムウェア(身代金要求型ウイルス)に感染していたのが原因でした。障害の発覚は2024年2月15日のことで、「複数のサーバーがランサムウェアによって暗号化されていたことを確認した」と同社は説明しています。現在の復旧しておらず5月の完全復旧を目指すとしています。

東京証券取引所でシステム障害

2020年10月1日、東京証券取引所でシステム障害が発生し、全銘柄の売買が終日停止された。約15年ぶりの大規模な障害で、前回の2005年11月の障害よりも規模が大きいものでした。

この障害の原因は、売買情報を保存するメモリーの故障でした。本来なら、メモリーに不具合が起きた場合は自動でバックアップ用の機器に切り替わるはずでしたが、その切り替え機能が作動しなかったことが判明しました。

「全銀システム」で障害が発生

2023年10月、銀行間決済システム「全銀システム」で障害が発生。システム更新時の不具合が原因とみられ、振り込みや資金決済に影響が出ました。全銀システムは1973年の稼働開始から50年以上にわたり安定稼働してきましたが、今回の障害は初めての事態でした。
原因は、全銀システムと各金融機関をつなぐ「中継コンピューター(RC)」の更新時の不具合だと考えられています。

このように、企業の基幹システムやインフラシステムの障害は過去にも多数発生しており、ランサムウェア感染、システム更新時の不具合、売買システムの障害など、様々な原因で深刻な影響が出ていることがわかります。

まとめ

江崎グリコの基幹システム障害は深刻な事態となっており、同社の主力商品である冷蔵品の出荷が長期にわたって停止されています。同社は5月中旬の復旧を目指しているものの、システムの不具合が続いており、消費者の不便が続いています。

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